第19話



「これからどうするの〜?」


「何お前、結局ついてくんの?」


 大型新人の加入に沸き立つギルドを後にした俺は、随分とご機嫌なミュゥを横目に大通りを歩く。


「……捨て、るの?」


「はい捨てない捨てない。っチッ」


「良かった♡」


 俺は今日稼いだ金を掌の上で弄びながら、溜息を吐き、切り替えた。


「ミュゥよ。信じたくはないが、……俺は弱いらしい」


「あーうん、そだねー」


「日々生活するだけで精一杯。冒険者として活躍してガッポガッポウハウハーレムってのは、今の俺には無理みたいだ」


「そんなこと考えてたんだ〜。現実見ようよ?ぷぷw」


「……。防具を揃え、仲間を揃え、準備をするんだ。そのためには金がいる。金を稼ぐぞミュウ!知識チートだ!」


「おぉー(パチパチ)」


 拍手するミュゥに、俺はニヤリと笑う。


「俺は今から、この街に革命を起こす」


「おぉ〜?」


「まずは敵情視察だ!食いまくるぞミュゥ!今日から稼いだ金は全て食費に使う‼︎」


「おぉー!」


 その言葉にミュゥが目をキラキラさせる。なんかよく分からないがご飯を沢山食べれるらしい!と彼女の思考は一瞬で腹の虫に奪われた。


「行くぞぉ!」


「おー!」


 俺達は金を握りしめ、立ち並ぶ屋台へと走るのだった。


 そうして始まったレストラン周回。


 串焼き、


「美味い!」「まい!」


 ステーキ、


「美味い!」「みゃい!」


 シチュー、


「美味い!」「まい!」


 煮込み、


「美味い!」「みゃい!」


 鳥の丸焼き、


「美味い!」「まい!」


 ローストポーク、


「美味い!」「うみゃい!」


 毎日毎日あらゆる庶民的レストランを回っては金を飛ばし、料理の種類やソースの種類、味付けを分析、メモを取り、クエストを受け金を稼ぎ同じことを繰り返す。


 疲れたら教会に帰って寝て起きてまたクエストへ。


 そんな生活を続けて、3日が経った。

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