潜在意識の先へ

ワイズマンの手が俺の頭に触れようとする。


「何するつもりだよ」


俺がその手から離れると、ワイズマンは目を細めて言った。


「懐疑。新しい領域に立てる、のに何故逃れる?」


「何もかも説明してねぇからだろうが、その手に触れられたら俺はどうなるってんだ、説明しろ、説明を!!」


そう言うと、ワイズマンは溜息を吐いた。

俺の言動に対して面倒臭いと思っているのだろうか。

いや面倒臭いのはお前の方だろうが。


「回答。私が接触し、『アビオス』のスキルを開花させる。スキルとはナノマシンに内臓させられた、技能・技術の事、その内容は、文字通り、触れたら分かる」


そう言って再び俺の方に手を伸ばしてきた。

触れたら分かる、だと?…こいつに接触する事で、何かが分かるって言う事は、なんとなく理解出来たが、だが…こいつが言っている事は全て本当とは限らない。


俺を騙す為にそんな事を言っているかも知れない。

こうして、何か能力でも使って、意識を支配したり、俺に不利益な行為をする可能性もある。


「…どうせ、こっからのプランなんざ何も考えてねぇ」


…こいつの手によって俺が死ぬかも知れないが、それでも良い。

どうせ心の内では、俺にはもう何も残ってないと理解しているからな。

だったら、ワイズマンに、身を委ねるのも一つの手だろう。


「質問。少し、意識の方に集中する事になる、アビオス、それでも宜しいか?」


「別に、どうとでもなれ」


そう言って俺はワイズマンの手に頭を乗せて、一つ、彼女に言う。


「それと、俺は比良坂護良だ。アビオスなんて名前で呼ぶんじゃねぇ」


「承諾。ヒラサカ」


呼び捨てかよ。

まあ、いいけどな。

そうして、ワイズマンが俺の頭に触れると共に、俺の意識が暗転した。


『質問。ヒラサカ、聞こえるか?』


脳内に響いて来るワイズマンの声。

何処から声が響いて来るのかと思えば、俺の内側からだった。


『これから、お前のスキルを解放する、その表記を出現させる、ので、まずは、残存容量を確認しろ』


そう言われて、俺はステータスを確認した。


LV【51】

【肉体情報】

筋肉強化率/927.50%

骨格強化率/831.02%

神経強化率/887.40%

皮膚強化率/818.49%

器官強化率/658.72%

脳髄強化率/308.13%


【接続機体】

・機体能力値/100.00%

・【雷磁玖釖臨皇崇討帥ライジング・トリスメギストス】/50.00%

・【在巣輝牡牛破湧動守通アステリオス・パワードスーツ】/30.00%

合計容量/180.00%

残存容量/128.13%




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