第32話 また来週、大好きになろう
「ねえ柚希、ご飯美味しかった? 美鈴の作ったご飯、柚希のお口に合ってた? 柚希の胃袋、ぎゅーってできた?」
「うん、最高だったよ、美鈴。美鈴の作ってくれる料理は、いつも美味しい。本当に毎日作ってほしいくらい。毎日俺のご飯、作ってくれない?」
「う~ん、うふふふっ……えへへ、柚希好きすぎ、美鈴の事全部大好きすぎでしょ柚希……そうできたら良いな。毎日柚希のご飯、作ってあげたいな……そう、出来れば良いんだけどな」
「……ありがと、美鈴。大好きだよ、美鈴」
俺の膝の上で、甘えるように、でも落ち込んだ声でそう言う美鈴を後ろから抱きしめる。ぎゅーって、離さないように強く、強く抱きしめる。
「んふっ、ゆずきぃ……えへへ、やっとぎゅーしてくれた嬉しい。うふふっ、美鈴も好きだよ、柚希の事。美鈴も柚希の事大好き……ねえ柚希、この後、どうする? この後、柚希は美鈴とどうしたい?」
んふっ、と可愛い鳴き声をあげて目を細めた美鈴が、う~んと身体を気持ちよさそうに伸ばしながら俺の方を見上げる。
本当に可愛いなぁ、美鈴は本当に……可愛いなぁ、大好き!
「えへへ、こりこりしてくれるの嬉しいけど、今はどうしたいか聞いてるの。柚希がこの後、何したいか聞いてる……んふふふっ、気持ちいいからもっとして欲しいけど……柚希にこりこりしてもらうの、すごく気持ちよくて、ふわふわするけど」
「それじゃあお言葉に甘えて遠慮なく……そうだね、俺はプール行きたいな。もっと美鈴の水着見たいし、他の人に見て欲しい……俺の大好きな美鈴のすっごく可愛いところ、いろんな人に見て欲しい。えっちな姿は、絶対に見せたくないけど」
「んんっ、柚希……え~、プール? それは美鈴がはんたいっ、だって美鈴泳げないし、あの水着は柚希専用だし。それにこんなにお互いいっぱいキスマークつけて、プール行けないでしょ! 柚希の首元、いっぱい美鈴の跡ついてる、美鈴の大好きの証のキスマーク、いっぱいついてる……えへへ、柚希に美鈴のマーキング、いっぱいできてる」
そう言ってん~、と伸ばした腕で俺の首元を撫でる。
確かに俺の首元には美鈴の跡がいっぱい。お互い大好きを伝えながら、抱き合ってキスした跡がいっぱい……でも!
「んふふっ、柚希の首、美鈴の大好きいっぱい。美鈴は柚希専用だけど、柚希も美鈴……ひゃう!?」
「美鈴だっていっぱいだよ、俺の跡、いっぱい首についてるよ! 俺のキスマーク、美鈴にもいっぱいついてる……美鈴と俺が大好き同士の証、いっぱいついてるよ」
美鈴のほうだって俺の跡いっぱいついてるのに!
俺だって美鈴の事大好きだもん、美鈴に負けないくらい大好きだから!
「うん、知ってる……美鈴も大好きだよ。美鈴にも柚希の大好きの証、いっぱいついてるの知ってる……えへへ、美鈴、本当に柚希専用になっちゃうね。柚希の大好き、首にこんなにつけてたら、完全に柚希だけの美鈴だね!」
「ふふふっ、そうだね……あむっ、んちゅ……ちゅぷっ」
「ひゃう、んんっ、あんっ、柚希、それらめ……も、も~! はんっ、えっちな事しない、って言ったの、んあっ、柚希れしょ……んあっ、柚希、好きすぎ、美鈴の事……んちゅ、ちゅぷっ……えへへ、お返し♪」
「んちゅ、ちゅぷっ……ふふふっ、だって大好きだもん。美鈴の事大好きだからしょうがな……ひゃひ!? んんっ、美鈴もえっちだなぁ、あんっ、本当に……ちゅぷっ、れろ、ちゃぷっ……」
「んんっ、ちゅるっ……えへへ、柚希のせいだもん。柚希のせいで、美鈴もえっちになるんだもん……だからちゃんと責任取ってよね、柚希!」
「うん、わかってる……ちゅぷっ、ちゃぷっ……」
「えへへ、やった~! じゃあ、この責任はちゃんとしてもらうからね……あむっ、んちゅ……いひひ」
そう言って楽しそうにとろとろと笑う美鈴と、責任を取るという名目で甘いキスを交わしながら。
ぎゅーっと抱きしめた柔らかい美鈴と、互いにキスを重ねながら。
「んちゅ、あむっ……えへへ、しゅき、柚希……だいしゅき、柚希……えへへ」
「俺もだよ、美鈴。俺も大好きだよ、美鈴……んふふっ」
そんな二人の時間は刻々とゆっくり流れていく。
☆
「美鈴、そろそろ帰らなきゃ。俺の姉ちゃんが、そろそろお腹空かして泣き出して、お酒の消費がえげつなくなるころだから」
美鈴とイチャイチャして、たまに映画見たりして、でもやっぱり上映中も我慢できずにイチャイチャして―そんな生産性のない、でもすっごく楽しくて幸せな時間を過ごしていると、カーテン越しに見える外の景色が真っ赤に染まっていく。
そろそろ帰る時間、もうお家に帰らないといけない時間……姉ちゃんの事は本当は心配してなくて、実際は美鈴の事。
この時間は、その、美鈴のお父さんが帰ってきて、勉強してた様に見せなきゃいけないらしいから。だから俺は帰らなきゃ、美鈴のためにも帰らなきゃ。
「う~、柚希……ヤダ、もっと柚希と一緒が良い。もっと柚希と、イチャイチャしたい」
でも、そうやってまた美鈴を傷つけるのは嫌で、言えなくて。
俺の姉ちゃんをだしに使った言い訳では美鈴が納得するはずなく、う~う~唸りながら、俺に抱き着く力をぎゅーっ、と強めて……ああもう可愛いなぁ、美鈴! その声も顔も、甘え方も―全部全部最高だよ、めっちゃ可愛い大好き!!!
俺だって離れたくないよ、美鈴と離れたくない! 俺だってずっと一緒に居たいよ、こうやって甘えてたいよ、甘やかしたいよ。
「でもダメ、美鈴。帰らなきゃ、俺。本当に戻れなくなるし、美鈴と柚希の関係から。学校では委員長と手塚君、戻らなきゃでしょ?」
でもダメだから、俺たちは。俺たちは戻らなきゃいけない、帰らなきゃいけない。
週に一回、この時間しか俺たちの時間は許されてないんだ―この時間だけ、俺と委員長は、「柚希」と「美鈴」になれるんだから。
「むむむ~、それはそうだけど……じゃあもう一回ぎゅー、して。柚希からもう一回、美鈴の事甘々して……美鈴が一週間我慢できるように、美鈴に柚希の事、いっぱい感じさせて……柚希で、美鈴、いっぱいにして」
「うん、わかった。大好きだよ、美鈴……大好き、本当に大好き」
物足りなさそうに残念そうに顔を膨らませながら、ん~と手を大きく広げる美鈴を全力で抱きしめる。
俺の大好きが届くように、美鈴が俺でいっぱいになる様に―そんな思いを込めながら、美鈴を抱きしめ続ける。
「んっ、柚希……えへへ、美鈴も大好き……やだなぁ、来週は。体育祭だから来週、柚希と会えない……来週は我慢しなきゃだ。柚希の事、美鈴我慢しなきゃ……やだなぁ、そんなの」
「うん、俺も……そっか、体育祭。ホントだ、会えない……あ、それじゃあ来週の月曜日とかどう? その日なら振替休日だし、美鈴も大丈夫なんじゃない?」
「月曜日……うん、楽しみにしてる! また月曜日だね、柚希……えへへ、嬉しいな、また会える……また柚希とこうやって甘々できるの、楽しみに待ってるね!」
「うん、待ってて。それまではこれで、我慢してね」
「うん、我慢する……えへへ、大好き、柚希……えへへへ」
そう言ってニコニコ笑う美鈴と。
時間一杯ぎりぎりまで、ぎゅーっと抱き合い続ける。
「んっ、柚希温かい、好きいっぱい感じる……えへへ」
「美鈴も温かい、ポカポカする……俺も大好き、いっぱい感じてるよ」
「えへへ、良かった……大好きだよ、柚希」
抱き合ってお互いの体温を大好きを感じて……そんな幸せな時間を、名残惜しむように共有した。
~~~
「ただいま~」
「あ、お帰り、ゆず。結構早かったな」
「うん、ただいま……って姉ちゃん!? 何で酔っとらんの!?」
名残惜しいけど美鈴と別れて家に帰ると、いつも通り酔っぱらった姉ちゃんが……なんてことはなく、今日は正常素面の姉ちゃんがお出迎え。
姉ちゃんが休みなのに昼間から飲んでないとか……な、何があったんだ!?
「いや、私でも飲まないことはあるぞ?」
「それにしても珍しい! それじゃあ今日は夜ご飯張り切っちゃうね! 姉ちゃん禁酒記念だ!」
「お、それは嬉しい……って、おお? おお?」
「……何?」
ぱちぱち手を叩いて無邪気に喜んだ姉ちゃんの顔が、すぐににやーっと楽しそうな顔に変わる。
え、何なんですか? 何ですか、その顔?
「すんすん、いや、別に……ふふふっ、ゆずもやるな~、って。それじゃあ夜ご飯、期待してるからね!」
「変な姉ちゃん……ま、期待しといて! とびっきりのご飯、作るから!」
なんか今日の姉ちゃんはお酒も飲んでないし変だけど!
まあそうやって真人間に戻るのは良いことだ、それじゃあ張り切ってお料理しましょう!!!
「んふふふっ、ゆずやっぱり……ふふふっ」
―柚希、首元いっぱいキスマークつけてたな! やることやってるじゃん、ゆずも!
―しかも匂いが七瀬ちゃんと違うし……誰なんだ!? ゆずの恋人誰なんだ、私きになります!!!
「ふふふっ、ゆずに彼女か……おえっ」
―急に自分とのギャップを感じて吐き気を催したてきた。なんで私には、こんなに彼氏が出来ないんだ、ダリアも茜も穂乃果も彼氏……おえっ。
★★★
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