第7話:魔物討伐と転職
「はい、ということでやってきました。一面のクソミドリ」
・草だらけで草
・ミドリだなぁ。
・プレイヤー少なくね?
・今どきの初期地点ならこんなもん
「とりあえず折角なので魔物狩りに行こう。おっ、狼発見!じゃぁ、いっちょ狩ってきますね!」
適当に街を出て、草原にいる狼を見つけたので倒しに行く。その時、コメント欄では『逃げろ!』というコメントが沢山来てたのだが、戦いに意識を切り替えた俺はコメントを見る余裕はなかった。
狼まである程度近づくと、向こうもこちらに気が付いたようで、こちらに走ってくる。
「よっしゃ勝負!」
「グルゥ!」
勢いそのままに噛みついてきた見え見えの攻撃をサイドステップでかわし、カウンターを合わせに行く。が、それよりも先に狼は前脚を軸にして、突進の勢いそのままに回転。尻尾による薙ぎ払いをしてくる。
これを素手で受け流し追撃しようとするも、狼は既に俺から距離を取っていた。
「次はこっちから行くぜ!おらぁ!」
こちらの様子を見ている狼に向けて、今度はこちらから距離を詰めて顔目掛けて殴りにいく。一瞬で距離が詰まったことに狼は驚いていたが、咄嗟に上にジャンプして回避。
「それは悪手だろぉ!」
空中で身動きが取れなくなった狼に上段蹴りを放つ。確実に当たったと思ったが、あろうことか狼は宙を蹴って回避し、さらにもう一度宙を蹴って反転。ものすごいスピードでこちらに突進してくる。
その突進を回避できないと悟った俺は、上段蹴りの勢いを活かして回転蹴りを放つ。ミシっという嫌な音が脚から鳴り、狼の勢いを反らすことが出来なかった俺は吹き飛んだ。
「くっ、はっ、」
「ギャウン!」
しかしカウンターが思いの他上手くいっていたのか、狼は大きくよろめいていた。狼よりも早く硬直から抜けた俺は急いで距離を詰め、狼の目を目掛けて貫手を放つ。狼も直前で硬直から抜け、避けようとしていたが、それよりも早く俺の貫手が左目に突き刺さった。その一撃は脳にまで届いたようで、狼の身体が光の粒子となって消えていった。
――黒狼の霜降り肉×3をドロップしました。
――レベル13に上がりました。
――初期職への転職が可能になりました。神殿に向かいましょう。
「わっ、なんかめっちゃレベル上がったんだけど?しかも転職可能って出たんだけど!?なんで!?」
・おつー
・つっよww
・一般男性だと思ってたのに・・・
・AKIとNatsuの弟だ、シンタも普通ではなかった
・パンツは白なんですね。可愛かったです。
・あれモザイクかからないの草だったww
「えっ、ちょっ!?パンツみるなぁ!」
・スカートで脚を上げるのが悪い
・むしろ見せに行ってたまである。
・これをわかってて選んだんやろなぁ。ミナズキさんGJ
・それは過言かもしれない。
その後もコメントとやり取りしていると、どうもこの辺りの適性レベルは30とのこと。本来なら始まりの街スタートだったのだが、秋姉のマイホームのある場所が始まりの街からそこそこ離れた場所にあったようで、そこに連れ去られた俺はそうとしらずに適性レベルから離れたエリアに出てしまったようだ。まぁ、敵は倒せたからいいけど。
「で、何か転職可能ってなったんだけど、神殿に行けばいいの?」
・YES
・わかりやすく白くて大きい建物がそれ。
・街に戻ればわかる。
・ちなみに転職には1000zかかるから気を付けて。
「えっ!?お金かかるの!?・・・あっ、何か1523zあるんだけど何で?」
・魔物倒したから
・魔物倒したからだね
・魔物倒したらお金手に入る。
・足りなくなればドロップ品を売ればいい。
・霜降り肉なら5万zくらいで売れるから足りなければ売ればいい。
「ほー、魔物倒すだけでお金手に入るんだ。不思議。まぁ、ドロップ品は足りなくなったら売ろうかな。」
・確かに
・魔物倒すだけでお金手に入るのは不思議だよな
・設定だと全ての魔物一体一体に賞金がかかってるんだったか。それを神が参照して倒した人に貢献度に応じたお金を割り当ててるとかなんとか。知らんけど。
・たしかに不思議。
・変だよな
「ほー、そんな設定なんだ。まぁ、そういう仕様ってことで。とりあえず神殿にいこうか。」
街に戻って神殿に向かい、そこのシスターに初期職への転職の旨を伝える。
「こちらの部屋で少々お待ちください。担当の物をお呼びします」
シスターに案内された部屋で少し待機してると、老齢で穏やかな空気を纏った神父が部屋に入ってきた。
「ようこそ、ミール教会へ。ここの司祭を務めますオールディと申します。本日は初期職への転職とのことでお間違いないですか?」
「はい、それで間違いないです。」
「かしこまりました。ではこちらの水晶に手を当ててください。すると転職可能な職業が表示されると思いますので、どれか一つを選んでください。」
「なるほど、わかりました。」
神父の指示通り、水晶に手を当てると、転職可能な職業一覧が出てきた。一覧に表示されたのは、『戦士・格闘家・踊り子』の3つ。
・踊り子!踊り子!
・踊り子きちゃー!
・踊り子一択でしょ!
・踊り子以外ありえん!
コメントでは踊り子一択と言っているが、何かエッチ衣装な印象しかないのでそれはなし。とすると、戦士か格闘家だけど・・・
・[AKI]踊り子以外選んだら、あなたは女子高生として学校に通う事になるわよ
・[Natsu]踊り子選んでくれたら、高性能PCをプレゼントするわ
・[ミナズキ]踊り子以外選んだらシンタ君のリアルの方にイタズラしますよ!
踊り子一択ですね。対あり。
・姉三銃士の圧が凄いww
・草ww
・ミナズキさん今シンタの家にいるのかよ、羨まゲフンゲフン
・そりゃ姉だもんな当然か
・目死んでて草。そんなシンちゃん好き!
初期職に踊り子を選択すると、スカートの丈がパンツ見えそうなくらい短くなり、中に着ているシャツもヘソダシで、胸元もがっつり開いてエロい感じに。職業選択しただけで衣装変わるってマジか・・・。恥ずかしいんだが。
・キチャー!!
・スクショスクショ!
・眼福感謝~!!
・これで女体化解除したらどうなるんだろう。
・感謝!!
・やめろ
・気にしてはいけない。
・それ以上はダメだ!
・ダメだぁ!
何か不穏なコメントが見えたけど気にしないでおこう。
「おや、踊り子ですか。これは珍しいものを見ました。踊り子については『ミーシャの舘』に行けば教えてくれますから、まずはそこを訪ねるといいでしょう。」
「そうなんですね。ありがとうございます。では、私はこれで」
「お疲れ様でした。あなた様に創造神の加護がありますことを祈っております。」
「あっ、こちら少ないですが寄進です。」
1000Z必要という話を聞いていたので、今更ながらそれを渡す。
「いえいえ、見たところ所持金もそれほどない様子。無理なさらないで結構です。その所持金では宿に泊まるのもやっとでしょうから。」
「そうですか?ではお言葉に甘えてそうさせていただきます。お金が溜まったらまた来ますね。」
「律儀なのですね。あなた様に創造神様のご加護があることをお祈りしております。」
そして俺は神殿から出た。
「さて、次どうするかな。」
「おや、踊り子かい?旅人が踊り子とは珍しいね。」
神殿から出たところで、お胸の大きなエッチ姉さんに声を掛けられた。何ごと。
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