初の一緒に登校

 星澤と付き合い始めてから一日が経って今日の朝。

 俺は今、星澤の家の前に立っている。

 「一緒に登校しよう」と決めたのは昨日の帰り道。星澤の家に送る時に決まったことだ。

 付き合ってるから一緒に登校するのも普通か……と思ったが、こういうのをしたくないからあいつと付き合ったのに……。

 頭の中で昨日の俺をボコボコにする。


 そしてなんでわざわざ俺があいつの家まで迎えに来なきゃいけねぇんだよ。


 小さくした舌打ちと同時にガチャっとドアが開く。


「おまたせしました。待ちましたか?」

「いや、そこまで待ってないよ」


 星澤が隣に来てから歩き出す。

 こいつはいつ見ても不潔オーラ出てるよな。さすがは天然物だな。

 でも俺も自分をブスに見せるために頑張ってるんだぞ?メイクをしたりとか四角いメガネをわざわざ買うとか。お金をかけてるんだよこちとら。こいつみたいに天然物じゃねーんだわ。ここまで天然を生かせるのは逆に才能だね。


 星澤観察をしていたら目が合ってしまった。


「どうなさいました?」

「いや、なんでもない」

「そうですか」


 カップルとは思えないほど短い会話。まぁ最低限の会話が俺からしたらありがたい。

 こいつとずっと話したいとは思わないからな。




  ♡ ♡




 なんなの?この男。

 せっかく私が愛想良く接してあげてるのに塩対応ってほんとなの?

 別に私はいいんだけどね?塩対応でも。こんな男とずっと話すなんて無理よ。相当のコミュ強じゃないと不可能よ。そもそもこんな男に近づく女子なんて居ないか。

 それにここまでパッとしないのは逆に尊敬するわよ。これが天然物ってやつかしら?さすがの私でも天然物には負けちゃうわねー。

 私も頑張ってるんだけどなー。バストを押えたり、ブスに見えるメイクしたり、四角いメガネだって買ったわよ。

 私はお金を出してるのよ。あなたみたいな天然物だったらどれだけ良かったことか。


 聡善観察をしていたら目が合ってしまった。


「なに?」

「いえ、なにも」

「そう」


 さっきよりも口数は少ない。

 普通のカップルだったら頑張って話そうとする場面かもしれないけど、私は頑張ろうとはしない。こいつと話したいなんて思わなもん。



 ((もう二度と話しかけなくていいよ!))

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