第17話 お嬢様、ラブレターもらいましたよ

「お嬢様、これを見てください」

と魚住は鞄から、スッとなんか可愛らしい封筒…主に女子力が高い手紙を3通テーブルの上に置いた。


ちなみに今は夕食時だ。


「………これは?」


「ぶっちゃけ俺に来た、ラブレターですね…」

と魚住はもぐもぐ自分で作ったハンバーグを食べている。興味なさそうに。


「…あんた、先週私がラブレターらしきやつ貰ったからって、張り合って自分で書いたんでしょ?」


「は?そんな面倒なことして、俺に何の得が??


第一俺は、お嬢様と違って、普通にイケメンでモテる。今日も女子3人に呼び出されて断ったんだけど、押し付けられて、捨てそびれたんです」

と魚住は言う。


「ふふふ、そう…。どうせ不細工な女達からなんでしょうね?」


「いや、普通にレベルの高い女子からでした。3人とも三次元では可愛い、綺麗、お淑やかみたいな…感じかなあ?


まあ、付き合わないけど。俺にはミミたんがいるから」

と言う。


なっ、何ですって!?まあ、顔だけ見たらイケメンなのは確かだから皆騙されているのよね、可哀想に。こんなクソ執事に。


「お嬢様…。これが、本物のラブレターです。まあ今時古風だけど、手段が見つからなかったんだろうな。


俺、女子とライメもしないし、ミミたんがいればいいし」

と待受画像、思い切り『魔法少々ミミたん』のクソロリ執事が言う。


「まあ、捨てる前にお嬢様に、ラブレターとはこう書くのだと言う参考にどうぞ」

と言う。


「は?何で私がラブレターを書くの?誰に出すのよ?」


「それは未来の旦那様に向けて?」


「あんたねぇ、タイムカプセルじゃないんだから!……まあ、そうね。


確かに私だって、いつかは結婚して、小檜山財閥を継がなきゃならないわ。

でも、だからって未来の旦那に書くなんて、バカみたいなことしないわよ!


ハッ!もしや!魚住!あんた!まさか!!


あんたが私の未来の旦那様にとか思ってないでしょうね?」

と聞くと、魚住は目を白けさせた。

何言ってんだ?アホが。

という表情。


「ふーん、お嬢様は俺とそうなりたいと思ってるんですね!うわぁ?どうしよう?拓磨困っちゃう!」

とニヤニヤし出した!

くっ!こいつ!


「いや、思ってないわよ?私は!!あんたが思ってんでしょ?」


「ないない、俺は執事ですからねー」


「私もないわよ?あんたみたいなクソ執事どうでもいいからねー?私の旦那になる人はそもそも、すんごいなんか優しいからね!!


お茶も淹れてくれない執事とは違うから!ケーキは駅前のあの有名店とかのを直ぐ買ってきてくれない、あんたとは違うから!」

と言うと魚住は


「あーあ、いちいちうるせー、お嬢様だな?そんなに理想の執事が欲しいなら執事喫茶に行けよ?


めっちゃ優しくしてくれるぜ?代わりに金をふんだくられるけどな?」

と言う。


むむむ……あんただって、直ぐ金金言うくせに!


きいいい!


「ふっ、いいわよ!この私が完璧なラブレターを未来の旦那様に書いてやろうじゃないの!!


その変の女とは違うってことを見せつけてやるから!!」

と私は室内テントに篭り、ラブレターをガリガリ書き始めた!!


数分後、我ながら上出来のラブレターが完成した!!


「ふっ、できたわよ!魚住!!」

と言うと魚住は…


何と!こここ、紅茶を淹れていた!!


えっっ!?

しかも!なんか、いい匂いすると思ったらケーキ作ってる最中だった!!


ええっ!?


「な、何?気持ち悪いことしてんの!?」


「は?おめーが紅茶だのケーキだの淹れろとか欲しいとか言い出すからだろ?


要らんのなら俺が食う」

と言うので


「わっ!待って!要るから!!」

と言うと魚住は


「はいはい、それで?ラブレターできたの?採点してやろうか?」

と言う。なんなの?上から目線で鬱陶しいわね!


「ふっ、まあ、いいわ!見るがいいわ!この私の渾身のラブレターを!!」

と言い、魚住は中を見た。


【未来の旦那様へ


私は小檜山美玖と申しますわ。

貴方はいつも私の為に優しくしてくれますね。


その気持ちは伝わっていますわ。針で心臓を貫いたくらい痛く伝わってますわ!



貴方の優しさは海よりも深海よりも深く、リュウグウノツカイも驚いて砂浜に打ち上げられるほどです!

たぶんこの後巨大地震が起きるほど私のピュアなハートはマグニチュード8.0です!!


いつもありがとう感謝していますわ!これからも一生一緒にいましょうね!お墓に入る時も一緒に!



貴方の愛のパートナー美玖より】


と完璧な私のラブレターに魚住は


「え?何これ?ギャグ?テレビ局に投稿してもいい?めっちゃ笑えるんですけど?」

と言った!!


「ハア!?あんた!ふっざけんじゃないわよ!この私の真剣な渾身作にケチつけるんじゃないわよ!!」

と言うと


「いや、普通にリュウグウノツカイとか出てこんだろ?逆にすげーよ!お嬢様!!


アホが突き抜けていて深海まで行ってるし!!どう言うことだ!?


これをラブレターと言い張る、あんたの脳みそは相当ポンコツだぞ!!」

と言われてしまった!!


「そ、そんな!!酷いわ!!普通の娘には書けないラブレターなのに!!」


「いや、確かに書けねえよ!こんなアホ文章!!」

と言う魚住に私は


「じゃあ今度はあんたが書いたら?私より上手かったら駅前の有名店のケーキ買ってきてあげるわよ!!」

と言うと魚住は無言でスマホで文章を打ち始めた。


手紙に書かない時点で負けよ!ラブレターは紙なんだから!!

と思ってると打ち終わった魚住に画面を見せられた!!


【未来の妻へ


いつも美味しい料理作ってくれてありがとう。今度休みが取れたから一緒に旅行に行こうね。


いつか約束していた、満点の星空を見に行こう。


愛してる。

中々言葉に出せなくてごめん!でも手紙では言えるから…。


それじゃ身体に気を付けて。


拓磨】


と書いてあった!!

え!?なんか心がふわっとしたし、妻を気遣う優しさに心打たれ、更に以前から約束してた星を見に行こうと言う約束のロマンス炸裂!!

あ、愛してるとか普段言葉にできない気持ちを文章に載せて!!


最後は妻の心配!!


うがあああ!敗北!!キュンとした!!


「あ、今俺の文章見てキュンとしましたね?お嬢様」


「し、してないわよ!!何これ!?」

と誤魔化すが


「駅前のケーキ屋…18時には閉まるぜ」

との言葉に私はハッとして時計の針が17時30分なのを見て慌てて駆け出したのであった!!



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