第43話 次なる攻略対象(メスガキ)さんは?

 魔女の境遇に同情し、自らと融合する事を受け入れたメルディ。

 そんな彼女に、俺が付けた名前は……


「ぐぅぬぬぬぬぬぬぬぬっ!」


「マスター……まだ決まらないんですか?」


「はぁ、ここぞという時に締まらない男よね」


「これだけ悩んでくれるなら、妾としては嬉しいっすけど」


 3人の美少女ロリに囲まれながら、俺は頭を悩ませる。

 魔女、ウィッチ、メルディ。


「メルッチ、ウィメル、ウィディ、マメル……」


「ルディの部分はアタシと被るから、絶対に採用しないでよ」


「むー。元は妾の名前でもあるっすけど?」


「あら、先に担い手のお嫁さんになったのはアタシなのよ」


「私とルディスは特別ですからねー」


「「ちゅー」」


「にゃあー!! ずるいずるいずるいっす!」


 抱き合い、唇を重ねるピィとルディスを見て地団駄を踏むメルディ(魔女)。

 それを見た瞬間、俺の脳内に電流が走る。


「にゃー……そうか! 猫だ!!」


「うにゃ?」


「メルディと猫……! 合わせて、メルーニャってのはどうだろうか!!」


「「「……」」」


「……」


「長いですね」


「五文字……まぁ、いいのかしらね」


 酷評するわけでもなく、普通の反応を見せるピィとルディス。

 いや、案外悪くない反応なのかよ!!


「お兄さん、ちょっといいすか?」


「うん? どうした? やっぱり嫌だったか?」


「いえ、そうじゃなくて。メルーニャだと、メルディ成分しか無くないっすか?」


「え? だって、魔女って元は猫だろ?」


「!!」


「あ、いや、そうと決まっているわけじゃないか。なんとなく、話している時から猫っぽいと思い込んでいたのかも」


「……」


 メルディの体を乗っ取っていたからか?

 いや、そういうわけでもない気がするが……


「まぁ、お兄さんがそう思うのなら。それでいいっすよ」


「お? 気に入ってくれたか?」


「……ん。及第点ってところっすかね」


「ははは、手厳しいな」


「あっ」


 俺がポンと、メルーニャの頭に手を乗せると。

 彼女は驚いたように目を開き、耳をピンと跳ねさせる。


「よしよしよし」


「……にゃぁ」


 嬉しそうに目を細めるメルーニャ。

 魔女と融合した事で、前よりも猫っぽさが上がっている気がするな。



【数十分後】



「なるほどな。魔女に同情するとは、メルディらしい」


 メルーニャの名付けから数十分後。

 俺達の部屋に様子を見に来たカルチュアに、俺達は事情を説明する。


「そういう事っす。大親友のカルチュアなら、分かってくれると思っていたっすよ」


「しかし、せめて我には一言くらい相談しろ」


「いひゃいいひゃいっ!」


 頬を引っ張られて、涙目になるメルーニャ。

 涙目のロリっ子もいいものだ……


「「……」」


「そんな目で見るな。これは男のサガみたいなものなんだ」


「はぁ、リュートの性癖はともかく」


 おい、性癖言うな。


「メルディに新たな名前を与える事は正解だ。世間には表向き、吸精の魔女と化したメルディは討伐された事になっているからな」


 俺があの日、メルディの体をロリ化させて魔女を無力化した後。

 カルチュアが機転を利かせて、そういう話に仕立てあげたらしい。

 そりゃ当然だ。魔女を宿した依代が、ロリ化して生きています……なんて、世界に公表するわけにはいかないからな。


「それに融合は最善策とも言えるかもしれない。メルディと混ざった事で、魔女が今後復活する事は無くなるだろう」


「という事は、もう吸精の魔女の【脅威】は完全に失われたという事っすね」


「ああ。全く、リュートにはつくづく驚かされる。まさか、あの魔女さえも篭絡し、惚れさせてしまったのだからな」


「俺、何かしたっけ?」


 ※理解らせました


「フフッ、やはり貴様を手放すのは惜しい。せめて、我を孕ませてから……この国を去って行って欲しいものだが」


「駄目でーす! 無理でーす! ありえませーん!」


「担い手の赤ちゃん製造ミルクは予約済みなのよ! アンタなんかお呼びじゃないわ!」


「ロリ化してから出直すっすよ。お兄さんはロリじゃないと勃たないんすから」


 いやいやいや、そんな事ないから!!

 綺麗なお姉さんでも、それはもうビンビンですから!!


「ならばいずれ、我もリュートにロリ化して貰うとしよう。自分で言うのもなんだが、幼い頃の我は……それはもう天使のように愛らしかったぞ」


「ああ。今の美貌を見れば、考えるまでもない」


 是非とも、一度その姿を拝見してみたいものだ。

 とはいえ、一国の王女をロリ化させるなんて真似が出来るはずもないが……


「とにかくこれで、全ては一件落着。リュート、貴様には本当に世話になった」


「こちらこそ、活躍の機会を与えてくれて助かったよ。それに、おかげでクインやメルーニャという新たな家族とも出会えたし」


 すっかり大所帯だ。

 これで今後の冒険も、もっと楽しくなること間違いなしだ。


「我は今日中にレストーヌ城へと戻る。貴様達はもう旅立つのか?」


「ああ、そうしようと思っている」


「……そうか。いよいよ、お別れだな」


 カルチュアは俺の瞳を見つめ、じわりと涙を浮かべる。

 うぅ……名残惜しい。

 いっその事、強制的にロリ化して連れ去ってしまおうかと思うほどに。

 でも、そんな事をするわけにはいかないよな。


「待って下さい、マスター。私達も、カルチュアさんと一緒に城へ行きましょう」


「ピィ? どうしたんだ?」


 まさかピィの奴、俺の心を読んだのか?

 それで、カルチュアともっと一緒にいろと……


「マスターは大切なものを忘れていますよ」


「へ? 大切なもの?」


「そうです。一応、アレは回収しておきませんと……」


 アレ? 回収?

 なんの話だっけと俺が思っていると、ルディスが大きな溜息を漏らす。


「はぁ……何を忘れているのよ。アイツよ、アイツ」


「アイツ……あっ!」


 そこで俺もようやく思い出す。

 レストーヌ城の地下牢に閉じ込められている、あの女の存在を。


「インポティの事、すっかり忘れてた」


「インポティ様、だと? もしかして、あの不遜な偽物の事か?」


「あ、いや。カルチュア……今更、すげぇ言いづらいんだけどさ」


「うん?」


「実はあの時、パーティー会場に現れたの……本物なんだ」


「……うん?」


「だから一応、引取に行くよ」


「本物……え? あの愚か者……いや、そんなわけが」


 額に脂汗を浮かべ、目を泳がせるカルチュア。

 普通、こんな話を聞かされてもすぐには信用しないだろう。

 だが、付き合いは短くとも……俺とカルチュアの間には信頼関係が出来上がっている。

 それゆえに、どれだけ否定したくても出来ないのだろう。


「わ、我はなんて事をしてしまったのだぁぁぁぁぁぁっ!」


 敬虔なインポティ信者であるカルチュアは、自らの行いを悔いて吠える。

 いや、マジで本当に……すみませんでした。



【一方その頃 とある教会】


 レストーヌから遠く離れた異国の土地。

 すっかり荒廃した街の中心部にそびえる教会に、2人の男女がいる。


「オイオイオイ! 聞いたかよ!? 吸精の魔女の奴、くたばったらしいぜ!」


 とても丈の短いシスター服を身に纏う少女が、手に握るライフル銃に弾丸を装填しながら騒ぐ。

 その視線の向こうにいるのは、気弱そうな風貌の少年神父。


「え? でも、担当のカルチュア様は……神器を修理中のはずじゃ? うわぉっ!?」


 ッタァーン!

 神父の頬スレスレを、ライフルの弾丸が掠めていく。


「オイ! クソ兄貴!! あんな潔癖症の堅物を二度と様付けするんじゃねぇぜ!! テメェが様付けしていいのはゴミみてぇな神様とアタイだけだ!!」


「わ、分かったよ。ごめん……」


「へへへへっ、それでいい。で、話を戻すけどよ……なんでも、魔女をぶっ殺したのはレベル0の冒険者なんだってさ」


「レベル0!?」


「ああ。カルチュアのバハムートを真っ二つにしたのもそいつだって話だ」


「へぇ……凄い人もいるんだねぇ」


「感心している場合かよ!? そんな奴が現れたとなったら、アタイ達の地位だって危ねぇだろ!」


「う、うん……」


「そういうわけだからよ。ここは一つ……」


 ライフルのリロードを終えたシスターは、ニヤリと悪い笑みを浮かべ……


「そんじゃ、カルチュアのクソアマをぶっ殺しに行くぞ! そうすりゃ、アタイらの地位も安泰ってもんだ」


「ひぇ……相手は王女なのに……」


「んなもん知るか!! 無敵のアイギス兄妹の力、見せつけてやろうぜ!」


 闇の中で、新たな敵が動き出す。

 果たしてリュート一行はカルチュアを無事に守り切る事が出来るのだろうか。






<安藤流斗(レベル0)>>

【体力】3001 【力】 1001 

【技】 1001 【速度】1001 

【防御】3001 【魔力】2001

【幸運】1001 【魅力】3001


【武器適正】

・斧 1001(SSSランク)

・剣&槍&弓&杖 各1(Gランク)


【所持スキル】

『カード擬人化(20000P)』

・ポイントカードに肉体を与える事が出来る)

『アックス擬人化(0P)』

(斧に肉体を与える事が出来る)

『状態異常耐性レベル5(5000P)』

(ありとあらゆる状態異常を完全に無効にする)

『メスガキ理解らせ(消費P1000)』

(生意気なメスガキを理解らせる)

『騎乗スキル・極』(消費10000) 

(ありとあらゆる生物を一流に乗りこなす)

『アックス強化・魔力付与』(消費5000)←NEW!!

・魔力によって、斧の形態を魔法変化させる

『強制ロリ化(消費10000P)』←NEW!!

・美女に限り、肉体を若返らせてロリ化させる事が可能となる


【残ステータス・スキルポイント】

・32999(神丸ポイント)

・1500(登録者)+400×10(評価点)=5500(ボーナスポイント)


【所持金・貴重品】

・約580万ゲリオン(1ゲリオン=2円)

(宿代食事代で定期的に消費されます)

・女神のタブレット

(インポティの顔認証さえあれば、世界のルールを改変可能)

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