第13話 戦い終わって、久しぶりね♥️筋肉痛。元気だった?それより、わたしの決意!

 う、う~ん


 後、10分…


 って、あれ?


 

 寝ぼけ眼を、擦ってみると、そこは自室の豪華なベッド。

 服は、いつものちょっぴりセクシーな黒のネグリジェ。

 この、ネグリジェ姿見る度に、セクシーな服が似合うカラダって、良いなぁ、と思ってしまう。

 なにせ、生前?は背も低い、胸はまな板、身体は筋肉質、の残念な娘だったので…

 今のボディは気に入りすぎてサイコーですわ♪


 起きようと、身体を動かそうとしたその時でした…



 ビキ、ビキ、ビキ、ビキビキ!

 

 全身を激痛が迸る。


「ま。びばぶばあひゃーーーわーーーん!!」


 我ながら、何語?という悲鳴をあげる。



 バーーーン!!


 

 部屋のドアが思いっきり開かれる。



 あれ?このパターンって…


 ルナが駆け込んでくる。


「ひ」


 だから、起こして…

 苦悶に歪むわたしの表情なんのその


「姫さまがお目覚めあそばされましたぁぁーー!」


 そのまま、部屋を出て駆けていくルナ。


「だ、だから、た、たふけて、おこひてー」


 この時、全身を走る懐かしい痛みを噛み締めていたわたし。


 あら、久しぶりね♪筋肉痛!!

 忘れもしないわ!この、痛み!!!


 プリンセスになってまで、何で筋肉痛に何かなってるのぉぉぉぉぁぉぉぉッ!!!!!!




 バーーーン!!



 そこに、パパとママが勢い良く飛び込んでくる。


 イヤな予感(汗)


「起きたか!ルクスリア!!」

「ルクスリア?わかるママよ?」


 ま、ママ?ハグはやめてよ…ねぇぇぇぇぇーーー!


 メキメキ、メキメキ、ミシミシ!


 わたしが思うより先にママはわたしの顔を超☆巨乳な胸の谷間に押し込んで力いっぱいハグをする。

 ママ、怪力過ぎる…



 新たな人生の終着点は、新しい母のおっぱいの中でした。


 わたしはあまりの激痛に気絶していた…




「「姫さまーーーー!!!」」


 気がつくと、沢山の人が部屋に押し掛けていた。


「姫さま。小鬼の巣穴で助けた娘達です」

 ルナが紹介してくれる。

「姫さまのお言いつけ通り、戻り次第温かい湯を使わせ、身体を休ませました。皆、喜んでおりましたよ。姫さまがお目覚めになり、御礼を申すまでは去れぬの一点張りです」


 口調はいつものように厳しくトゲがあるけど、どことなく嬉しそうなルナ。

「そう、よかった…」

 わたしは安堵した。

「おおー、姫はん。起きましたかいな」

 この関西弁はデクストラね。

「ほんま、けったいな姫はんですわ。1人で2つネームドを2体も倒してしまったさかいなあー」

 どこか嬉しそうなデクストラ。

「これは賑やかなことになりまっせ?ほんなら、姫はん。ウチは行きまっせ?」

「あら?行っちゃうの?意外だなぁ」

「こう見えてもまだ初級冒険者件、見習い錬金術士なんですわ。今回の事でウチの錬金術もまだまだやと思った次第なんやわ」

「ふーん。じゃあ、修行でもするの?」

「せや。中央の親方のところに戻って、出直して来ますわ。自分の工房持てる、ってまではならへんかもしれないけど、もっとウデ上げたら戻ってくるさかい。楽しみにしとってや!ほな!」

 そう、嵐のようにまくし立ててデクストラは去っていく。

 ホントこの辺のノリは現代の関西人そのものよね。草人グラスランナーってみんなこうなのかな?


 次にやってきたのはウサミミの獣人ビースト


「姫さま。本当にありがとうございました」

「どういたしまして。あなたはどうするの?」

「私は故郷に戻って商売の道に進みます。腕っぷしでは、ちょっとムリでした」

 頭を掻きながらウサミミさんは言う。

「もともと臆病者なので冒険者は向いてない!って一族の者からも、言われてたんですけど、身にしみました。商人として1人前になったら、是非、姫さまのお膝元で商売させてください!」

 ウサミミさんの決意を聞くわたし。

 みんな色々考えてるのね。


「「ひめさま!」」

 ソルとステラがやってくる。

「ぼくたちも行かないといけないんだって」

「ずっとひめさまと居たいです」

 

 か、可愛い…健気よね…


「ダメよお家の人とか心配するでしょ?」

「でも、ひめさまに会えないのはやだ!」

 ソルが駄々をこねる。

「そうね。それじゃあ、う~んと修行して強くなって、冒険者になりなよ」

 話を聞いていたウサミミさんが2人に言う。

 どうやらウサミミさんがこの2人を送る様だ。

「え?冒険者になればひめさまに会えるの?」

「勿論!だから、強くなった姿を姫さまに見せようね?」

「そうね、わたしも強くなったあなた達と冒険してみたいな」

 これは、本心。

「わかった!よーし、ステラ、がんばろうね!」

「うん!まけないよ。ソル!」


 あ。いいこと思い付いた。


「2人とも来て」

 筋肉痛で動けないわたしは2人を呼ぶ。

 わたしは枕元のアクセサリー入れからイヤーカフを取り出す。

「ソルにはこれ。わたしだと思って大事にしてよね?」

 ステラにはネックレスをかけてあげる。

「ステラにはこれね。わたしのお気に入りだから、大事にしてよ?」

 2人は大喜び。

「ひめさま!バイバイ!」

「うん、バイバイ」

「では、失礼します」

 ウサミミさんに連れられソルとステラも去っていく。


 その後、1通りの挨拶を受ける。

「あなた達は?」

 去ろうとしない女の子達に、声をかけるわたし。

「帰れません。こんな身体にされて、もう帰れません」

「帰る場所もありません。冒険者としてもやっていく自信をなくしました」

 事情が色々とありそうね。

 心のダメージは、やっぱり大きい、か。

「そう。じゃあ、あなた達の気が済むまで、ここに居るといいわ。その代わり、しっかり働いてもらうけど」

 わたしは、パパとママを見る。

「いいよね?」

 2人は満面の笑みだ。

「いいみたいよ?それとも、魔族のお城で働くのはイヤかしら?」

 残った女の子達は戸惑いながらも、わたしの提案を受け入れる。


 そうだ!


「ねえ、パパ、ママ」

「なぁに?」

「わたしね、この娘達みたいに、亜人の被害にあった女の子達の力になりたい!そういう娘いたら、今回みたいに、お城に連れて来て面倒見てもいいかな?」


 パパとママは顔を見合わせて頷く。


「素晴らしい考えだ。パパとママも全面的に協力するよ」

「ええ!勿論よ!ルクスリアが優しい子に育ってくれて、ママも嬉しいわ♪」


 こうして、わたしは小鬼をはじめとする亜人の被害にあい、心や身体に傷を負い行く当てのない女の子達を雇う事にしたのでした。


 この活動の噂は徐々に世間に広まって行ったみたい。今回、助けた娘達や、デクストラとかウサミミさんとかが方々でわたしの話をしているようね。

 いい噂が広まって、わたし達魔族の風評被害も減るといいなぁ…

 


 それはそうと、お喋りなデクストラが話を大きくしているみたいなの。

 お陰様で、いくあてのない心の傷を持った女の子達も来るんだど、『蠍姫』とかいう通り名も広まっちゃったのよね…

 それに、わたし、知らない間にとんでもない偉業を達成しちゃってたみたい。

 その事をわたしが知るのはもっと先のこと。

 

 取り分けの問題は特に深い心の傷を負った娘がいるの。

 覚えてるかな?森人エルフの女の子。小鬼ゴブリンを何度も産まさせられた事が相当なトラウマみたい。何とか立ち直らせてあげないと…

 可哀想過ぎる…

 ルナから相当酷い状態だと聞いて、いてもたってもいられなくなったわ。


 何とかしてあげたい!

 現代の、あの娘、みたいな事にはさせない!

 あんな想いは2度とゴメンだわ!!!


 わたしは、直ぐに森人エルフの娘の為に動き出すんだけど、それはまた次のお話ね。



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