第38話 ファーストキスはロリ百合の味


 吸精の魔女との一戦から夜が明けて。

 俺は久しぶりに、孤独な目覚めを体験した。


「……」


 ここ最近はずっと、起きるとピィやルディスが俺のベッドに潜り込んでいたからな。

 あの子達の温もりを感じない起床が、こんなにも寂しいとは。


「アイツら、大丈夫かな」


 これまで何度もいがみ合ってきた2人ではあるが、本気の喧嘩は初めて。

 今後の関係にヒビが入らなければいいんだが……


「様子を見に行くか」


 俺はベッドから起き上がると、ピィ達に用意された寝室へと向かう。

 そして彼女達を起こさないよう、慎重に扉を開く。


「……ん?」


 扉を開いた瞬間、微かな笑い声が聞こえてくる。

 2人とも、起きているのか……?


「もう、ピィ。くすぐったいじゃない」


「ルディスのここが柔らかいのがいけないんです。んふー」


「あんっ……吐息が……」


「?????」

 

 2つ用意されてあるベッド。

 その片方に、ピィ達は抱き合うような形で寝転がっている。

 仲直り……は、しているんだよな?


「ピィだって柔らかいわよ。それに……いい匂いだわ」


「んぁっ……首筋、嗅がないでください……」


「ふふっ、可愛い反応ね」


「そういうルディスだって……んっ」


「ちゅっ」


「!?!??!?!??!?!?!?!?!?!??!?」


 唇を重ね合う美少女ロリ。

 え? なにこれ? 俺がちょっと目を離した隙に……2人はそういう関係にハッテンしてしまったという事なのか!?


「ちゅっ、ちゅちゅ……んぅ。ルディスの唇、気持ちいいです」


「アンタの唇だって……んっ、ちゅっ、ちゅちゅぅ……クセになりそうよ」


 いわゆるバードキス、という感じで。

 唇を何度もちゅっちゅと合わせる2人の光景を、俺は唖然と見守る。

 あんなに俺の事を好きだったはずなのに。

 夕暮れはもう違う色なのだろうか。


「……早くマスターとも、ちゅーしたいです」


「ええ。舌を絡め合って、互いの唾液を交換し合う熱烈なキスを……」


 あっ、どうやら俺の事はまだ好きでいてくれているっぽい。

 良かった。BSS(ボクが先に好きだったのに)っぽい気分を味わうところだった。


「ルディス……好きですよ。マスターの次くらいに」


「あら、アタシだってアンタは担い手の次よ」


「「……ちゅっ♡」」


 唇を重ねてから、今度は互いに頬を擦り合わせる。

 両手は恋人繋ぎ状態で、ルディスの豊満な巨乳とピィの美乳がぐにむにとぶつかりあって……それはもう、ムチィッ♡プニィッ♡と、いやらしい音を立てていた。


「あ~~~……間に挟まりてぇ……」


「「えっ!?」」


「あっ」


 し、しまった!?

 ロリ百合の間に挟まりたい欲が、つい漏れてしまった。


「マスター♡ おはようございます♡」


「バカ♡ ずっと待ってたのよ♡」


 先程までのちゅっちゅですっかり出来上がっているのか。

 俺の姿を捕捉した2人は、目をハートマークにしながらこちらに駆け寄ってくる。


「ちゃんと仲直り出来たんだな?」


「はい♡ もうすっかり……仲良しですよ?」


「そうよ。ほら、見て……♡」


「「ちゅぅ~~♡」」


 まるで俺に見せつけるように、目の前でキスをする2人。

 しかも彼女達の視線は、上目遣いに俺を見上げたままである。


「……っ!!」


「ね? すっかり仲良しでしょう?」


「そ、そうみたいだな」


 思わず、ゴクンと生唾を飲み込んでしまう。

 それほどまでに、今のピィ達の顔は……蠱惑的でえっちぃ。


「マスター……♡」


「やだ……♡ 朝から、何をそんなに大きくしているのよ♡」


 そんな俺の動揺を、この小さいサキュバス達が見逃すはずもなく。

 すっかり発情スイッチが入った2人は、俺の腰に抱きついて……それぞれの胸をむにむにと押し付けてくる。


「ぐっ……!?」


 コレ以上の攻撃を受けると理性が蒸発してしまう。

 そう思った俺は『メスガキ理解らせ』のスキルを発動しようとするが……


「何……? 発動しないだと?」


 そうか。今のピィ達は生意気なメスガキではなく、純粋なメスとして俺にアタックしてきているだけなんだ。

 ここで仮に「ざぁ~こ♡」とか「ダッサ♡」なんて言葉を使うようであれば、俺のお尻ペンペンで絶頂不可避であるが……


「ハッ!?」


 まさかこの2人、そこまで考えて……?


「マスター♡ 私、マスターともちゅーしたいです♡」


「アタシ達のファーストキス、早く奪いなさいよ♡」


「ファーストキスゥ!? さっきからちゅっちゅしとるじゃろがいっ!!」


「えー? 女の子同士のちゅーはノーカンなんですよ?」


「これはただのスキンシップだもの」


「そうはならんやろ」


「どうでもいいんですよ、そんなこと♡」


「いいからさっさとちゅーしなさいよ♡」


 ずりずりずり。

 胸だけではなく、股まで俺の足に擦りつけてくるサキュバスAB。

 これ以上放置すれば、彼女達はもはや戻れなくなる。

 だとすれば、俺のやる事は……


「分かった。28年間のヴィンテージ物――俺のファーストキスを捧げてやるよ」


「「!!」」


「でも、どちらか片方しかそれを受け取れないのは不公平だろ。だからお前達、もう一度ちゅーをして貰えるか?」


「「……ちゅー」」


 俺の言葉に頷き、ピィとルディスは抱き合いながら口付けを交わす。

 俺はそんな彼女達の間に割って入る形で、2人まとめて抱きしめると。

 重なりあう唇に……自分の唇を触れさせた。


「ちゅ」


「「~~~~~~っ!?」」


 その瞬間、ピィ達はガクガクガクガクと全身を震わせる。

 まるで電流に打たれたような反応に、俺は思わずビビってしまったが。


「あ、あへぇぁ……♡ ますたぁ……きもひぃ……♡」


「にゃにこれぇ……♡ ぜんぜん、ちがぁう……♡」


 アヘ顔になりながら、ヘブン状態に突入する2人。

 流石にここまでの反応にはならないが、俺は俺で感動が大きい。


「女の子の唇……やっわらけ」


 もうロリコンと呼ばれても良い。

 だってこんなに可愛いんだもの。愛おしいんだもの。

 好きになって何が悪い!?

 たまたま好きになった子達がロリだっただけじゃないか!!


「マスター! もういっかい!! もういっかい!!」


「1度ヤったなら、何回シても一緒でしょ? ねぇ、ちゅー……シよ?」


「おい、お前ら。今日は魔女の捜索もあるんだぞ」


「「……しゅん」」


「だから……ちょっとだけな」


「「!!」」


 ちゅっ、ちゅちゅちゅっ。

 ちゅ~~~~~♡

 ちゅちゅっちゅちゅちゅっ♡

 ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ~~~~~♡



【ちゅちゅちゅちゅ】

・ちゅちゅちゅちゅちゅっ! ちゅちゅ~~!

・ちゅちゅちゅちゅっ、ちゅちゅちゅっ!!



********************************



【ちゅちゅちゅちゅちゅっちゅうちゅちゅうちゅちゅう~~~~! ちゅっ、ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅっ? ちゅちゅちゅちゅちゅ~~~~!!】


 ※ちゅっちゅちゅ

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