第3話
彼女は3歳の頃に最初の貧血を発症してから、何度も良くなったり悪くなったりを繰り返してきました。
血液検査では大抵いつも貧血状態の値が出るので、先生にも「これが、この子の常態なのでしょう」と言われていたのです。
普段なら特に問題にならなくても、この事が何か治療をしたいという時に制限になった事はありました。
予約していた抜歯手術を、数値が悪くなって断念したこともありました。
「覚悟は」と言われた日、先生と治療についての話をしました。
先生はきっと、16歳という年齢と状態の深刻さから、積極的な治療よりも緩和ケア的な事も考えていらしたと思います。
飼い主側がそう望んだなら、それに添って対応してくださったかと。
私はその時、正直な気持ちを言いました。
「年齢的な事も持病の事もわかっています。でも、まだ諦められません。もちろん、無理はさせたくありませんが、出来る事があるならそちらを選択したいです」と。
そうして、次の日からほぼ入院と変わらない状況で、朝の出勤前に彼女を病院へ預けて、一日中点滴と静脈注射の形で薬を体内へ入れ、夜に迎えに行く事が決まりました。
私は、その場で、私一人でそれを選択したのです。
週の始め。
その時の私の頭の中には、ひとつの思いだけが渦巻いていました。
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