第44話 核の恐怖

 歴史上、大戦はほんの小さなきっかけから引き起こされる。米中が真正面から戦うことになったこの戦争を後世の歴史家は何と名づけることになるのだろう。

米空母ロナルド・レーガンに3人の日本人を乗せたMH-60Sシーホークが帰ってきた。巨大な甲板上で3人を出迎えたのはマコーミック艦長と何とあのウィンター少佐だった。

「あの野郎、全部お見通しだったんだ」宮島一等陸佐は負けたと思った。立川一等海尉は先に到着しているはずの格納容器を探したが、甲板には見当たらなかった。

「ようこそ。米海軍を代表して、3人を歓迎します。お疲れでしょうから、少しお休みください」「その前に格納容器はどこにあるんですか。あの中の物は我が国に所有権があります」「もちろんです。その件も含めてお話ししましょう」マコーミック艦長は友好的な笑顔で答えた。突然、警報音とともにファランクス20mmガトリング砲が火を噴いた。マコーミック艦長の顔から笑顔が消えた。

「ここは危険です。ついてきてください」3人は艦長に続いた。

最後尾のウィンター少佐はファランクス20mmガトリング砲が自動追尾している海面上の航跡を見ていた。銃弾がターゲットをとらえた瞬間、凄まじい勢いで水柱が立ち上がり、爆発の衝撃がロナルド・レーガンの巨体を激しく揺らした。

 三浦半島沖合の海面上にキノコ雲が湧き上がった。そして、巨大な津波が第7艦隊を飲み込もうとしていた。「核魚雷だ」ウィンター少佐の顔は青ざめていた。

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