内部侵入
「市内?」
黒い星、プラネットの内部へと入ったかと思えば、俺がまず見たのは空だった。
青い空、白い雲、目を眩ませる光を放つ太陽、此処がプラネットと呼ばれるダンジョン内部である筈が無いと思える程に、俺はこの景色に違和感を覚えつつあった。
周辺を見回すと、ワイズマンが傍に居る。
そして、巨大なビルが何本も立ち並んでいた。
さながらコンクリートジャングルと言った所だろうか。
「此処は本当にプラネット…の内部なのか?」
俺がそう聞くと、ワイズマンは首を縦に振る。
風が吹いた。室内で風が吹く事なと滅多に無いと俺は思った。
風がワイズマンの外套を揺らす、そして彼女の真っ白な太腿が見えた。
「回答。此処は仮想世界。空も雲も太陽も全てがプラネットが作ったまやかし、元々、プラネットは核戦争用のシェルターとして設計したものを、ウィンがダンジョンとして改良したもの」
ワイズマンがそう話すと共に、彼女は後ろを振り向いた。
「ヒラサカ、ゾンビが来ている。私は戦う事は出来ないが補助はする」
そう言って、ワイズマンの目が軽く光ると、俺の視界に何か文字が現れる。
なんだこれは…俺は、ゾンビの群れの方に目を向ける。
【ゾンビ:LV2】【ゾンビ:LV1】【ゾンビ:LV2】【ゾンビ:LV3】【ゾンビ:LV3】【ゾンビ:LV1】【ゾンビ:LV2】【ゾンビ:LV2】
「…おい、これって」
俺がワイズマンの方を見ると、彼女は頷いていた。
「回答。私の視界を、ハッキングによって共有した。適合者が有益となる行為ならば、ワイズマンは手を貸す事を許可されている」
成程な。
だとすれば、これは少し便利だと思う分、初めてなので、少しだけやり難いと思ったりする。
「正直、ゾンビだけだからよ、雑魚狩りの様なもんだろう?」
俺がそう言って黒刀を取り出した時。
「否定。そうとも言えない、ヒラサカ。このダンジョンには強い存在がある」
俺はゾンビを斬り殺そうとした時に、ワイズマンの言葉に耳を傾ける。
「プラネットには、予め設計されたオートマタが存在する。それにはテーマが存在し、それ相応のレベルを持つ者が存在する」
「テーマ?」
あれか。
統一されたものって事か?
「このプラネット内部のテーマは…『黙示録の四騎士』、『支配』『飢餓』『戦争』『疫病』…最低でも、強力な敵が四体、このプラネットに存在する」
ハッキングでそこまで理解出来るのか。
俺はそう関心しながらも、取り合えずゾンビを倒そうとした時。
瞬間、俺の肉体が、焼ける様な痛みを発した。
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