第17話:ひきこもり、胸糞PK野郎をぶっ飛ばす

「ねぇみんな、あいつのこと知ってる?」


《コメント》

・ああ知ってるよ

・1週間前くらいから活動してるやつでベス・ベランガイとか名乗ってる配信者

・いわゆる迷惑系ってやつだな

・人気ゲーになればなるほど出てくるのが早くてみんな迷惑してる


「え、ベス・ベランガイ?一人なのに?」


《コメント》

・やめてやれよ

・まぁ...まぁあれも3人に見えて1人だから...

・許してやれよ

・やってることは同じだし...


「うーん、ネーミングセンスを疑うね」


《コメント》

・どうする?

・あれは流石に腹立つよな

・個人的にはぶっ飛ばしてほしい

・街中でのPKっていうかそもそもこれ基本はPVEだから

 PK自体がマナー違反


「僕も癪に障るしいっちょぶっ飛ばしたいところだけど...

 それで通報とかされたくないんだよなぁ」


《コメント》

・いや、そこは考慮しなくていい

・うむ

・どういうこと?

・あいつゲーム内システムの指名手配っていうのに引っかかってるから

 仮にキルしたところで問題ない

・なんなら賞金もらえるしな

・じゃあなんで他のやつキルしようとしないんだ?

・それな

・単純明快、あいつの祝福が万物系

・うーわ迷惑系ガチ勢かよ

・しかも万物強化とかいうシンプルかつ強い祝福だからみんな手を焼いてる

・え、なぎちゃにやられる通りなくね?

・あ

・あ

・あ

・早くも公式チートが発揮されるか?


「ふーん、指名手配システムねぇ...よしじゃぁぶっ飛ばすか!」


《コメント》

・やっちまえ

・やっちまえ

・どけどけ!公式チート様のお通りだ!


紫苑は可愛らしい少女の挙動で近づいていく


「ねーねーおにーさん、何やってるの?」


「あ”?なんだお前」


「人にめーわくかけちゃダメだってママに教わらなかったのかな?」


「は?マジで何?殺すぞ?」


威嚇してくるベスに紫苑はとびっきりの笑顔でこう言った


「それにぃ...ぼっちなのにベス・ベランガイ三人一組の化け物ってぇ...だっさぁ♪」

その一言でベスの怒りは沸点に達し、激昂した。器が小さいらしい。


「んだとてめぇ!!!!!そんなに殺されたいならそう言えや!!!

 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


ベスの振るった斧は確実に紫苑を捉え、紫苑に直撃した。

あまりの威力に土煙が舞い、視界が遮られる。


「ハッハハハハハハハハハハハハハハ!!!結局雑魚じゃねぇ―――」


「誰が雑魚だって?」


「なっ!?直撃したはず!?」


「うーん、確かに当たったね!」


「くそ!さっさと死ねやぁ!!!!!」


ベスは斧を振り回し、紫苑に連撃を浴びせる。


「くそ!くそ!なんで死なねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


「おっと、そんなに攻撃力に振っちゃってぇ♪おにーさんみたいなおバカさんは

 急に防御に振れるかな?」


「なっ!?」


「『mementomori』」


紫苑はいままでわざと当たっていた攻撃を急に避け、勢い余ってベスはよろけた。

その瞬間紫苑は大剣を取り出し、懐に潜り込んで一度だけ攻撃をする。


「くっっっそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


万物強化を全て攻撃に振っていたベスは防御力が素でのステータスだったため、

紫苑がスキルを振っていた攻撃で体力を一撃で削り切られた。

ベスの体が崩れ、粒子となって消えていった。

このゲームでの死亡時の演出だ。


《コメント》

・つっよ

・万物固定強すぎぃ!

・やっぱりチートで草

・圧倒的なろう系主人公

・だが圧倒的メスガキ

・宿ってる人格一つじゃないだろ


「ふぅ...シンプルに強い能力だけど、シンプルだからこそ使い手を選んだね」


間違いなく、あんな奴に使いこなせる祝福じゃない。と紫苑は思った。


「うーん、とりあえず街まで来たしキリがいい気がするから

 そろそろ終わろっかな!」


《コメント》

・おつかれ

・おつかれ

・かっこよかった!

・かっこいいメスガキ

・草

・ばいちゃー

・ばいちゃー

・ばいちゃー


「みんなばいちゃー」


紫苑は配信を切り、装着していたギアを外した。


「あぶなぁ...あと2時間ちょいで限界だった...」


あのまま続けていたら、いつ終わるかわからない。そう判断し、

紫苑は配信を切ったのだ。


「流石に...疲れ...た...」


紫苑はそのまま睡魔に身を任せ、眠りについた。


数時間後、紫苑が目を覚ます。紫苑はそのままの勢いで時計を確認する。


「なんだ、まだ深夜の7時か...」


「深夜じゃねえよ朝だよ」


「ん、沙結姉ぇ...おはよー」


「おはよー、さっきからスマホ鳴ってるけどいいの?」


「ふえ?スマホ...?」


紫苑がスマホの待ち受け画面を見ると、かなりの量の通知が溜まっていた。

送り主は全員同期だ。

しかもそのメッセージの趣旨はほとんど同じで


私たちでパーティ組もう!


というものだった。


「え?パーティ?マジで?」


流石に始めて数時間の人間をパーティに誘う人がいるとは思わず、

その類のものはもう少し後で来るものだと思っていたのだ。

まぁ、同期達の性格を考えると、始めたと分かればすぐにでも

誘ってくることは明々白々だったが。


「沙結姉ぇどうすればいいと思う?」


「普通にパーティに入ればいいじゃん。むしろ入らなかったら

 不仲説とか杞憂民とか湧いて面倒だよ?」


「あぁ...そっかぁ...入るしかないのかぁ...」


「まぁ、頑張れ?」


「もぉー他人事だと思ってさぁー」


紫苑はパーティへの加入を承諾するメッセージを送ると、朝食を

作るため、一階のキッチンへと向かった。


「沙結姉ぇ今日は何がいい?」


「うーん、ハンバーグ!」


「朝からハンバーグは重くない?」


「いいじゃん作ってよぉ!」


「もーしょうがないなぁ」


紫苑はこんな毎日をずっと続いていたらいいな、と心の中で思った。


◆◇◆◇◆◇◆◇

現在パソコンで書いているためパソコンに合わせて執筆しているのですが、

スマホで読んでいて読みにくいのであれば報告お願いします。


最後までご覧いただきありがとうございました。

誤字脱字、日本語のおかしなところがあればご指導ご鞭撻のほど

よろしくお願いします。

ブックマークや★、コメントをくださるととても嬉しいです!


それではまた!








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