第11話答えが迫ってくる火曜日
火曜日。
会社に向うと根室美夢に感謝の言葉を伝える。
「ありがとう。おかげで硯は帰ってきたし話も聞けたよ。助かった」
美夢は微笑んでその話を聞いていて最終的にはスマホを取り出した。
「また何かあったら困るので連絡先交換しておきませんか?」
「是非」
ポケットからスマホを取り出すと連絡先を交換する。
「そう言えば硯から聞きましたよ。喫茶店のお金出してあげるって話」
「あぁ。そうだね。どうしてもこれ以上は働きたくなさそうだったからね…。無理させてまた逃亡されたら困るし」
「結局、硯には甘いんですね」
美夢は軽く微笑むと僕に頭を下げる。
そのまま別れを告げてデスクに戻っていった。
自分のデスクに戻りパソコンの電源を入れて仕事に向かう準備をしていると彩が席までやってくる。
「あの新入社員とどういう関係?」
「義妹の友達で。高校からの同級生らしいです」
「ふぅ〜ん。義妹いたんだ?」
「はい。一応」
「そう言えばあの娘との関係はどうなったの?」
あの娘とはさくらのことだと一瞬で理解できるのだが僕の表情は晴れやかではなかった。
「まだ悩んでるの?」
「実は…復縁したら結婚まで視野に入れているって言われて…」
「そんなの…気を引きたいだけじゃなくて?」
「真剣な感じでした」
「そう…どうするの?」
その言葉を耳にして僕は何とも言えない表情を浮かべていたのだろう。
彩は呆れたように嘆息した。
「まぁ…ゆっくり悩んだら?何を選ぶにしても後悔のないようにね?」
それに頷いて応えると仕事に向かうのであった。
本日は誰かと外食に向うわけもなく帰宅する。
大人しく帰宅すると硯はキッチンで料理をしていた。
「おかえり。先お風呂入ってきたら?」
「ただいま。じゃあそうする」
それだけ告げると自室でスーツを脱いで風呂場に向う。
全身を洗ってから湯船に浸かると身体をほぐしていく。
しばらく浸かっていると風呂場のドアが開く。
「直樹。温かい蕎麦と冷たい蕎麦どっちが良い?」
「急に開けるなよ。とりあえず冷たい方で」
「天ぷら揚げたから蕎麦にしたんだ。最近もう暑くなってきたからね」
「そうだね。わかったから早く閉めてくれる?」
「なに?意識しちゃう?」
「うるさい。早く閉めろ」
硯は僕の表情を見るといたずらっぽく微笑んでドアを閉める。
彼女がその場から姿を消すともう少しだけ湯船に浸かってから風呂を出る。
リビングに向うとたくさんの天ぷらとともに冷たい蕎麦が用意されている。
随分暑くなってきた気候の中で涼し気な夕食を食すと硯は食後に温かいコーヒーを出してくる。
「試飲して」
それに頷いて飲んでいくと簡単に感想を口にする。
「美味しいよ」
「またそれ。きっといつか唸らせるほど美味しいの淹れてみせるから」
「そうだな」
それだけ告げるとコーヒーカップの中身を飲み干してから自室に向う。
早めにベッドで横になるとこれからのことに頭を悩ませるのであった。
これからの色恋話をどのように進めて解決していこうかと思い悩むのであった。
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