第15話 レヴィン、パーティを結成する
四人は探求者ギルドへとやってきていた。
まずはダライアスの探求者登録だ。彼は登録すら許可してもらっていなかったのだ。
「すまないが貸しておいてくれ」
ダライアスはそう言うと、持ち歩いていた戸籍カードとレヴィンから受け取った銀貨三枚を受付嬢に提出した。ダライアスが受付嬢の説明を聞いている間、レヴィンはパーティの名前をどうしようかと考えていた。同じことを考えていたのかアシリアもレヴィンに聞いてくる。
「ね。パーティの名前はどうするの~?」
「うーん。《
「にーとって何?」
「伝説の職業だ」
レヴィンはアシリアの目をまっすぐ見つめ、断言した。レヴィンは自分と同じ異世界人と出会うことで得られるものがあると考えていた。それが例え危険な相手であろうと何かの糧になるとも。戦いになれば容赦なく叩き潰すだけだ。そのためにも一刻も早く強くなる必要がある。
「伝説……カッコイイ……」
シーンの目がキラリと光る。
「他に何か案があったら言って欲しい」
「リーダーはレヴィンなんだからそれでいいよ~」
「問題ない……」
パーティ名はあっさりと決まった。
ここでダライアスへの説明が終わったようなので、パーティ結成の申請をする。
「パーティの結成ですね。名前はどうなさいますか?」
「《
「では皆さんのタグをお預かりします」
受付嬢は四人の探求者タグを受け取ると、奥に居たギルド職員に手渡した。
そして彼女はパーティについての説明を始める。
「パーティを組むと色々なメリットがございます。ソロならば受注できない依頼を受けることができますし、知名度が上がれば指名依頼も多くなる傾向がございますね」
「ふーん。なるほど。他にも何かあります?」
「
「探求神なんて存在するんですか?」
「ええ、ヴァントと言う神様です。神託による情報のみなので曖昧なのですが、パーティ全員に効果のある加護や祝福が得られるようです。メンバーが成長しやすくなったり、魔力などの力が増幅されたりと効果は様々です」
すかさずレヴィンは、ヘルプ君で検索を掛ける。検索条件は、探求神ヴァントと加護だ。レヴィンの頭の中に情報が羅列されていく。情報によれば、メンバーの経験値アップや各パラメータのアップが見込める上、ランクが上がれば加護も増える可能性があるようだ。ただし、何の加護が与えられるかはランダムらしい。そして重要なことが一つ。これは探求者ギルド創設時に、探求神ヴァントによって定められた規則であることだ。ダライアスの探求者登録の説明をこっそり聞いていたレヴィンは、探求者について色々と思い出していた。ギルド創設は間違いなく、転生者が神の願いを叶えた報酬だ。レヴィンはそう判断した。
「それにパーティのランクが上がれば名誉や名声が手に入り、貴族や王族など様々なコネクションの構築にも役に立つでしょうね」
ここで先程のギルド職員が全員分の探求者タグを持って戻ってきた。それを受け取った受付嬢がタグを全員に返却する。レヴィンはタグをまじまじと眺めた。他の三人も同じ様子だ。パーティ名の箇所が無所属から《無職の団》に変更されている。パーティランクはFだ。ちなみにレヴィンの個人ランクはE、他の三人の個人ランクはFである。
「ちなみに加護って何か分かりますか?」
「加護は冒険者タグに記録されていますので、ギルドで参照可能です。《無職の団》の加護は、体力向上レベル2ですね。」
これで手続きは全て終了した。後は依頼を受けるだけだ。
レヴィンたちは受付嬢にお礼を言って掲示板を見に向った。
「あ、そうだ。遅くなったけど、ダライアス用の装備を渡しとくな。受け取って欲しい」
「なッ!? こんなもの受け取れない!」
「もう買ってしまったんだから諦めてくれ。異論は認めない」
ダライアスは意外にもすんなりと言うことを聞いてくれた。
「何から何まですまないな……」
「気にすんなって先行投資ってヤツだ」
レヴィンはもう掲示板に目をやっている。アシリアはシーンとあれこれ話ながら依頼書を指差している。しばらく検討した結果、レヴィンは最初に受ける依頼を決めた。
「よし。これなんてどうだ?」
レヴィンは依頼書を取り外すと、皆に見せた。
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