三通目 12月13日

親愛なる姫君



あなたからの手紙を受け取るのが、実は初めてだと気付きました。なんだか照れくさいですね。

そもそもこんなにも長い時間、あなたの傍を離れるのも初めてです。

髪飾りのことも含め、あなたの元に戻ったらしたいことがたくさん溜まっていきます。


あなたと二人だけの生活、俺も結構気に入っていました。

それでもあなたが望むなら、俺はどんなことでも叶えましょう。

あなたの忠実な執事として、あなたが欲っするものは何でも、必ずやご用意します。


人形の件はご苦労さまです。でもそれ、必要ですか?

お仕着せ、替えはそれしか無いのですが気にしないでください。

自分でどうにかします。二度とどうにかしようなどと思わないでください。主人に繕いものをさせるわけにはまいりません。お気持ちだけで十分です。

取り返しが付くところで踏み止まってください。


それと、俺は夜通しあなたのベッド脇に控えたりしたことはありません。人形はすぐに移動してください。

繰り返しになりますが、そもそも人形必要ですか?

誰かに見られておかしな詮索をされては、あなたの名に傷が付きます。ご自分のお立場をよくよくお考えください。

どうしても置くと仰るならば、部屋の入口辺りが良いのではないでしょうか。

謎の発疹で奥の部屋に押し込めている、とかで良いとは思いますけどね。


ところで、手紙を届けてくれる梟なんですが、他にいませんか?

この梟すごく俺を嫌ってるんだと思うんですよね。

噛み千切る勢いで耳を齧られました。ものすごく血が出ました。これならその辺のキャンディアップルを相手にしている方が楽なくらいです。

あまりに暴れるので今は簀巻きにして床に置いています。

俺を見る目が、完全に天敵を見る目です。

解放した瞬間にまた襲ってくると思います。

勢い余らないよう気を付けますが、この調子ではいつか誤ってやってしまいそうです。

お願いだから別の梟に代えてください。


いや、確か鳩もいましたよね。鳩がいいと思います。


お土産の件、最善を尽くします。



あなたの忠実な執事オイレ

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