重い世界観なのに思わず噴き出す!? センスが光る、ダークファンタジー!

人間の肉体を腐らせ、死体を魔物に変える。そんなおぞましい『瘴気』のわき出す世界で、人々はクリスタルによる浄化の地に逃れ、3つの領国に分かれて生きていた。その内の1つ、実力領フリューゲルでひとりの男が目を覚ます。1年間の昏睡から目覚めた彼は、次第に自分の体の異変に気づいていくのであった。

重い設定、展開、残酷な描写。苦悩や人間の暗黒面。シリアスに進行していく物語はまごうことなきダークファンタジーです。
しかし、その世界観に『シリアス』とは正反対の要素『コメディ』が共存しているのがこの小説の大きな特徴であり、魅力です。
とにかく登場するキャラが濃い! 日常パートはもちろんのこと、シリアスシーンでも彼・彼女たちの個性は爆発します。突然差し込まれるコメディに思わず噴き出したり、「ここで!?」とツッコミをいれたりしちゃうのですが、笑った後すぐにシリアスに戻れるのがこの小説のすごいところです。雰囲気を損ねないのです。
この小説には犬などの生き物キャラもたくさん登場します。こちらもみんなキャラが濃く、ダークな世界に笑いだけでなく癒しももたらしてくれます。
読者を惹きつけ続けるシリアス展開に、予測不能なコメディ。この、作者様の絶妙な匙加減がたまりません!
また、ストーリーが面白いだけでなく、読みやすい文体で、1話ごとの文字数も多すぎないので、サクサクと読み進めることができます。

この強烈な世界、ぜひぜひ多くの方に体験してほしいです!
(ジオ編 信仰領ヴァルハラ:29話までを読んでのレビューです)

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