バカップルは馬鹿夫婦になる

「ねぇ、アリー。」

「ん?」

「やっと私たち夫婦だよ?」


 時はメアリーとギルバートの結婚式の場に移る。


「っ、」


 花嫁衣装に見惚れてもらってハッピーなメアリーは、ギルバートの言葉に赤面した。司祭様の言葉も頭に入ってこなくなる。


(せっかくの一生に1度の結婚式なのに………!!)

「アリー、可愛い。」

「ばか、」


 真っ白の純白の花嫁衣装は、メアリーの実家のコレット商会の力を最大限に利用して、色々なところから美しい物をかき集めて作ったものだ。真珠にダイヤ、繊細なレースに、七色の光沢を放つ、白い絹の布、どれも恐ろしく値の張るものだ。


「にしても、アリーにぴったりな綺麗なドレスだな。」

「ふふふっ、ギルに綺麗って言ってほしくて!」

「あぁ、ーーーとっても綺麗だよ。アリー………。」

「ギル………。」


 2人は桃色の空気を放ってうっとりとした。


「ごほんっ、ーーー失礼。」


 司祭様が唐突に咳払いをした。メアリーとギルバートは苦笑して、ピシッと背筋を正した。


「ギルバート・クラディッシュ、あなたは妻を守り続け、笑顔を絶やすことなく、一生彼女を幸せにすることを女神に誓いますか?」


 どうやらイチャイチャしてしまっているうちにいつの間にか、誓いの言葉に言ってしまっていたらしい。


「はい、彼女だけを生涯の伴侶として愛することを女神に誓います。」

「メアリー・コレット、あなたは夫の支えとなり、彼1人を生涯愛し続けることを女神に誓いますか?」

「はい、誓います。」


 メアリーはいつのまにか変えられていた文面に驚きながらも、嬉しそうに笑った。

 この国では女神に誓ったことは絶対だ。

 だから、この女神に誓うという文面がある場合、その誓いを破ることは不可能になる。


「ギルバート、メアリー、あなた方はお互いのことを大切にして、幸せを分かち合い、温かい家庭を築くことを女神に誓いますか?」

「「はい、誓います。」」

「では誓いの口づけを。」


 2人は幸せそうな微笑みを浮かべて、七色の光に照らされる教会で、女神に誓いの口づけを捧げた。

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