第6話 違うんです!
「うぅん...」
爆弾、レシピ通りにいけばニトロン鉱と植物系なんだけど...
>ーーー<
ダイナマイト
あまり威力の出ない失敗作
価格120G
完成度 低
>ーーー<
低、低、低、etc.....。
「全く品質がよくならないっ!」
品質を求めるあまり、
『ドゴオオオオオオンッ!!!』
錬金釜の中で爆発したニトロン鉱とその他たち。激しい音をたて、黒煙が巻き起こった。ニトロン鉱を必要以上に入れすぎちゃった...。
「...ケホッ!ケホッ!」
その後も失敗は続き、燃えないゴミ×15を手に入れた。
そして丸一日使い...
『チュン...チュンチュン...』
「出来た...けど」
>ーーーーー<
ダイナマイト++++++++
錬金術士が作ったとされるダイナマイト、その威力は計り知れない。山のような岩も一瞬で灰塵と化すだろう。
価格 ???
完成度 ???
>ーーーーー<
これじゃ作業場ごとおじさん達まで吹き飛んじゃうよっ...!鞄の中にこれを入れて街に行くのは死ぬほど落ち着かないし、一旦...ここに置いとこ...一旦ね?
「うぅ...もう朝...って元気ドリンク!!」
おじさんと約束したんだった、作って市場までいかなきゃ。急いで作り市場へ向かうことにした、
「元気がないが大丈夫かい?」
おじさんが心配そうに私の顔を覗く、
「大丈夫です、これ飲んでるので元気はあります!...けどこれ」
今私が悩んでいることを正直に話そうと思い、鞄からダイナマイト(失敗作)を出す。するとおじさんは驚いた顔をした、
「どうしたんだそれは?爆弾?」
「あの、おじさんの所の作業場が大きな岩に当たってるって聞いて」
「なるほど!そう言う事だったのか!」
ガハハと豪快に笑うおじさん、私、失敗したのに...
「これ、買わせてくれないか?」
いつの間にか俯いていた顔を上げ、おじさんを見る、その顔は優しい表情をしていた、
「えっ、でもこれ」
「失敗作...確かに市販のに比べれば威力は弱いかもな」
「うっ」
「でも、これとこのドリンクがあれば今日の作業はうんと楽になる。それにこういうのは勝手にするもんじゃない、"依頼"するんだよ」
「は、はい」
「おじさんはこう見えて作業場で一番偉いんだぞ?」
そうだったんだ...知らなかった。別におじさんが上とか下とかではなく、単純に作業場の現場を知らなかったのだ
「明日、おじさんが正式に依頼を出しておくから、また明日来てくれよ。ちなみに!最低でも完成度はこれより上、並以上だぞ!それじゃあ明日な」
おじさんは私に背を向けて手を振った、
「あ、ありがとうございます!」
だんだん遠くに行くおじさんに頭を深く下げてお礼をした。
タダで上げようともしたが結局80Gで売ることになった。まだ鞄の中に失敗作が山ほどあるなんて言えないなぁ...。
よし、なんか元気もらっちゃったな!引き続き頑張ろう!
「ふわぁ...」
その前に寝なきゃ、そう言えば私寝てないや。徹夜は学園の時からしているので慣れたものだが、ずっと錬金術を使うのは普段よりうんと疲れる。精神的にも肉体的にも。
自分の家に帰ると、その途中で家に誰か居ることに気づいた。私は慌てて茂みに身を潜め、何者なのか観察する。
街の警備兵さん達だ、私の釜やベッドなど色々調べてるみたい、何かやだな。盗賊でもないし、出ちゃってもいっか!
「えっと、私に何かご用でしょうか?」
「ここで寝泊まりしている方ですか、丁度良かった」
「ーーー貴女には国家転覆罪の疑いで、署まで同行してもらいます!」
手には私の"
「あ」
と一言。違うんです!という声も出さず、お縄についた。
ーーー。
「聞いていますか?貴女には疑いがかけられているんです。何も言わないならそのまま檻の中ですよ!?」
「あ...ごめんなさいっ!」
元気ドリンクの効果が切れて居眠り仕掛けてた、早く何とかしないと...。ほんとに犯罪者になっちゃう!
「で、押収したダイナマイトですが鑑定したところ街の一部を消す位の威力です、そんなものを何故つくっているのですか、答えて下さい」
「えっと、本当に偶然なんです!私、錬金術学園に在籍してて、依頼で」
「誰のですか?」
「えっと、おじさんの...」
「おじさん?名前は?」
...そう言えば私知らない、聞いてない...。
「...分かりません、でも鉱山の作業員のおじさんです!私、岩を壊すための爆弾を...作っ...てて」
でもその依頼って、おじさん作業場に戻ったみたいだし、早くても今日の夜で...。
色々言ってみたけど実際に依頼はまだ無いし、ここで錬金術の実力の証明も出来なくて八方塞がりだった、こんな事なら鞄の中にいれとけば良かったよ...。
「申し訳ありませんが一旦収容させて頂きます、学園に連絡を回すので大人しく待っていて下さい」
私の抗議もむなしく、身ぐるみを剥がされ檻の中へ。そのあと監視の人も外に出て完全に孤独になった。
ちょっと埃っぽい石に囲まれた部屋、私の頭位の穴から光が漏れていた、外も少し見える、空の色的に夕方だ。
「出れても夜、か」
ふぅ、と息が漏れ少し硬い藁のベッドに体を委ねる、今の私の家よりここのベッドの方が良い...そんなことを思っていると急に睡魔が襲ってきた、そう言えばめちゃめちゃ眠い。ついてない...なぁ...。
ーーー私はそこで意識を手放した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます