第28話
楽しいキャンプを終え食材の補給も完璧。
帰って来ました。世界樹の里。
「それでは、お世話になりました」
「また、きてね」
「次に来るときには、孫のかお「それは無理!」」
「旅しながらじゃ育てるの無理だから!」
スティアが顔を赤くしながら拒否している。
まぁ、エルフの時間感覚考えたらこの先50年のうちにとかなんだろうけど、この体の寿命ってどーなってるんだろ?
「ヘレナちゃん、孫ができたみたいで楽しかったわ。また来てね。
これからの道中気も付けて」
「はい、エルティアさんもお元気で!また来るのです!」
別れの挨拶をすませて、木の上へ来たのと逆順で台地の砦へと戻る。
「さて、どこ行こうか?」
「山の食べ物はいっぱい食べたから、今度はお魚が食べたいです!」
「そうなると海か湖かー
スティアのお勧めは?近い所ある?」
「谷沿いに南へ下って、平野に出てからずーっと行った所にあるはずだけど、結構遠いわよ?」
「急ぐ旅でもないし、のんびり行けばいいじゃないか」
「ソフィアさん、こっちでいいの?」
『はい、そちらへ向かうと最短一月くらいで到着する筈です』
「それじゃ、しゅっぱーつ」
谷沿いに続く道を三人でゆっくりくだってゆく、アマテラス様達は昨晩のうちに帰って、また予定がついたらくるみたい。
こっちの世界がかなり気に入ったから、殆ど日を置かずに来ると思う。
「ここを本日のキャンプ地とする!」
「それたまに言ってるけど、何かの儀式呪文?」
「僕の国の様式美かな?」
谷の底に流れる太い川に細い支流が合流した辺りで早めにキャンプを張ることにした。
相変わらずここの水はクリスタルのように透明で、屈折具合によって虹色に輝きながら流れ下ってゆく。
「冷たいのですー!あっ、お魚!」
「岩魚みたいな魚かな?テントの準備がすんだら釣りしようか」
「やったです!今夜は岩魚尽くし!」
久々の渓流釣りが楽しみでいつもの準備を早々にすませて、釣り竿と仕掛け、装備を人数分準備する。
「餌はー、こーやって石の裏にくっついてるのを集めて餌箱に入れておいて、釣る時に何匹か針に付けて」
「手が冷たいー、もうちょっと楽な餌はないの?」
「テンカラで毛バリならあるけど、やってみる?」
「こんなので釣れるの?」
スティアが毛バリを眺めつつ疑っていたので、投げ方を教えるついでに一匹釣ってみた。
目の前の流れを何本か探りつつ、三投目でヒット。
川底に溶け込みやすい石のような色と白地に黄色交じりの見事な岩魚が水面を割って毛バリに食いついた。
泣き尺サイズだったので竿の弾性に任せて一気に引っこ抜き。
「一番美味しそうなサイズだな。こんな感じに投げて水に落ちた虫みたいに流してみて」
受け取ったスティアは真似しようと思って投げてはいるんだけど、ラインの重さで投げる要領が判らず苦労していた。
何投かしてアドバイスしようとしたら、魔法で風を操作して毛バリを飛ばす技を開発していた。
こちらの世界ではこーゆーのもありなんだろうなとゆー事で、補正はしなくてもいいだろう。
異世界テンカラ、釣れればOK。
三人で交代しつつ支流を釣り登ってゆく、細いといってもそれなりの水量はあるし、現代日本と違ってこんな山奥で釣りしようなんて人はいないから、まったくすれていない。
プール毎、ポイント毎に良型が水面を割って食いついてきた。
「大漁なのです!」
ヘレナが尺越えの大物に苦戦しつつ笑顔で言う。
あっという間に一人10匹程をキープして納竿、テント場へと帰投した。
小女神さまと異世界でキャンプ のんびり旅と快適テント暮らしが目標です 源泉掛け流し @onsen
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