第5話 販売開始!

今日は完成した特製ドリンクを販売する日っ!ちゃんと売れるか不安だけど、頑張ろう!

350Gが×20本、7000G...到底一軒家に届かないなぁ。やっぱりここは作るしかないのかな。

私は釜より大きいものは余り作ったことがないので好奇心より不安が勝つよ、安定した暮らしって案外難しいもんなんだね。

せめて家の土台が有れば...家を建てるにしても場所を決めないとね、出来れば水の汲みやすい湖の近くかな~?なんて私のスローライフ計画の妄想をしていた。

「さぁ、やってきたよ!市場に!」

市場の朝はまだ客は居ないが店の人達が仕入れたモノを運んだり品だししたりと忙しなく働いていて賑わっていた。

「よーし私も!」

市場の通りの奥の奥、市場の店の列の末端、ここが誰でも販売していいフリースペースだね、

風呂敷を広げて値札と私の特製ドリンクを並べる、テーブルみたいなの持って来るんだった、風呂敷だけど床じゃちょっとなんか雰囲気ないなぁ。反省点その1っと。

やってみて分かることがこれから沢山あるなぁ、初めてだからめちゃめちゃ緊張するぅぅ~。私どっかおかしくないかな?

そう思っていた所で気付けば一気に人が増えて活気づいていた。

「はっ、もう開く時間だっ!」

慌てて靴を履き、商品の前へ。ここでは私は店長であり看板娘なのだ!

「いらっしゃいませーっ!」


...十時を告げる鐘が鳴った、それは始まってから二時間が経った合図だ。

「中々売れないなぁ」

売れた数何と二個、一人の客が二個買ったので今日来てくれたお客さんは一人。なんか全身真っ黒でフード被ってたから顔は全然分からなかったけどシルエットは何となく女性っぽい人だった。

このまま上手く行くと思ったけどそうでもないみたい、市場のお客さんも普段買うものを決めてから来る人が大半、この朝早い時間となれば尚更私の商品には目もくれなかった。

ーーそしてさらに二時間、昼の12時を告げる鐘が鳴る。私の特製ドリンクちゃん達は減ることなく整列している。

「...大丈夫。売れなくとも私が使えばいいんだもん」

実際、二個売れた時点で700G...ご飯は食べれる。商品が上手く行かなくとも地道に受注された依頼なり何でも屋みたいな事で売っていけばなんとか。


「お嬢ちゃん、錬金術士かい?」

「!?ぁ、はいっ!錬金術士のエフィリアっていいまっすっ!」

パッと顔をあげると強面のこんがり日焼けしたお兄さんがいた、ちょっと萎縮して変に声裏返っちゃった...

「特製元気ドリンク...疲れもたちまち吹き飛ぶ、か。薬師のとこの栄養剤と比べてどうなんだい?」

「こ、効果は少しあちらの栄養剤のほうが上がりますが、これでも1日の疲れを飛ばす程度なら出来ます!」

「この値段でか、味が知りたいな、試しに一本買わせてくれ」

「はい350G頂戴します」

ゴク...と喉をならしながら腰に手を当て一気に飲むお兄さん、飲み終わったのを確認し、

「如何でしょうか...?」

「美味い!しかも朝の作業の疲れが一気に吹き飛んだぞ!すまん、全部くれ!」

「ぜ、全部!?えっと売れたのがさっきので三本で17本、一つ350Gだから5950Gです!」

「はいよ」

6000Gがポンと渡される

「お釣の50Gです」

「あんがとよ。...本当は他の作業員達に薬師んとこの栄養剤をかってやるんだがやっぱり高くてよ。明日もこれ売るか?」

「はい、売れればまた作ろうか検討してたところです!」

「よっしゃ、助かるぜ。えーと」

「エフィリアです!」

「エフィリアちゃん、また買いに来るよ!」

「ありがとうございました!」

そんなこんなで昼のうちに完売することが出来た!


空瓶と滋強草を買い足さねば、取りあえず薬師の所に行けば滋強草あるよね?

取りあえず入ってみよう、

「いらっしゃいませ」

「わぁ...」

薬やハーブの匂いが鼻腔を擽る、結構好きな匂いかも。

「あ、あの。滋強草を探しているんですけど、ありますか?」

「はい、一つ50Gです」

...ほぼ現地調達だからいいものの、これで50G瓶が一つ20G。全部買い集めていた場合私のドリンクの純利益って回復ポーション位にしかならなかったかも。...無理して歩いて良かった。

「取りあえず10個で」

「では500Gです」

「はいっ!」

「丁度ですね、ありがとうございました」

次は雑貨屋だ!どんどん行くよっ!

「ええっ!?空瓶の値段、上がったんですか!?」

雑貨屋のオネエのおじさん、マークスさんから空瓶の値段が上がった事を聞き私はひどく驚いた。

「そうなのよ、空瓶の原料が取れる所が岩に当たって一時中断になったらしくて、一日中撤去作業に回ってるらしいわ、噂によると薬師の栄養剤をつかって代わる代わる24時間ずっとって、大変よね」

「あ、そうだったんだ」

そういう理由で私の栄養剤を全部買ってくれたんだ、

「何か心当たりあるのん?」

「はい、私実はーー」

マークスさんに事情を話すと、なるほどと首肯して納得したご様子。

「なら貴女の出番じゃない?」

「私の?」

「そうよ、毎日その人が栄養剤を買ってきてくれたら、確かに貴女は儲かるかもしれないケド、それじゃいつか大事な客を失うかもしれないわね、けど!貴女、錬金術士...でしょ?♥️」

そっか!

「私がその岩を破壊できるモノを作っちゃえばいい!だよね?!」

「そうよ、エフィリアちゃん!そうすれば私も空瓶が安く売れるし、さっき貴女のドリンクを買ってくれたおじさんも助けられるわ」

皆を幸せにする、錬金術士...私のなりたい錬金術士だ。

「はい、お釣。またねエフィリアちゃん♥️」

「はいっ!私、頑張ります!」

特製ドリンクの作り方はもう覚えた、もう失敗はしない。一杯作れて保存もきくから一気につくっちゃおう。

次に私が目指すのは爆弾、石屋でニトロン鉱を買った。一つ100G、多分失敗するので10個、店でご飯を食べて私の拠点(仮)に帰った。

「さて、と」

>ーーー< 

ニトロン鉱

刺激を与えると微弱な電気を纏いながら激しく発火する

価格 100G

>ーーー<

「作ろっか...爆弾...」





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