第36話

 ――そんなこんなで¬昼頃、俺達2人は閉店した店の床でぶっ倒れていた。


「……ぅ、ぁあ」


 俺は椅子の背もたれに掴まり、ふらふらと立ち上がる。


「ぶ、無事か、ミュゥ?」


「……きゅぅ」


 白目を剥いて涎を垂らしたまま眠る、もとい気絶するミュゥを抱え、ソファに乗せてテーブルクロスを掛けてやる。


 本日の結果は、用意した2000個のハンバーガー全てが完売。


 門番のおっさん達や受付嬢さん、ゲーらさん達教会の人達には無料で渡したから、売上額は約20万ディオ。

 半日で金貨2枚分の売上を上げたことにる。1ヶ月それなりの宿で何不自由なく暮らせてしまう額を、半日でだ。


「……ハハっ、皆驚いた顔してたな」


 受付嬢さんは口をパクパクしてて可愛かったし、おっさん達2人は例外なくその美味さに吹っ飛んでたし、ゲーらさん達は顔が青ざめ顎が外れるくらい驚いてくれてた。


 ……めっちゃ疲れたけど、それ以上に楽しかった。


 俺は静かに寝息を立てるミュゥに微笑み、


「……お疲れさん」


 向かいのソファに横になった。

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