第20話

 さて、全長5メートルのザリガニを狩る場合どうしたらいいのかと。地元の漁師の漁の仕方をスティアに聞いても、見た事が無いから知らないと言う。当たり前か。スルメで釣るのでは無いことは確か。

 前に食べようとしてネットで見た知識では、甲殻類は体の真ん中に梯子状の神経が通っていてそれが脳の役割もしているから そこを一気に貫いてやれば締められるとなっていた。

 地球のザリガニと比べると30倍の大きさを持つこいつの装甲厚はそれ以上だと思った方がいいだろう。そうなると近接武器で狩るのは危ない。前に使った25㎜でも下手すると仕留めきれないかも知れない。

 そうなると、、、何があるかな。。。

『=〇天のウクロボロンプロム・マヤック・対物ライフル・23口径30mm、、、なのですが、実はこのモデル、まだ画像ありません。ウクライナで14.5mmナイトプレデター、PG-14.5”Nichny Khizhakニクニー・キザック”などの大型対物ライフルを作っているメーカーなのですが、2021年の7月に23口径30mm対物ライフル開発へ、と発表されていた物です。今回は、ニクニー・キザックを基に23口径30mmで各部の強度を再計算拡大再現!ご用意したものがこちらになります。』


「移動用に天の軽トラ4WD。荷台にライフルを乗せて狩猟用機動車完成。予備武装としてを準備、スティアにはこれ、Snipex Alligatorスニペックス アリゲーター14.5×114 mm 僕が撃つ所見てて解らないとこは聞いて、練習ね。ヘレナ軍曹は観測員と弾の受け渡し要員に任命するぞ。双眼鏡を預ける! 二人共イヤマフ付けるの忘れないでね。はい、これ。」

「拝命致しますの!」

「ありがとう、この鉄の杖、どんな風に魔力を込めればいいの?」

 スティアに使い方を教えて出発!


 高台まで登り軽トラを降りて銃を接地、うつ伏せで構える。口付近から胴体を貫く角度を狙って撃つと、サプレッサーに抑えられた低い発射音が響く、ボルトを操作して排莢。単発なので ついでにヘレナから弾を貰って次弾装填。

 サプレッサーは無い方が威力が上がるかもしれないけど、音はなるべく抑えた方がいいだろう。

 命中。ザリガニの体を支える足の力が抜けて擱座かくざする。

 向きの角度が悪い個体はスティアの銃で撃つと、敵を探して動き出すので、角度がよくなった時点で狙撃。当たり所が悪くてアリゲーターで沈んでしまったのもいるけど、それはそれで、よし!


 狙撃範囲内の個体を全て撃破した後は、歩いて行って次元収納に回収。軽トラで次のポイントに移動しては繰り返し。

 5回繰り返して30匹になった所で終了。あとは実食だ!


「木の上に行って収納から出すわけにはいかないから、ここで食べる分を切り取ってっちゃおう。」

「うえー本当に食べるの?」

 スティアは食べるのが嫌らしい。

「海老さんは美味しいのですよ?」

 先に天の単分子超高周波振動剣鉈で鋏を切り落とし、腹の殻を切り割る。

 ヘレナも切りたそうにしていたので愛刀で下側を切ってもらう。背中もクジラの解体みたいな感じで同田貫を入れて足の付いてる背甲から尾までの腹部分をイチョウ切り断面で左右2パーツ切り出した。背ワタが出たので引き抜いて処理。


 ザリガニと切り出した身をしまって、荷台で一服。

「時間はまだあるし、、、ちょっと焼いて食べてみる?」

 久々の甲殻類の身の味を連想して我慢できなくなった。サクを切り出してさらにスライス。プリプリしてて切ってる感触だけで涎が出そう。ヘレナも同じで待ちきれなさそうだ。

 便利なポータブル電源でオーブントースターを温めて三切れを焼く。

 少し焦げ目がついた辺りで醬油をたらして口の中に放り込む。

 エビ!プリプリ!醤油に合う、濃厚。マヨネーズでも行きたい。

「旨い!」

 他に言うことはなかった。

「旨ーい、もう一杯!お姉ちゃん。食べないのでしたら、ヘレナが食べちゃいますよ?」

「本当に?美味しいの?? 食べる!」


 ◇


「美味しいーー!何これ!? もっと焼かない?」

 お気に召したようだ。物足りなさそうに何もない皿を見ている。

 今度は少し大きめに切って焼いてマヨネーズで食す。

「旨し」

 二人は賑やかに2回お替りして全員が満足した時点で終了。

 ワイバーンに乗って帰った。


「ただいまー!いっぱい獲れたわ。信じられない事に味も最高!」

「皆さん、お帰りなさい。いっぱい獲れて良かったわね♪」

「お帰り。そうか、獲れたか。何はともあれケガも無く帰ってこれて良かった。湖の方から聞いた事がない音がしていたらしくて、噂になっていたけど、何か変わった事は無かったかい?

 この間の夜は東の空が赤く光ったり、次の日は光の柱が見えたってゆーし、何かが起こるの前兆じゃなければいいけど」

 心当たりあり過ぎ、すみません全部僕達関係です。


 その後夕飯を食べながら、説明できる範囲で説明。

「そんな訳ですべては明かせないんですけど、赤い光や光の柱や、さっきの音は全部僕達の関係なので、特に悪い事はありません。事情が事情なので噂は流しっぱなしでほったらかしになりますが。」

 というより神様降臨って瑞兆じゃないかな。

「そういうことなら、それで大丈夫かな。噂だけならそのうち消えて皆忘れるだろうし、何百年も生きてれば誰でも不思議な事の10や20は経験してるものだしな。」

「そうよ、あなた♪ それよりルクラブ・ルブケザリガニ美味しいわよ。せっかく頂いたんだから食べなきゃ。こんなに美味しいの知ってたら毎月獲りに行ってたのに。」

「そうは言っても、今まで肥料にしていたのを思い出すと、食指がなー」

 言いつつ端切れを食べたら はまったらしく、その後はみんなの分まで焼いて焼きガニ奉行と化して ひたすら食べていた。


夜を越して次の日、朝ごはんを食べながら「今日は観光に行きましょ。私が案内するわ。見せたいところがいっぱいあるの!あとお風呂も行きたいわ。あなた達と暮らした短い時間で、入らないといられない体になっちゃったのよ!体を拭くだけじゃ我慢できない!」

「そうだね珍しい食材も大量確保できたし、今日は一日観光に充てよう。その前に肉とか燻製、薬草を売れる所ってない?立て替えて貰ってるワイバーン便の代金と、スティアのうちに泊まらせてもらってる宿代も払いたいし」


「あらー、そんなの要らないわよ♪ ルクラブ・ルブケも頂いたし、他にも美味しい食材たくさん頂いてるし。物々交換ってことで、、ほんとなら逆に払わなきゃいけないわ♪」

「私も要らないわよ。いつも貰ってばっかりだし、命の恩人だし」

そー言えばそんな事もあったっけ。命の恩人。

そんな訳で、今日は観光。。。そーいえば滞在日程決めてなかった。後で相談しよう。


蔦の歩道を幹の方へと歩いて行き、途中で篭エレベーターに乗って樹冠上の展望台に出る。兵士っぽい人がいるから見張り台かもしれないけど。

「すごい。葉っぱの海です!ワイバーンもいっぱい飛んでます!」

「あの人達は木守ね。枯れた枝とか実とかが落ちて下の枝や村に当たると そこも大被害だけど、振動で繋がっている所にも被害がでたりするの、それを防ぐ為に見回りをしてるところね」


見回すとその常緑の海から1本、先が尖った幹が飛び出していた。

「あそこがお社 大巫女様と巫女達がいて祭事を司っている場所」

「あそこだけでも凄いな。かなりの高そう」

「そうね、1000ナクルくらいあると思うわ」

1ナクルってどれ位?

『1ナクルが基準で約18センチ、後は10進法で、10ナクルが1.8メートルになります』


おのぼりさん気分でブラブラしながら世界樹を歩く。立体構造になっているので数字の大きさよりも広く感じるし、実際にかなり広大な面積を確保できていると思う。肉屋と薬草店に寄って、帰るだけの量を買ってもらい現地のお金を入手。山向こうの薬草だし量もあったから結構いい値で売れた、、、と思う。ここの金貨って相場どんな感じなの?噛んでみるのはバッチ―のでドライバーで押してみると凹んだ。試しに思いっきり握ってみる。くの字に曲がった。何を調べたかったんだっけ?


肉塊を串刺しにして焼いたシュラスコのような料理を削いで売ってくれる店で、葉っぱの皿に山盛り一人一皿を買ってお昼。宿り木のように生えさせてそれを収穫しているという果樹と野菜が付け合わせ。

「お肉が美味しい!ソースの味が染みてますー!」

爪楊枝のようなフォークでつつきながら食べる。

「アウトドアで作ってもいいけど、買い食いして食べ歩きもいいな」

食べ終わった後の皿はスティアに言われて道の端の方にまとめて置いておく、木の通路の下や隙間から出てきたヤシガニのような魔獣が爪でちぎって食べ始めた。

「あのカニって食べれないの?」

「昔、誰かが飼っていた魔獣が食べてお腹壊したって聞いたけど、どうなんだろ?地上に行くと10ナクル以上の大きいのがいるわよ?」

地球のヤシガニもお腹壊すってゆーし 止めとこうかな。



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