第17話
スティアがお風呂から上がり、食事の用意もできて皆が席についたところで、アマテラス様降臨。
地面に出現した青白い炎が伸びて魔法陣を書き、そこから太い光の柱が上空に向かって建つ 雲まで延びた柱の中をゆっくり降下してくる二人。
色々演出用意してるんだなー。
今日はいつものラフな格好ではなく、格式ばった服装と髪型に、装飾品。
「スティアよ、今日は大丈夫そうじゃの。我は天照大御神なり太陽を司り万物を遍く照らす最高神なり!伏して迎えよ」
「は、は、はい、お、お目にかかれて光栄です」
光背を背負う神々しいアマテラス様に、自然と膝をついて祈りたくなる。これが本来の姿なんだ。
「はい、今日はここまで!正装って色々付いてて重いから意外と疲れるのよ、それじゃお風呂囲いの陰で着替えてくるわね♪」
長続きはしないようだ。カップラーメンの時間で帰らないといけない宇宙人より短かった。
その後、全員で宅を囲んで食べながらの説明タイム。とゆけさんお手製の豚汁も出して、食べて会話しながらスティアに一通の事を説明。緊張していた彼女も食後のお茶を飲む頃にはだいぶ打ち解けていた。
「ケイくんのアウトドア料理って美味しいのよねー!だから毎日お邪魔しちゃってるんだけど、そのせいでスティアちゃんの大事な時間を奪っちゃって、ごめんなさい」
「いえ、謝られる事なんてないです。ケイを見てて不思議な人だなって思っていたんですけど、その疑問も解けたし。アマテラス様のお蔭でケイ達と会えたんだから、逆に感謝しているくらいです。」
「ウフフ、ありがとう。これからもお邪魔すると思うけど、とゆけちゃん共々宜しくね。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「それと、ケイくんは私にとって義理の息子みたいに思ってるから、孫ができたら抱かせてね♪ 神族時間で生きてるから急かさないけど待ってるわ♪♪」
「が、頑張ります」
赤くなって俯いて答えるスティアの隣に行ってアマテラス様の器に飲み物を注ぎつつ。
「いきなり無茶ぶりしないで下さい。まだ旅も始まったばっかりなんですから。」
「確かにそうなんだけどー。でもこれも本音よ。私達って顔洗ったら生まれたとか、口から吐き出したら生まれたとか、かなり特殊でしょー。だから危ないい時期の人は朝の洗顔のとか家事の時にはすごく気を使うし、血を出したり何気なしに物持ったりできないし、出雲神在月の打ち上げで泥酔して前後不覚なんてとんでもないわ!、、、それはともかく、国生みしてた時代ならともかく今じゃそうそう子供作れないでしょう?だから暫くぶりに孫!とか子供!って分かる存在を抱っこしたいのー!おばあちゃんの気持ち分かってー!」
「アマテラス様見た目が若すぎてどう見ても おばあちゃんって感じじゃないですし。十分現役で通じます。」
「あら、嬉しい!それじゃ何千年かぶりに!ケイくん一緒に頑張ってくれる?」
「はい!よろこ、、、いえ、神様時間でゆっくりお待ち下さい」
◇
「それじゃ、また、お休みなさい♪」
今日は、いつものドアじゃなくて家ぐらいの山が出てきて、そこの大岩調の引き戸を開閉して帰って行った。
演出替え?・・・・・あっー、天の岩戸。
重厚だけど、Wレール開閉アシスト付きで えらく滑らか。ウズメ様一人でも片手で開閉できそうな?
◇
就寝。今日は色々色々あった。今さらテントを分けることもあるまいと、今まで僕とヘレナで使っていたテントで僕を真ん中に三人川の字、、、身長差があるからスマホのアンテナ表示。
寝ながらスティアと僕とが恋人になった今までを静かに考える。、、、スティアって元々ショタと両刀でマゾ気質の三種混合? いや、それはそれでご褒美ですが。あとフェチなんかが加わるといい感じだな。、、、NTRはダメだ存在を感知した時点で全力を持って葬ってやる。
さて妄想してると怖い考えになってしまいそうなので寝よう。
◇◇◇◇◇
うっ、重っ! おはようございます。異世界の朝でーございます。何を申しましょう、今までも朝になるとヘレナがくっ付いていることは多々あったのですが、今日からはスティアまでもが僕にくっ付いています。寝顔が愛らしいので眺めているのは吝かではないのですが、男には朝の自然現象があるわけで、そこにこのような事象が加わると微妙に気まずい感じもあったりします。さすがに朝から一人パンツを洗わにゃならん程は精神的に若くは無いですが、村村とくるものはある訳ですよ。そんな事を考えているとスティアが目を覚まし、寝ぼけながら幸せそうにヘラっと笑ったりする訳です。これで我慢するのは聖人に与えられた最大の苦行と言わずしてなんと言いましょう?
「お兄ちゃん、始めてもいいのですよ?」
「うん、おはようヘレナ、起きるぞ!スティアもおはよう!」
「おはようケイ、ヘレナちゃん。起きましょー、、、でももうちょっとこうしていたい。」
再び沈もうとするスティアをヘレナと協力してくすぐって起こし朝ごはん準備。
「今日からは下り坂だから速く歩けると思うけど、膝に負担が掛かるから気を付けてね」
「「了解!」」
という訳で、小休止を挟みながら順調に距離を稼ぐ。緩急のある下りで浮石も多いため、足の置き場の選択に気を遣う。
谷になった底まで降りると再び登り、降りてきたのと同じ高度をまた上がる。そろそろ休もうか?という所で前方に立ちふさがっていた丘の頂上に着いた。
絶景!左右には雪を頂く大山脈、今いる丘の上から更に数百メートルを下った先には広大な平原と樹林、遠方はと見ると平原が断ち切ったように横一線で終了しそこから地平線まで続く大樹海。先日まで僕らがいた場所は本当に表層で、こちらのジャングル樹海が本番のようだ。
かなり距離があるのに木々の中から突き上げられたような土煙が上がっているのが見える。どれだけでかい化け物がいるんだろう?今は行けないけど、いつかは行ってあれの正体を見てみたいな。
そんな事を考えつつ風景を眺めていると視界のはしに違和感を感じる。距離感がおかしい。山脈と高さが変わらない巨木?樹冠が雲海を突き抜け陽光に輝いている。あれが世界樹?
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