第8話 Neverland

ここにくると自然と何も話さなくなる

古い時代と現代の時間がまじりあった空気が

少し濃いリップクリームみたい



何処に行ってもきっちりと青い制服を着た人が

ニコリという雰囲気で何かお困りですか?

と目くばせをしてくる(気がする)



だから何も話さなくてもすべて

なんだか知られてしまっているような気がする



ここに来るのは2回目

始めてきた時は夏だったけど



もう一度夏に来ようとおもったら

新種のフェアリーが大繁殖して

体の中もそともフェアリーだらけ



フェアリーに自分の身をそのままやってしまうか

そうしないかしばらくじっとしていた




月を眺めながら一つ分の季節を

過ごした





今は冬




もともといたフェアリーは食べられて

新種のフェアリーが最終的に残った

目に見えないけど

多分そう




ここに来たのは2回目



館内に入るためには体温の検査をしなくては

ならないみたいで




手をかざしたけど

なんも反応がおこらない



冬は寒いから手先なんてマイナスなのかも

でも、まあ高温でなかったから




青い制服を着た人達は穏やかだ

ニコリといった様子でゆっくりと

館内を動いている





一℃もなしとセンサー表示初手水

                こひのむ






真知子の歌人への道はまだ始まったばかりだった






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