優しく切なく、美しい物語

この物語は、ピアノを通じて交流を深める二人の青春を描いた物語です。
脆く繊細な青年たちの心の機微が、美しい旋律にのせて、丁寧に描かれています。

ところが、現代ドラマだと思って読み進めていくと、第二章から物語は一気にミステリーとSFの様相に。
精神的に大きな傷を負って目覚めなくなってしまった親友を、主人公は「ファンタジア」というシステムによって治療しようと試みます。
ファンタジアによって親友の記憶を辿った主人公が見たのは、目覚めなくなった親友の抱えていた葛藤と、「きっかけ」となった事件。
果たして主人公は、親友を救うことが出来るのか?

切なく、どこか懐かしい、美しい物語です。
ぜひご一読を。

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