「姫さま!大変です!問題発生です!」プリンセスに転生させてもらったら、何と魔王の娘!?次々起こる問題を現代の知識と得意なカンフーとお料理でズバッと解決!
第12話 激闘!蠍姫vs紅兜!!いや、蠍姫ってのはちょっぴり不服なんですけど?
第12話 激闘!蠍姫vs紅兜!!いや、蠍姫ってのはちょっぴり不服なんですけど?
熊と素手で戦うなんて、現代ではあり得ない話よねぇ…
さて、閃光玉の効果もそろそろ切れそうだから、行きますか!
気を取り直したわたしは一気に踏み込み、頂肘を叩き込む。
!?
毛皮が、分厚い!
衝撃が吸収される!
ヒトが相手なら死んじゃうくらいの勢いの頂肘だったんだけどなぁ…
即座にバックステップで間合いを取る。
これは、思った以上ね…
わたしのバックステップにあわせ、突進してくる
それを、さながら闘牛士の様にいなすわたし。
相手の力を利用しているからそんなでもないけど、まともに当たったら、即死ね、即死。
要はトラックが突っ込んで来るようなモノだものね。
なんせ、あの巨体。
どちらにしろ、クリーンヒット=即死な案件だわ。
某ハンティングゲームならまだしも、一応、現実です、コレ。
普通の打撃は効果が少ないから、やっぱり、バステで弱らせるしかないわね。
よーし!!
わたしは早速、ルナから教わったバステの魔法を
バチン!
え?
毛皮の表面でバステ魔法が弾かれましたけど…?
動揺するわたしに、
1回、2回、3回、4回。
ブン!ブン!と空気を切り裂く音が聞こえる。
わ、わ、わ、わわ!
それを寸でのところで避けるわたし。
どっかで見たことがあるモーションだけど、当たったら即死級。
くうー。
打てる手が少ないなぁ…
わたしは2個目の閃光玉を使い、考える時間を作る。
遠距離からバステ魔法を使っても弾かれてしまう。
だったら、直接お見舞いしないといけないけど、あの分厚い毛皮にはなかなか攻撃が通らない。
そうなると、鋭い点の攻撃に切り替えて、そこからバステ魔法をお見舞いするしかない。
そう考えていると、構えは自然と人差し指と中指で突きを繰り出すカタチになっていた。
熊にあるか分からないけど、点穴をやるしかない!
指先に魔力を込める。
爪だわ。
爪よ、もっと硬く!鋭く!
わたしの爪は一時的に伸びて硬化する。
赤いネイルも相まって本当に蠍みたいね(汗)
そのまま、指先にバステ魔法を込める。
魔力の胎動を感じる。
よし!上手く行きそう!
見てなさいよ、熊野郎!!
わたしがルナから教わったバステの魔法は合計14個。
なお、あのルナから教わったバステなので基本的にえげつないです。はい。
蠍がどうとか!蠍座のオンナとか、最早四の五の言ってらんない!
こうなったら、わたしだけのオリジナル、作っちゃうしかないよね!
両手の爪に魔力を込め、バステ魔法を不要。それを相手に打ち込む!
あの毛皮の分厚い熊野郎にも効くでしょう!
ヒト相手なら点穴を突いて経絡を乱せるけど、相手熊だからな~。
てか、我ながら、故20
もうね、針診療とか出来ちゃうレベルで鍛えられてますんで!
それはそうと、とにもかくにも、やってみよう!
悩むより、先ず行動!何せ今は戦いの最中だからね!
閃光玉での時間稼ぎも終わり、バステ魔法を込めた爪を
ズブッ!
よし!手応えはあり!
魔法も撃ち込まれたのが分かるわ!
ちょっと!ちょっと!タンマ!
あんまり効いてない(汗)
元気に動き回ってますけど?
単純に身体が大きいから効き目が薄い感じなのかな?
風の魔法は毛皮で弾かなかったのに対して、バステ魔法は弾く。
それって、本来はバステに弱くて毛皮がそれを防ぐために進化した、みたいな感じよね?
この仮説に頼るしかないよね。
なら、一気に14発、行くっきゃない!
わたしは意を決して、デクストラから貰った狂走薬みたいなのを飲み干す。
うん。
ドクターペッパーみたいなムダに甘くてケミカルな味ね。
瓶を放り投げ、全身の魔力を集中する。
ルクスリアさん!ムチャするよ!力を貸して!
それから
肉体の神経伝達速度を早められるんなら、魔力の伝達速度も早められるよね?
なら、こんな感じ!!
さらに!
わたしは今、乗せに乗せたバフを倍加する魔法もかけた。
強化はバリバリ!
ムチャした身体への負担もバリバリ!!
うん、界王拳みたいね!
「行くわよ、熊公!!」
超強化されたわたしの動きは我ながらとんでもない。
ゲッターみたい♪
一足で
突き刺しては、直ぐに次のバステ魔法を付与し直して1刺しづつ付与魔法を変えて繰り返す。
予想通り、魔力回路の回転率をフルにしているから、魔法の付与も速い!
途中、
もう、スローモーションよね。相手の動きが。
ボキッ!!
うん、良い勢いで牙がもげて吹っ飛んだわね!
着地と同時に爪を連続で突き刺す。
これで一気に14発!
使えるバステを全てお見舞いした。
後は!
ここで、
毒などのバステがこいつの身体の中で回って効いてくるのを待つだけ!
その間に力を溜めて、とどめの八極拳よ!
目眩ましの効果が切れ、わたしを捕捉する
グオオオオオーッ!!
怒りの咆哮をあげる。
うん!戦いの前に聴覚保護の魔法を使っておいて大正解ね♪
咆哮を終え、さあわたしに向けて突進しようとした矢先。
く、くぅ~ん、くぎゅーん、、、
急に弱々しく可愛らしい鳴き声をあげる熊。
様子を見ると粘性の高い涎を垂れ流している。
涙みたいなのがたくさん出てる。
息があがってる。
両腕は(厳密には前肢ね)はだらりと力なく垂れ下がっている。
よし!良し!由!
効いてる!
バステが効いてる!
今までの凶暴性が嘘みたいに動きが止まってる。
今しかない!!
わたしは、ドン!と脚を踏み鳴らし、一気に
そして、肩からの体当たり、鉄山靠!
その、威力からぐわっと
さらに、その場でもう一撃!
ズドン!
森にわたしの渾身の震脚の音が響く。
破ーっ!!
列泊の気合いとともに、
手応え、あり!!
物凄い勢いで吹き飛ぶ、
バキッ!バキッ!と木を薙ぎ倒してふっ飛ぶ。
いや、バフ盛り盛りとはいえ、凄い威力だわ。我ながら…
ゆっくりと立ち上がる熊。
腕を振り上げ、わたしを攻撃しようとしてくる。
ヤバイ!
いや、さすがに強化魔法切れるから、反動で動けなくなりそうなんですけど…
ブシュ
腕をあげたまま、口、鼻、耳、目から血を吹き出す
そして、そのままゆっくりと前のめりに倒れる。
どしーーーーーん
断末魔の咆哮をあげるでもなく、多くの命を奪ってきた、巨大熊は絶命した。
どーよ
件の2つ
激闘の末、多くの命を苦しめていた魔物、
昨日の
わたしの知らないところでわたしの勇名が轟いちゃうんだけど、それをわたしが知るのはもう少し先のお話だし、今のわたしには考えもしなかったことなのよね。
今は、ただ、ただ、目の前の護りたい人達を護れた。
わたしには、それが満足でした。
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