四通目 12月15日

親愛なるオイレ



言われてみれば、こんなに離れていることも、お手紙のやり取りも初めてですね。

たまにはこういうのも悪くはないかも。

ちょっとだけ、楽しい気もします。ほんの、少しだけ。


梟は代えません。代わりがいません。

鳩、いなくなってしまったんですよね。鳥小屋から逃げてしまったのでしょうか。

手紙を託すのに小屋を覗いた時、胸元を赤く染めた梟がドヤ顔していたのは気のせいだと思いたいところです。

あれから数日経ちましたが、鳩は未だ消息不明です。


あなたも梟でしょう。名前もね。

梟同士仲良くしてください。


人形は扉の横に移動しました。

あなたの言葉に従ったわけではありません。夜中にふと目が覚めたとき、二回目でも怖かったからです。

せっかく作ったのだから、使いたいです。


こんな辺境の地で、あなた以外私しかいない塔の中で、誰に見られるって言うんですか。

見張りの兵だって、塔の中までは入って来ませんし。あなたがいないから、話し相手もいなくて人形を作るぐらい寂しい場所なのに。

名前に傷なんて、社交界に出るわけでもない皇女にそんな心配は無用です。

そんなことばかり気にしているから、眉間の皺が深くなるばかりで一向に消えないんですよ。


そうそう、先日お知らせしたお仕着せの件。

やっぱり申し訳ない気がして、どうにかしようと思ったのです。思ったのですが。

誓って、私はただ繕いたかっただけなんです。

でもきっと、オイレは器用だからどうにかできると思います。


そういえば、あなたがいない間、初めて見る侍女が食事を運んで来てくれています。

話しかけてもろくに返事もしない、愛想の欠片もない方です。

少しぐらい、お話して欲しいと思っているのですが、今のところ目も合わせず、首を縦に振るか横に振るかぐらいしかしてくれません。

どんなことをお話すれば、お返事してくれるでしょうか。あなたはどう思いますか?


あなた以外と顔を合わせることもほぼない毎日だったのに、今はそのあなたもいません。私がお願いをしたからではありますが。

一人で食べるご飯は味気ないし、日々の色を失くしたかのようです。


首尾はどうですか?



レーヴェ・フォン・ティーア

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