第5話:仮想世界に逃げる

 「とととと、ありありがとととごごg」


 「あらあら健也ちゃん、落ち着きなさい?さんはいヒッヒッフー、ヒッヒッフー」


 「ヒッヒッフー、ヒッヒッフーこれでるやつ!でちゃうやつ!!とと、とにかくありがとうございます。ミナズキさん!早速プレイしてきます!!では!」


 あまりにもカオスすぎる空間に、これ以上いたら俺の胃が持ちそうになかった俺は自室に逃げる。ついでにSNSで誕生日プレゼントが届いたことを報告。『楽しんでくださいね!』『爆速ワロタwww』『大人の力ってスゲー!!』『配信楽しみにまってます!』とか来ている中に、『コラボしましょうね!』『コラボしような!』っていうリプも来てた。アカウント名は前者が「Natsu」後者が「AKI」。はい、どうみても姉二人からのリプです対戦ありがとうございました。何かものすごい勢いで拡散されているような気もするし、フォロワー数が2万超えてたような気がするけど気のせい気のせい!


 「よしっ!俺は何も見てない!仮想世界へレッツゴー!!」


 ということでベッドに横になり、VR端末をセットして起動。その瞬間フワっとした感覚と共に、目の前に真っ白な空間が広がる。


 「おおー、これがVRかぁ、すげぇー・・・っていっても何も無いんだけど。」


 『旅人様、ようこそいらっしゃいました。ゲームを開始する前に、アバター作成を行います。まずは旅人様の名前を教えていただきますか?』


 「うおっ!?ビックりした!」


 突然のアナウンスと共に名前を入力する欄が表示された。少し驚いたものの、直ぐに落ち着き、シンタと入力して登録。


 『シンタ様ですね。お間違いはないですか?』


 「はい、OKです。」


 『かしこまりました。では次にシンタ様の身体をスキャンし、その情報を元にアバターを生成させていただきます。――スキャン開始――異常発生――異能発動状態であることを確認――異能概要を問い合わせ中——』


 『――変身型の異能であることを確認――変身前、変身後のアバターを生成中』


 『シンタ様、ベースアバターの生成が完了しました。女体化の異能ということでしたので、男性時のアバターと女性時のアバターを両方設定ください。』


 「えっ!?ゲーム内でも異能って使用可能なの!?」


 『はい、使用可能です。詳細は省きますが、異能の効果は現実のものと同じ物となります。ただし、ゲーム内でいくら異能を使用しても現実の異能が成長することはありませんのでご注意ください。』


 まじか・・・、VR自体興味なかったから、何か人気なんだなーくらいしか気にしてなかったけど、異能使えるのか。何か人気でる理由もわかった気がする。現実だと自由に異能を使うことって出来ないしね。いや好き勝手使えたら大変なことになるから当たり前だけどさ。


 「よしっ、じゃぁアバター作ってくか。」


 ・・・といってもあまり弄らなくていいかな。このゲームでも配信する予定だし、変えすぎるとそれは何だかなぁって感じするし。とりあえず髪色と眼の色を変えればいいかな。男性時の髪色は青にして目の色も青。髪型はマッシュ+フワフワパーマでいい感じに。女性時はトップを橙に近い赤にして、襟に行くにしたがって赤紫になるようなグラデーションカラーにした。髪型はウルフヘアにする。うん、いい感じかな。決定っと。


 『こちらのアバターでよろしいですか?』


 「はい、OKです。」


 『かしこまりました。アバターを決定いたします。』


 その一言と共に、いま作成したアバターが反映された。いつの間にか目の前にある鏡を見て、しっかり動くことを確認。ついでに異能を使って男性時の姿も確認する。問題なさそうだ。


 『では次に基本操作の説明を行います。まずはメニュー画面を表示させましょう。「メニューオープン」と口にしてみてください。』


 言われた通りメニューオープンと口にすると、メニュー画面が表示される。メニューにはステータス、インベントリ、フレンド、情報掲示板、設定、ログアウトの6項目が表示されている。


 『メニューは表示されましたね。そしたらまずはステータスを選択してください。』


 指示に従い、ステータスを選択し、ステータスを表示させる。ステータスに表示されているのはレベルと名前、異能、所持金、職業、スキル、称号の6項目のみ。HPやMP、STRといった項目は表示されないようだ。


 『見て分かる通り、ステータスでは名前と異能、所持金に称号、スキル、称号を確認できます。スキル、称号はNPCと交流することで取得可能ですので、積極的に交流することをお勧めいたします。また職業は現在旅人になってますが、Lv10になると初期職へ転職可能となっております。それ以降の転職はLv以外にも条件が色々とありますので、探してみてください。』


 なるほど。言い方的に職業という仕組みはあるけど、それとスキルは紐づかなそう?それとも職業ごとにクエスト的なのがあって、それがNPCとの交流・・・ということになるのだろうか。まぁ、やってみればわかるかな。


 その後、各メニュー項目について説明を受けた。重要なところでいえば、インベントリは全10種類×99個のアイテムしか入らない。フレンドはフレンドコードを交換することで登録可能で、登録するとチャットが出来る。情報掲示板はゲーム内で見れる掲示板のこと。設定は文字通り音量バランスなどの設定ができる。配信の設定も設定から行うようだ。また、設定では各項目へアクセスするためのショートカットの設定も可能なようで、特定動作または音で判定することが出来るようだ。後でやり易い形に設定しておこう。


 『以上で基本操作の説明を終了いたします。それでは「Free Real World」の世界をお楽しみください。』


 一通り設定が終わったところで、フワっとした感覚と共に別の場所に転移された。いよいよ冒険がはじm


 「シンタくんいらっしゃい~楽しみましょうね~。ところで何故約束を破ってるのかしら~?^^」


 はじまらないようです。GGGoodGame。対戦ありがとうございました。


 「・・・逃げるんだよぉぉぉーー!!!」


 「待てシンタ!ミーちゃんお願い!!」


 「了解です!」


 「ギャアアアアア!!!!」


 なんで!なんで秋姉と夏樹姉さんとミナズキさんがこっちにもいるんだよ!!!初心者相手にリス狩りなんてあんまりだーーー!!!!




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あとがき:

 残念!姉二人+αからは逃げられませんでした!次の健也にご期待ください!

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