第21話

スティアの希望でもあるお風呂、の前に出た後の着替えを買いに行こうという事になる。みんなで民族衣装を着ようとの案。

半露店の店へ行くと普段着が何着かとたくさんの装飾品、の奥に民族衣装、男性用、女性用、それぞれ大人用、子供用の計4種類が置いてあった。これを買って自分達でアレンジして着るそうだ。

男性用が落ち着いた深い緑色で長い丈を腰ひもで締めるシャツと細身のパンツ。女性用が翠色のちょっとタイトな膝丈ワンピースとショート丈のジャケット。それぞれに意匠が凝らされていて奇麗なので見ているだけでも十分だ。

「あーっ! 私がいた頃よりデザイン良くなってる。おばさん、これ私達全員分で3着買うわ!サイズあるかしら?」

「まいどありがとね。今はみんな祭事の時くらいしか着ないから

在庫はたんとあるよ。ついでにアクセサリなんかもどうだい?」

おばさんが女性用で大人用一着、子供用の大きいの、小さいのを一着ずつ 計三着を出してきた。

ん-、まあ着てみたくもあったから、吝かではない。

スティアとヘレナに好きなアクセサリを選んでもらってプレゼント。

薬草の売り上げだけで十分間に合う。結構高く売れてた?



現在地・ワイバーンポート。お風呂へ行く為に。

篭に乗って飛び上がり 緩降下でゆっくりと降りてゆく。

世界樹の枝より外側、山脈の手前の低い、といってもそれなりの高さの山の麓にポートが一か所。そしてそこには世界樹の湯。

遠いし来湯に手間がかかるので入りに来る人は余程の好き物だけだそうだ。 

男性、女性に分かれて脱衣所があり、その奥に30人位は入れそうな石組みの湯舟。屋根付きの混浴露天!しかも掛け流しの温泉!だった。


女は胸まである湯着、男は腰巻型で入るシステム

軽く体を洗って久しぶりの温泉を満喫。やっぱり温泉はいいねー!生き返る。

「こんな所があったんだ。もうちょっと近ければ毎日来てもいいね」

「そうね。私も今ではケイのせいでお風呂入らないと駄目な体になっちゃったから、毎日でも来たいわ♪」

「ヘレナもお兄ちゃんからは離れられない体に開発されてしまったので、お肉とお魚を要求するのです。」

頭まで沈んで聞かなかった事とする。

新鮮な環境で少しじゃれたり いちゃついたり もしたいけど、少ないなりに他のお客さんもいるので大人しく入る。

何よりゆったりと浸かっていると何もしたくなる。

そういえば、一回したっきりだな―。最近は日課ってゆー言い方もあるんだっけ?



温泉から出た後は、さっき買った服に着替えて、いつも引っ詰めて縛っている髪の毛を下ろして薄化粧。

せっかくなので こんな時だからとヘレナとスティアも 髪もブラッシングした後、軽く化粧してみる。うん、二人共奇麗可愛い。

普段狩りばっかりだとすぐ崩れるし獲物に気付かれる原因になるからしないしね。

「あら、姉妹三人で温泉なんてステキね。楽しんでいって♪」

管理人のキレイなお姉さん?年齢不詳に声をかけられ返事をして笑い返す。

いい所だね。肉は旨いし姉ちゃんはキレイだ。


名残惜しいけど、夕飯に間に合うように帰還。もうちょっと近ければ、、、無理か。ちなみに世界樹の近く、下には自然物と気根以外は何も無い。何か作ると落下物があった時に大被害がでるためだ。それの見本がワイバーンで飛んでいるときに地上を見ると多々見える。落ちた衝撃で粉々になった巨大な枝。やわらかい地面に実が落ちてできたらしいクレーター。

スティアの話では殆ど季節感のない常春の世界樹で 唯一秋を感じ取れるのが地面に実が落ちた時の音だそうだ。


家に帰るとエルティアさんに歓迎された。

「あらあらあらあら!素敵!可愛い女の子が三人も、お風呂から帰ってきたら娘が増えたわ♪」

「今日は帰りに、ミードと巣蜜、蜂の子の炒ったのを買ってきたので、一杯やりながら摘まみましょう。」

「じゃあ、巣蜜を二個貰ってケイちゃんとヘレナちゃんが飲むジュース作って来るわね。」

「いえ、僕はミードで、、」

「あら、まだ子供なんだからお酒飲んじゃ駄目よ。めっ だからね」

あう、エルフの里産のお酒 楽しみにしてたのに。しょうがない本数は買ってきたから、また旅にでるまで、我慢。ちなみにお察しの通り僕やヘレナの体は毒等、体に悪いものは耐性が強すぎてほぼ効かない。ちょっと酔ってもすぐに分解される。でも泥酔するより長時間酒の味を楽しめるというのは、悪いことではないのではないだろうか。酒が旨くてねーちゃんもきれいならいう事がない。


食卓にはパンと飲み物の他はザリガニの塩茹で山盛り、アヒージョ、スープ、のザリガニ尽くし、が並び、摘まみに蜂の子。

今日は度数が弱いミードだったのでシルバンさんもつぶれずにほろ酔い加減で好調だった。

「ここの蜜蜂はね世界樹の幹に巣を作るんだ。でも居住区部分には巣掛けしない、作るのは枝の無い居住区のさらに下、だから一番下の枝からロープでブランコを下げてそれに跨ってする命がけの作業なんだよ。」

「蜂を飼うことはしないんですか?」

「木の上だと花が咲かない時期があるから難しかったらしいね。それに、蜂の巣採取を生業にしてる家が何軒かあるから、そこがあんまりいい顔をしないと思うよ」

「じゃあ、勝手に採ったりすると問題になりそうですね。可能なら欲しかったんですが」

「そうだねー、数は少ないけど平原の方の小さい木にも巣を作ってる場所もあるから、そっちへ行ってみるのもいいかもしれないね。あっちにはジャッカロープもいるから、ついでに獲れると食卓が賑やかになるね。私も仕事が無ければ行きたいくらいだ」

そういいながら笑っていた。

いい事聞いた。明日以降のの予定は決定!何日か泊まって酒を、、、ではなくて狩猟キャンプをしよう。


「鹿?」

『角ウサギです』

「前にテレビで見たヘラジカくらいにでかいよ?」

『食べ出があっていいことではないですか』

「しかも群れてるし。反撃で襲われない?」

『子連れだと更に獰猛になるのと、群れに轢かれるとかなりのダメージになるので気をつけて下さい』

「更にが付く上に群れで反撃してくるんだ、、、シルバンさんはどうゆう方法で狩ってるの?」

「ママならともかく、パパ、狩りなんてしないわよ? お社の書類仕事が忙しい時期になると、あーゆー事を言いだすのよ」

参考にならなかった。安全策で、また遠距離射撃といっとこうか。



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