第7話 お姉ちゃん
その次の年。十二歳のあたしのもとには、ちゃんとサンタさんが来てくれた。
――けれど、お姉ちゃんのところには、プレゼントは、来なかった。
「お姉ちゃん、何か、悪いことしたの?」
「わたしはいつでもいい子だよ。でも、サンタさんに、会っちゃったんだよねー」
「ええ!? で、でも、あたしのときは、許してくれたわよ」
八歳のあの日。私のもとに届いたプレゼントのことを、私はちゃんと、覚えている。植物の図鑑を頼んで、何度も読み返して。すべて、内容は頭に入っている。
自然の中で生きていくには、必要な知識だったから。他にも、サンタさんからもらったものは、ほとんどが本だ。
「それは、まなが、サンタさんの顔を見なかったから。わたしはばっちり、見ちゃったから」
「そうなの……。じゃあ、来年は、お姉ちゃんも、あたしも、もらって嬉しいものにするわね!」
「いらない。まな、センスなさそうだし。わたし、もう十四だし」
「うっ。い、いいわよ別に! 押しつけるだけだから!」
「えー。めーわくな、いもーとだねー」
「そっちこそ、いじっぱりで、いじわるな、おねーちゃん!」
悪口を言ったのに、お姉ちゃんはなんだか、嬉しそうだった。
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