第31話 美鈴は甘えたい

「えへへ、お待たせ柚希。どうかな、可愛いかな?」

 湯上りのいい匂いを香らせた美鈴が、ひょこっと回る様に俺に見せてきたのはだぼっと少し大きめな猫耳パーカー。


 お風呂上がりの上気したほっぺとか鎖骨とか、そう言う局所的な魅惑を存分に出しながら、でもその身体の多くを隠すパーカーは美鈴の身体の細さをより強調して、守ってあげたくなるような雰囲気を出していて。

 ゆるっとした感じとか、甘すぎない感じとか、でもあざとい感じとか―ダボッと大きめのパーカーは、いつもの露出度の高い美鈴とは違った魅力を醸し出している。


「ごくっ、可愛い……めっちゃ可愛いよ、美鈴! 本当に可愛くて魅力的だよ、美鈴!!!」

 あと、ダボダボのパーカーと言えばの魅力である足元―履いてるか履いてないかのあのドキドキ感がたまらない!


 大きめサイズで膝くらいまで隠れて、その中からスラーっとキレイだけどピンク色にむちむちした美鈴の生脚が伸びていて。

 多分下にショートパンツを履いているんだろうけど、猫耳だけにシュレーディンガーの猫みたいな感じで履いてるかどうか確認するまではわかんないというか、美鈴の事だしもしかしたらパンツも履いてないというか……

「にへへ、嬉しいな。柚希が美鈴の事、いっぱい可愛いって言ってくれるの嬉しい……って、また脚見てる! ホント好きだよね、柚希……えへへ、美鈴の脚、大好きだよね、柚希!」


「美鈴ならマジではいて……え、あ、うん! 大好きだよ、脚も! だって、キレイだし、むちむちだし、今お風呂入って桜色に色づいてるし! すごくキレイで、むしゃぶりつきたくなるというか……いや、気持ち悪いけど、そんな感じというか!」


「も~、それは本当に気持ち悪いよ、柚希……でも、そんなに褒めてもらえるのはすごく嬉しい! 柚希が私の事、大好きな事いっぱい伝わってきて嬉しい……そりゃ!!!」

 そう言った美鈴は、バッとパーカーの裾を掴んでひっくり返して……!?


「ちょ、美鈴、それは……あ、あれ?」


「ふふふっ、柚希ビックリしすぎ! もしかして履いてないと思った~? 期待しちゃった~? 残念、スパッツだよ~! ふふふっ、美鈴はそんなにえっちじゃないで~す、ちゃんと履いてます! ごめんね~、柚希!」

 そう言ってニヤニヤ笑いながら、くるくると回る。

 パーカーを掴みながら、楽しそうに回って……


「……いや、それはそれでえっちだ。スパッツはスパッツでえっちだと思うよ、美鈴! てか美鈴が履いたらえっち!」


「えへへ、柚希えっち過ぎ、美鈴の事大好き……えぇ!? スパッツってえっちなの、そんな事ないでしょ!」

 なんか美鈴はびっくりしてるけど、スパッツはえっちだぞ!

 ものすごい密着感でお尻のラインがすごくキレイに出るし、境目の肉感というか、ムチっと感が凄いし、それにそれに……と、とにかく! 美鈴のスパッツはえっちだ、普通にえっちだと思います!


「えへへ、そっかぁ……ふふふ、本当に柚希はえっちだよね! 本当にえっちさんだよ、柚希は!」


「そうだよ、えっちさんだよ! でもそれは美鈴が魅力的でえっちなのが過ぎるのがいけないんだからね! 美鈴のせいで、俺までえっちになってるんだからね!」


「む~、それは美鈴も! 美鈴も、柚希のせいでえっちさんになってるんだもん、柚希が居なかったらえっちさんじゃないもん! 柚希のせいだよ、こうなったの! えへへ、柚希限定だよ、美鈴は! それより、失礼します、よいしょ……えへへ」

 そんな嬉しいことを言ってくれながら、とことこと俺の方に走ってきた美鈴が、膝の間にちょこんと座る。


「きゅ、急にどうしたの、美鈴?」


「いいでしょ、別に……ふふふっ、柚希のここ、温かくてすごく安心する。安心して、柚希いっぱい感じて、甘えたくなる……ごろにゃ~ん♪」

 俺のお腹に頭をすりすりしながら、ごろ~んと本当の猫のように幸せそうに目を細めて身体を伸ばす。


「なんか今日の美鈴は甘えんたがりさんだね」


「えへへ、だって我慢してたもん! 柚希と学校でも本当は会いたかったけど、我慢してたんだもん! 柚希の美鈴をずーっと封印してたんだから、そりゃ甘えたくもあります……えっちな欲望は、ほとんど解消したからね。今は柚希に甘えて、そう言う成分を吸収するターンなの……えへへ、だから甘えさせてね、柚希!」


「ふふふっ、甘えてくれるのはすっごく嬉しいけど、そう言う成分って何?」


「えへへ、ナイショだよ! そう言う成分はそう言う成分。柚希に甘えたり、おしゃべりしてるとと自動的にぽわぽわ~、ってなる成分……いひひ、という事でもっと摂取させてもらうね! えへへ、柚希、ごろにゃ~ん……む~?」

 そんな少し不思議な事を言いながら、俺の胸でごろにゃ~ん、と甘えていた美鈴だったけど、急に不思議そうな顔で俺を見上げてくる。


「ど、どうしたの? どうかしました、美鈴さん?」


「む~? む~?」

 本当にどうしました、美鈴さん?

 何でそんな純粋な目で俺を……いや、可愛いなぁ、目めっちゃキレイだな! 本当に素材が良すぎるって、可愛すぎるよ美鈴さん!!!


「ふひひ、褒め過ぎだよ、柚希……でもむ~、だよ? 今の美鈴は柚希にむ~、してます! む~? む~!」


「そのむ~む~言うのも可愛い、甘える美鈴すごく可愛い……で、でもなんでそんなにご機嫌斜め? なんか至らない点があったでしょうか?」


「む~、む~……してくれないの? イタズラ、してくれないの?」


「え? イタズラ?」


「む~、イタズラ! だってぇ、美鈴がこんなに無防備で、柚希の脚の間で甘えてるんだよ? スパッツパーカーの柚希の美鈴が、いっぱい無防備に甘えてるんだよ? イタズラし放題だよ、柚希? 柚希のしたいように、美鈴にイタズラしていいんだよ? 美鈴、柚希にイタズラしてほしいな?」

 とろ~んとした甘えた目つきで俺の方を見上げながら。

 俺の脚の間で身体を摺り寄せる美鈴は、どこか期待したようなオーラをふわふわさせながら、俺にそう言ってくる。

 俺にイタズラされることを期待するように身体をくねらせて、そのモデル顔負けの体型を主張してきて。


「……い、イタズラって! そ、その……え、えっちな事はもう満足したんじゃないの? もう大丈夫じゃないの? そう言うのは、もういいんじゃないかな?」

 というかイタズラなんて言われると興奮して多分我を忘れてしまう!

 またいっぱい興奮しちゃって、暴走して美鈴の事を傷つけるようなそんな事……だ、だからダメ! イタズラとかそう言うのはしない!


「えへへ、やっぱり柚希と一緒に居ると、えっちポイントも再補充されるの……え~、なんで? イタズラしてよ、美鈴にイタズラ! 柚希にイタズラ、美鈴して欲しいな~」


「うっ、そんな可愛い目で見られると……で、でも! イタズラはダメ、美鈴甘えたいんでしょ? そう言うのは良いんじゃないかな、やっぱり!」


「む~、柚希……むむむ! そ、それなら……おりゃ!」


「ひゃう!?」

 じとー、した愛らしい目つきをしていた美鈴が、思いついたように目を輝かせると、俺のわき腹をこしょこしょする。


「ちょ、やめ……ふふふっ……やめて、美鈴、くすぐったい……ふふふふっ」


「いひひ、そうだろそうだろ! おらおら、これは罰だ、美鈴にイタズラしてくれない罰だ! 美鈴にイタズラしてくれるまで、やめないぞ! 柚希にこちょこちょ、やめないぞ~!」


「や、やめて……んふふふっ、本当に、アハハ、くすぐったい……アハハ、美鈴、ストップ、わき腹弱い……あははははっ」


「そっかそっか、ここが弱いのか~! 柚希の弱点発見、ほれほれ~! どうだ、まいったか柚希! 美鈴にイタズラする気になったか、どうだ! どうだ~、柚希! そりゃそりゃ! そりゃ!」


「ふふふっ、美鈴、やばい……あははははっ」

 ヤバいな、ちょっとくすぐったすぎて、幸せ過ぎてイタズラしたくなってきた。

 美鈴とこうやっていちゃいちゃ甘えるの、なんか幸せで俺もイタズラ……ああ、でもまたやりすぎ……あ、そうだ!


「おりゃおりゃ、こしょこしょ~! おりゃ、柚希おりょおりゃ……あうっ? あうぅ……ん~♪ 美鈴、それ好き……えへへ、柚希好き」


「よしよ~し、美鈴。ふふふっ、美鈴の髪、すっごくつやつやで柔らかいね」

 イタズラ、って程じゃないかもだけど俺への攻撃をやめさせてもっと幸せを享受するために、美鈴の頭を撫でる。

 そうすると、美鈴は可愛く気持ちよさそうに目を細めてまたごろにゃ~ん、ってしだして……ふふっ、俺まで幸せになってくる、こんな美鈴見てたら。

 やっぱり美鈴の事大好きだから、すっごく幸せになってくる。


「んふふっ、美鈴もだよ。美鈴も柚希になでなでしてもらって、幸せだよ……でも、もっとイタズラしてくれても良かったのに。もっとその……えっちなイタズラでも、美鈴は嬉しかったのに」


「それはダメ。えっちな事したら戻れなくなっちゃう、今度は俺が多分戻れなくなっちゃうから……だから、今はこれだけ。なでなでで、我慢してください!」


「ん~、柚希のケチ……ふふっ、でも分かった。美鈴、我慢する、えっちな事は我慢する……また今度、絶対してよ。もっとえっちなイタズラ、絶対してよ?」


「うん、わかってる」


「約束だよ……週に一回土曜日、美鈴は柚希のものになるんだからね。柚希の美鈴になるんだから……だからよろしくね、柚希。柚希の美鈴、いっぱい愛してね」


「うん、約束! いっぱい愛するよ、美鈴!」


「えへへ、やった~! それじゃあ今は柚希に甘えるターンだから、柚希に甘々してもらう時間だから……えへへ、ゆずき~! ふふふっ、好き、大好き……にゃ~ん、ごろにゃ~ん♪ うふふふっ、好き♪」

 そう言って脚の間から膝の上に移動して存分に甘えてくる美鈴の甘い雰囲気を存分に感じながら。

 俺は可愛くて大好きな美鈴の頭をなでなでし続けるのだった。



 ~~~


「んふふっ、柚希……あ、柚希お腹空いた?」


「うん、ちょっとね。また美鈴のご飯、食べたいな」


「えへへ、そっか……それじゃあ今日は、美鈴にしますか? 美鈴の事、美味しく召し上がってくれますか?」


「……そう言う事言わないの!」


「む~、柚希のケチ……えへへ、柚希ならいいのに……柚希の美鈴だから、してくれた方が嬉しいのに~……えへへ」


「ダメだって……戻れなくなるもん、本当に……絶対に、戻れないから」



 ★★★

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