第44話

 クレイ達が帰った後、予定より遅れて男は到着した。

 亜人狩りのリーダー、ジャーク。

 大きな体に髭を生やした中年男は馬に跨がり、活気を取り戻した村を眺めていた。

 そこに部下の男がやってくる。

「イルワロの奴がいました。地下で縛られたみたいです」

「亜人は?」

「……それが、どこにも見当たりません」

「逃げられたか」

 ジャークが舌打ちすると助けられたイルワロが連れてこられる。

 ジャークは馬から下り、ぐったりとするイルワロに尋ねた。

「なにがあったか聞かせてもらおうか。こっちは亜人だけで四千万ゴルの損失だ。苦労して手に入れたゴーレムも壊されてる。それ相応の理由がないと俺は納得しねえぞ」

 ジャークはイルワロを殺意を込めて睨む。

 イルワロは怯えながらも説明した。

「ギ、ギルド本部の奴らにやられました…………」

「本部だあ? 村人の依頼か。ちっ。貧乏なくせに頑張りやがって。それで、誰にやられた?」

「それが…………」

 イルワロはクレイ達のことを説明した。

「女みたいな男に亜人二人だと? それにギアゴーレムが壊されたのか?」

「はい……。この目で見ました……。すいません……。奴ら、思ったより強くて……」

「新興ギルドか? 商売の邪魔しやがって」

 イルワロは震えながら尋ねる。

「あ、あの……オレは…………」

「仕事をミスした奴は殺す。と言いたいところだが一人で任せた俺にも責任はあるからな。まさかギルド本部に依頼されるとも思ってなかったし、安い依頼金でゴーレムを倒せるようなギルドがいるとも思ってなかった。お前はすぐ応援を呼んだし、駆けつけるのが遅くなったのは俺のミスだ」

 イルワロは安堵するが、すぐさまジャークに睨まれる。

「だが、損失は損失だ。補填として、これまで以上に働いてもらうぞ」

「は、はい……」

 イルワロはガックリと肩を落とすが、命は助かって安心した。

 ジャークは壊れたゴーレムを見て歯噛みする。

「どこの誰だか知らねえが、いつかこの報いは受けさせてやる」

 殺気が籠もったジャークの言葉にイルワロや部下達は背筋を凍らせた。

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