第6話:逃げられなかったシンタ

 「うっ、うぅー、何でいるんだぁー」


 「あっ、次この服お願いしますー!」


 「シンちゃんこっちもお願いね?」


 もしもし私シンタ。今秋姉のマイホームにて着せ替え人形にされてます。初狩りなんてひどい。


 「シンちゃん!次これ着て!」


 「はいー」



 着せ替え人形中は特にすることもないので、軽くこのゲームの世界観について説明しよう。世界観は一言でいえば中世ヨーロッパ風ファンタジー。建物は木造、石造り、レンガ造りのどれかで、立派な王城があり、奴隷がいて、貴族がいて、魔法とスキルがあって精霊がいて魔物もいて神もいて。とまぁそんな感じの世界だ。

 中世ヨーロッパといったのは、見た目は中世だが、中身は発展した魔法によって現代に近いレベルまで引き上げられてるためだ。一家に一台テレビというほどではないが、映画館のような施設はあるし、公衆電話もあるところにはある。どちらもそこそこのお金がかかるが、庶民でも頑張れば手が出せるレベル。貴族ともなれば個人でそういったものを保有しているとの噂だ。


 っと、そんな感じで説明しているうちにやっと着せ替えが終わったらしい。おかしいな。そんな時間たってないハズなのに非常に疲れてる。何故だ。


 「ふぅ~、一通り終わったわね。満足したわ」


 「私も大満足!シンちゃんとても可愛かった!」


 「私も眼福でした。ありがとうございました。おかげさまで捗りそうです」


 「俺は疲れました~・・・何でゲームに来てまで疲れてるんだ・・・ミナズキさんは何に捗るんだ・・・ブツブツ」


 「あ、シンちゃん。?ファンのみんなが『配信マダー?』言ってるけど配信つけたら?」


 「配信付けるどころか景色を楽しむ暇すらないほど一瞬で攫っていった姉さんが言う言葉じゃなくない!?って言ってるって何!?AKI姉いつの間に配信付けてたの!?」


 「あら、私の所にも来てるわよ?配信待ってまーす。だって」


 「なt・・・Natsu姉さんまで!?」


 「私のところにも来てますね。配信まだかと」


 「ミナズキさんも!?!?!?」


 え・・・えぇ・・・ここは敵しかおらんのか。とと、とりあえず配信付けよう。みんな付けてるんだからコラボだ何だって気にする必要ないよね。うん。えーと、ここをこうして、アカウント情報はこうで・・・っと



 「あーあー、配信出来てる?」


 ・出来てるぞ

 ・待ってました!

 ・まさかシンタさんがAKIさんとNatsuさんの弟だったとは

 ・お疲れシンタww

 ・ログイン直後の初狩りから着せ替え人形の流れ面白かったぞwww

 ・有無を言わさず女体化させる三人と眼の死んだシンちゃん最高だったwww

 ・誕プレ届いたんだね!良かった!

 ・何でそこにミナズキさんもいるの!?羨ましすぎるんだが!?

 

 「わっ、ちょっ、えっ!!コメント流れ過ぎ!視聴者数1万2千!?いきなりバグった??」


 ・バグってない

 ・AKIさんとNatsuさんの影響力を舐めてはいけない。

 ・これだけのインパクトがある人が底辺だったのは信じられない。

 ・私古参なんでwww( ・´ー・`)ドヤァ

 ・ガチ古参やめいw


 「えーえー、とりあえずVR端末は無事届きました。ありがとうございます。初手で姉さん方から攫われたので街並みすら楽しめてないシンタです。どうぞよろしくお願いします。粗茶はでません」


 ・クラウドファンディングが爆速で終了したの笑ったww

 ・粗茶てwww

 ・粗茶出す系の配信者って何だよww

 ・翌日に機器が届いてるの草ww

 ・ちなシンタが使ってるの最高グレード品で50万くらいするやつな

 ・mjkyww


 「で、配信つけたはいいけど、これからどうしよう。」


 「あ、私打ち合わせ入ったからログアウトするね。じゃぁね。」


 「私も緊急の依頼は入ったからログアウトするわ。」


 「私も打ち合わせあるのでログアウトします。それでは。」


 どうしようか悩んでたら、3人とも仕事があったようでログアウトしていった。そして秋姉の家から強制退出されて初期地点に送られる俺。


 「え・・・、えぇ・・・」


 ・怒涛のログアウトに草ww

 ・弟の扱い雑過ぎww

 ・嵐のような人たちだったなww

 ・姉弟が揃うとこうなるのか、また見たい

 ・それなww


 「で、これから俺はどうしたらいい?」


 ・何してもいいぞ

 ・とりあえずLv10まで上げよう。そしたら初期職に付ける。ついでに色々と出来ることも増える。

 ・Lvは魔物を倒したりクエストをクリアすることで上がるぞ。

 ・クエスト発生条件は一定ではないから頑張れ。

 ・まず武器を買うところからだな

 

 「ふむふむ、とりあえずLvを上げていけばいいのか。とりあえず武器を買って・・・く・・・」


 ・ん?

 ・どうした

 ・何があった?


 「しょ・・・所持金の欄が0なんだけど初期ってお金ないの?」


 ・そんなことはない

 ・初期のお金は1万Z《ゼニ―》あったはず

 ・あ、それAKIさんが盗んでたぞ

 ・まじかwww

 ・草ww

 ・踏んだり蹴ったりで草ww

 ・やばすぎwww


 「AKI姉ええええ!何してるん!?こちとら初心者やぞ!?酷い!」


 ・[AKI]1万Zは服代として貰ったわ。その服かなり性能がいいから確認してみて。本来なら100万Zくらいするんだけど、まぁ弟だからおまけということで

 ・ぶっふぉwww

 ・そま??


 「AKI姉それ嘘じゃないよね?嘘だったら許さないからね!?・・・で、どうやって確認するの?」


 ・そこからかwww

 ・このゲームチュートリアルとかないからなww

 ・インベントリに行くと装備タブがあるからそこから見れる。ちなみに装備の切り替えはインベントリで装備を切り替えるだけでも行けるよ。わざわざ着替える必要はない。


 「え・・・えぇ・・・マジか・・・。なんで一々着替えさせられたんだ。言ってくれればいいのに」


 ・おかげさまで眼福でした。

 ・モヤかかってたけど良かった

 ・最高でした


 「この変態どもめ!!ととととにかく性能を確認ししよう」


 ・同様してて草w

 ・我々にはご褒美です

 ・もっと頂戴もっと!

 ・もっと罵ってくれ!!


 何か変態が湧いてるけど無視だ無視!えー、インベントリから装備タブいって、性能チェック


 「えーっと、これがいいかどうかわからないんだけど、みんなに見せることって出来る?」


 ・配信中は画面に表示させるかどうか選択できるぞ、右上付近に表示内容選択するものがあるはず。

 ・ぐう優秀

 ・天才がおる。


 「おお、これか。どう?見える?」


 ―――姫竜の私服セット(シンタ専用化済)―――

  装備1:姫竜のシャツ

  装備2:姫竜のレザージャケット

  装備3:姫竜のスカート

  装備4:姫竜のブーツ

  装備5:姫竜のチョーカー

  装備6:なし

  装備7:なし

  装備8:なし

 

 攻撃力:70%UP

 防御力:50%UP

 素早さ:60%UP

 全属性耐性:B

 状態異常耐性:B

 

 ・つっっよ

 ・クソ強い

 ・今の最前線でも全然通用するレベル

 ・ぶっ壊れ装備

 ・耐性スキルがエグイ。

 ・割合UPなのがヤバい。Lv上げる程その恩恵が大きくなる。

 ・最前線どころかゲーム終了時まで使えるレベル。

 ・しれっと専用装備化して盗めないようになってて草ww

 ・ホントだwww

 

 「え・・・えぇ・・・、よくわからないけど強いのか・・・、武器・・・拳でいいか」


 ・[AKI]勝手に装備変えたら許さないから。

 ・[Natsu]似合ってるわよ~。あ、武器は好きにしていいわよ~

 ・[ミナズキ]新作出来たら持ってきてますね!!

 ・あれミナズキさん作かよww

 ・とんでもない物作ってて草ww

 ・姉三銃士はキッチリ見てて草

 ・もちろんシンタは抵抗するよ、拳で

 ・↑それ襲われてて倒せてないんだよなぁ(困惑)

 ・草ww


 「と、とりあえず魔物倒しに行こうか。倒せるかしらないけど。」


 よしっ、気を取り直して冒険だ!やっと冒険できる!!楽しむぞー!!

 

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