六通目 12月20日

親愛なる真なる日陰者オイレ



誰が日陰者ですか。


あなたのことは特に何も聞かれてませんし、人形についても触れて来ないので特に何も言ってません。

だって本当に一言もお喋りしてくれないんだもの。

もう侍女の件はいいです。一応あなたの助言に従って、扉越しに天候の話を振ってみました。返答はありませんでした。オイレのばか。


食事は我慢できませんので普通に用意されたものを、毎日きちんと残さずいただきます。

今のところおかしなことは何もありません。心配し過ぎです。


あなたの裏の顔、暗殺を仕事にしていることは既に皆に知られていますよね?

今更隠す意味もないと思いますが、確かに大ぴらに言うべきことではないのかもしれません。

とりあえず、あなたの名前を揶揄ったという者たち全員の名前と素性を教えてください。


あなたの言葉選びのセンスも大概ではないでしょうか。

キャンディアップルのくだりとか。

そういえばしばらく食べてません。お土産に持ち帰ってください。

ただやっぱり、キャンディアップルって。


でも分かりました。もういいです。確かに隠す意味はないし、隠せてないですよね。ちょっと雰囲気を楽しみたかっただけです。オイレのばか。


早くお義母さまの腸詰を持って帰って来てください。


ですが、帝都に不在なのであればあなたの言う通り、一旦仕切り直した方が良いように思います。

特にどこにお出掛けするとも聞いてはいませんが、どちらに行かれたのかしら。もうすぐヴォルフの戴冠式なのに。


とにかく、帝都にお義母さま不在と判断したら、一旦戻って来てください。


それと、ヴォルフはどうしているのでしょうか?



神聖ベンディガー帝国皇女 レーヴェ・フォン・ティーア



追伸 梟に酷いことをしないでください。

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