第5話 不服なキモチ

「ミンティア」

「めんてぃあ」


「パソコン」

「ぱさおうこん」


「ティッシュ」

「てぃしゅー」


………どうやら意味はわかってても外来語の類の発音が苦手らしい。


「うーんこればかりはどうしようもないなぁ。教えようもないし、自主学習しかないと思うよ?」

「イいやーだー。君がイルから楽しいんだよ!」


そんなこと言われてもなぁ。可愛い子と一緒にいられるのは嬉しいけど、あんま長くいすぎちゃ絶対誰かにバレて面倒になる。


「まぁいるだけいるけど、ほとんど教えられないから俺ほぼ飾りだよ?」

「へへ、そレでイイ!」

困惑してることをアピールしようと眉間に皺を寄せて言うが彼女は自分に都合のいい部分しか頭に入ってないようだ。



「我回来了」

そんな会話をしていると、玄関の方から女性の声がしてきた。


ん?誰だろう?

「あ、待って、多分母」

そう言って可愛らしい裸足でペタペタと部屋の外へ向かった。


途端一人になるが暇になったら反射的にスマホを取り出して見てしまう。


慣れた手つきでパスワードを入れてホーム画面を開く。

「あ、本多さんからメッセージ来てる」



『今日の転校生本当に知らなかった?』

『いや、思い出したよ。相当昔の幼馴染だったけど、色々あって思い出せなかっただけ』

『結局忘れてたんだ、最低〜』

『すぐ人をクズみたいに言うな!』


俺がそこで反論するとお上品にふふふと笑っているスタンプを送ってくる。


いつもこんな感じで揶揄ってくるのがたまにはイラっとする。

ずーと頭が上がらなくて下に居続けるのはなんとも釈然としない。


しかし何か違和感があった……

「というか珍しいな、本多からアニメ関係以外でメッセージが来るとか」

そうそこだ。ほとんどは俺からアニメ語り始めて本多さんがそれに反応するだけのことが多いから、本多さんから、しかもアニメや漫画関係以外で連絡してくることなんて滅多にない。



「……美人なだけあって。本多ですら黄さんに興味津々なのか。まぁ美人なのは本多も同じだが、似たもん同士ってやっぱ集まるもんなのかね」


いや、本多には黄さんのような生意気さはない……が、揶揄ってくる。……どっちも性格難ありじゃねえか。


「ただいマー!寂しかった!?ねえ寂しかった?」

「寂しくない」

「マタマタ照れてーへへ、はいこれ、母が買った中国のお菓子」

「もらっていいのか?ってこれ絶対辛いやつだろ!超辛って字は読めるぞ!」


テヘッと何もなかったようにするが、近くにいたら色々大変になりそうな性格をしているのはわかった。

「天は人に二物を与えずと言うのは本当なんだな」

「何を言ってルかワカらないけど、すごい悪口イッてる気がする……むう」

「よし勉強始めるかー」






「アー疲レたー」

そんなことを言って背伸びした彼女がベット脳に横向きに倒れた。

「まだ勉強してから30分ちょっとだろ……」

「きゅうけい大事!」

まぁ10分とかぐらいならいいだろう………なんて思っていたが。


「おおい……おおい……寝るの早すぎだろ」

まだ日が暮れてないのに休憩からそのまままどろみに落ちたらしい。


寝ていると、整っている五官が際立って綺麗に見えるな。

白いほっぺも、長い髪も……触って撫でてみたくなるような…っていかんいかん。


「じゃあ先に帰るからな。じゃあな」

玄関に出る際、黄さんのお母さんが姿を見せた。

「イツモアリかとネ。私ニホンこ下手てごめんね」

「いえいえこちらこそ」

そういえって玄関の扉から出る。



帰り道、ふと気になったことが突然できた。

「………いつもありがと?」







『もう遠崎くん行ったよ。起きてるなら服着替えなさいね』

お母さんの声が聞こえて目をぱちりと開ける。


っちぇ

何かしてくると思ったのに……


枕に顔を埋め込め、足をバタバタさせて興奮を和らげようとするが、特に意味はなかった……



『……意気地なし』



しかしその声は枕に抑え込まれ、夕陽と共に静かに沈んだ。







どうもタヤヒシですーー。

さっきこの作品のフォロワー見たんですよぉ!

そしたら更新したのに1日で一人フォロワー増えるどころか減ってた。

うわーーーん。

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困っていたところを助けたら、日本語カタコトなチャイナ娘に懐かれた タヤヒシ @tayahishi

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