第8話 この世界の歴史

「さて歪みから深淵を覗く方々へ。ノアが目を覚ますまでまだしばらく時間が掛かるようなので、僕がこの世界の歴史を少し語ろうと思います。宇宙から巨大な贈り物がやって来たことで全ては始まりました……」

 マイノは歴史書を開くと貴方の耳元で語り始めた。



1945年 8月 戦時下のヤマト皇国に巨大隕石 Melt7が飛来 情報戦略により大和人の半数以上それに加え華王人、農辛人延べ一億人以上が死亡 地球誕生以来7番目と考えられる巨大隕石はヤマト本土を中心に極東亜一帯を不毛の土地とした。無論その影響は極東のみに止まるものではなく世界規模での恐慌が容易に予想された。

 団結を求められた人類は帝星及び帝英を中心に即座に停戦協定を締結戦乱は幕を閉じ復興の世代が始まったのです。


1946年 世界連合復興機関 WROが発足 社会主義国を含む全60ヵ国が加盟、世界秩序の回復と土地の復興に尽力した。


 同年WROはこの年を新世元年とする新しい西暦を国際的に設定。


新世4年 爆心地及び周辺の調査が本格的に開始される。


新世6年 旧ヤマト本土調査を担当した多くのWRO職員に異常な兆候が確認された。 


新世7年 クトリア大学 神童JHトーンにより未知の汚染物質の存在が確認される。巨大隕石Melt7がもたらしたこの未知の汚染はヒト、動植物、非生物その何れにも影響を与えることが判明。

(但し影響の詳細は不明)


新世10年 国際的意見や危険性の判明によりWROが爆心地から2500kmを禁足地帯と規定する。禁足地帯への一般侵入は強く規制されることとなった。

 

新世40年  WRO協力の元でトーン博士により初の禁足地帯大規模調査が行われる。これが第一次禁足地帯解明遠征である。


新世45年 トーン調査団全432人の内、2名のみが生還


新世50年  J・H・トーンの調査書が完成 禁足地帯の全貌が明らかになる。


 JHトーンの調査書より一部抜粋

[禁足地帯には様々な生物群が存在していた。それは人類史上観測されたことのない……少なくとも我々の理解を越える多数の新種である。彼らは概して人間に攻撃的で我々のチームの多くが命を奪われた。この生物はほとんどの個体が驚異的な再生能力を有しており、従来の銃火器で対応することは困難であった。更に彼らは新世以前に存在していた動植物の特性を受け継いでおり、頑強な外皮を持つものや単為生殖を行うものなどが確認された。その起源は明確ではないが恐らくMelt7の汚染物質が関係していると思われる。(中略)

 至急この新種生物群撲滅に向けた作戦を打ち立てるべきである。彼らは人類滅亡のトリガーになり得るだろうから。]


新世53年 この調査書に対しては反論や批判を含む多くの意見が飛び交ったが多数のデータ的証拠に裏付けされWROはこの存在を認める立場をとることとなった。


同年 この超常生物群は忌諱ききの念から

  kannoko 神子 カンノコ  

と命名された。


新世60~

 多くの神子による被害が確認され始める。神子は禁足地帯から徐々に人類の生活圏内に進出していた。その個体数の増加は非常に急速かつ持続的であり、駆除は困難を極めた。 


新世55年 H・P・クラフト博士により汚染鉱物

通称 アダマンタイト が発見される。 

 この物質はAg(銀)由来の金属であり銀が汚染を受けると変化するものだと考えられる。

 特殊な熱振動が発生しておりこれが神子の再生能力を阻害するのに有効だと判明する。地球上のあらゆる物質より高い硬度や優れた耐熱性を持ち今後の利用が期待された。


新世65年 クラフト博士により対神子特化兵器裁器の第一号~七号が作成される。


 以降人類が神子と戦闘する際には裁器が必ず用いられることとなる。


新世70年 神子の人類圏進出が本格化する。各国は対応に追われ再び世界は危機に瀕する。


新世77年 大国羽赤はしゃくがWRO脱退。神子の生物兵器利用を推進した同国は周辺諸国を吸収し世界に戦争を挑む。


新世78年 新世紀世界対戦開戦

 神子を巧みに利用した羽赤の戦法に連合国側は苦しめられるが裁器を量産することによりこれに対抗。


新世80年 帝星 帝英 華皇 三か国の躍進により羽赤は降伏。連合国側の勝利に終わる。


81~85年 禁足地帯を隔離するべく五枚の巨壁が建設される。

 禁足地帯は1~5地域に分化されWRO指導のもと禁足地帯管理委員会及び世界法廷大審院が発足された。

 管理委員会は、朱雀率いる帝星 白虎率いる帝英 青龍率いる華皇 の三大派閥に分かれそれぞれのトップと大審院長官玄武を纏めて四神と呼ぶようになった。


新世160年 世界平和80周年が達成され現在に至る。

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