第25話 貢献したい
「あ、霞七子ちゃんは、初めましてか」
「霞七子なんて、馴れ馴れしく呼ばないで」
俺らは、あの真っ白い空間にいて、貢献が話しかけてくるのに、愛田さんが睨みながら応じている。
「霞七子……実……どうして……」
兄上が濃い青色の瞳があらわになるほど目を見開いていう。
この質問は、愛田さん━━もしくは俺に聞いたものだろうが、答えたのは貢献だった。
「そりゃあ、俺が召喚したからだよォー。君、こんなインテリな感じ醸し出しておいて、もしかして……馬鹿なの?」
貢献が、「ウケルー」などと意味のわからないことをいっているが、兄上は黙りこくっている。。
「えー!無視ィー!?酷くなぁーい?呪語唱えちゃおー!」
「やめっ……」
「
兄上が止めようとしたが、時すでに遅し。
この真っ白い床にすごい勢いで前のめりで倒れ込んだのだ。
━━俺が
◻︎▪︎◻︎
ここは━━どこだ?真っ暗だぞ。
あ、父……上……?
暗闇の中から突然現れた俺の父親が気難しい顔をしながら口を開く。
「この。役立たず。誠陵の恥晒しめ……!」
「す、すみません……!」
急にいつもの暴言を吐いてきた父に反射的に謝罪する。
でも……おかしい。いくらあの父上でもこの状況でこんなこというか?
そんな不信感を抱いている俺の前に、今度は母さんが現れた。
「実、あんたってば本当に使えない子。産まなきゃよかったわ」
「えっ!?母さ……」
「出来の悪い弟め。死んでしまえ」
「あっ……」
「弁才天様にいわれなきゃ、こんな面倒な奴と会わなくてよかったのに」
「あっ……」
「妾もこんな使えないやつなんで拾ったのかねェ」
「……っ!」
最後の方は声にならない。
母さんをはじめ、兄上、生田目さん、弁才天様の順でそれぞれが俺への本音を吐露し始めたのだ。
やっぱりこう思っていたのか。そりゃあ、そうだよな。こんな落ちこぼれ。というか、落ちこぼれ云々以外にも、まず皆んなは俺のことが嫌いなのかもしれない。
じゃあ今、俺にできることは一つだ。
自然と目頭が熱くなってくる。
駄目だ。止まれ。俺にこんな権利はない。
今やるべきことは一つだろう。
「皆さん」
「何?」
「あっあの!」
生田目さんがいつもの無表情ではなく、怪訝そうな顔をして振り向いた。
これだけは━━いう。
「生まれてきてすみませんでした!」
言葉にすることで、この理解したくない状況の理解が自然と深まってしまう。
俺は、期待していたんだ。
母さんや弁才天様が、━━生田目さんが俺を好いてくれてるって。
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