第15話

 お腹がいっぱいになって食後のお茶を入れようかと思ったところで、目の前に どこでもド、、、木製ドアが現れた。

「こんばんは!また来ちゃったわ!毎晩迷惑じゃなければいいけど、、、」

「そんなことないですよ。ヘレナも喜ぶし、美女が二人も毎日訪ねてくれるなんて天国じゃないですか!僕もすごくうれしいです♪」

 スティアのことで気を使ってくれたのだろう、ご飯の時間を外してくれたみたいだ。

「ただ、スティアが毎回こうなっちゃうと、困りますよねふ

 苦笑しながら言うと、

「そーよねー。私もスティアちゃんと、普通にお話ししたいし、、、よし!決めたわ! とゆけちゃんとヘレナちゃん、手伝って!

 ちょっと早いけどヘレナちゃんにこの世界の住人を眷属にする時の法を教えます。ヘレナちゃんが将来この世界の管理神になった時に必要になる事なので、真剣に覚えてね」

「わかりました!お姉ちゃんに正妻の座は譲れないので、がんばるのです!」

 なんか不穏な会話が出ているような気がするけど大丈夫?

『心配ありません。最終的にヘレナ様がこの世界を管理することとなる為、その時に平社員となるか、ベンチャーの内に関係者となるかの違いです。将来の役員候補に強引に組み入れられる危険性もありますが。』

「心配ないわよー。なんならケイくんの眷属にって手もあるけど、まだ少し早いのよねー。この先切り替えするとか色々方法もあるから大丈夫よ。それはそうと久しぶりね。ソフィアちゃん!これからも二人のこと宜しくね!」

『承知いたしました。アマテラス様』



「それじゃ ケイくん、スティアちゃんをお風呂まで運んでもらっちゃっていいかしら?それから禊をするのに、この前みたいに幕を張るから、覗いちゃだめよ♪」

「え?禊って向こうの滝みたいな所でやるものじゃないんですか?」

「まだ寒いのよー。夜の渓流の滝なんて水凍ってるじゃない。」


 また色っぽくなっているスティアを抱擁されたりしたりしながら運び、火の傍まで戻って待機する。

 時折、厳かなアマテラス様の祝詞の後、とゆけさんの警蹕けいひつ、その後、スティアの耐えるような艶めかしい声が聞こえたり、水音が聞こえたり。なにか透明なドーム状の膜、結界?がお風呂周りを囲ったと思ったら、何も聞こえなくなった。


 10分後、ドームも幕も消えるとアマテラス様が裸のスティアを両手で抱きかかえて立っていた。

「終わったー!これで明日からは大丈夫よ♪ このまま寝袋でも大丈夫かしら?」


 とゆけさんも手伝ってスティアを寝袋に入れ戻ってくる。

「お腹すいたー!今日も美味しい所お願いね♪」

「了解です。色々ありがとうございました。から揚げと南蛮漬けとネマガリダケとご飯、熱々で収納にとってあるので、おかわりして下さい。」

 とゆけさんから恒例の?お鍋を受け取り傍らで温めてお椀にとって並べる。今日はモクズガニの味噌汁。僕とヘレナも頂いた。

 コクのある濃厚な味で、ウニに例える人もいるとか、温まるし旨いな。

 そんなわけで、今日の宴も終了。


「ところで、今日は昨日と登場の仕方が違うのなぜなんです?」

「ほら、初回は気合入るし、そこで頑張れば掴みはOKっていうし?二回目からは予算の都合とかで地味になるって定番でしょう?今はCG全盛だからそんな事もないのかしら?」

 アマテラス様達をお見送りして、お風呂に入ってから就寝。


 しばらくしたら、「私いつ脱いだのー⁉」と隣のテントから悲鳴が。明日説明しよう。


 ◇◇◇◇◇


 小鳥の鳴き声と遠くからの滝音、清流の流れる音の調べは自然の中のシンフォニー。

 僕の感性だと表現するのに無理がでるな。気持ちいい自然の中で目覚められた。朝日が差し込み森の生き物達も目覚め始める。

 昨日はあまり寄ってこなかった精霊が普通によってくるようになった。慣れ?

 滝とか巨木とか泉とか、何かしらのスポットになってる処に多くいるみたいだ。


 と朝ごはんの支度をしながら考えていて、ハタと思いついた、そー言えばトイレって用意してなかった。

 なぜか自分は行きたくならなかったので、思いつきもしなかったけど、、、完全消化型の体?改造人間?? やめろーショッカー!

「ごはんの後に考えよ。」


 本日の朝ごはんは昨日のズガニの味噌汁と白ごはん、スライスした燻製肉の目玉焼き、ノリと醤油。納豆付け加えたら旅館の朝ごはん?


 ◇


「私、昨日も気付かないうちに寝ちゃってたみたいなんだけど、、、ケイから見てどうなってたか教えてくれる?・・・おまけに目が覚めたら裸だったんだけど?」

「夢は?夢は?どんなの見たのです?」

「、、、それがまた昨日と同じ感じで、また会えたのが嬉しくて抱きしめてたら水の中に落っこちて、そこで目が覚めたわ。だから寝ながら何してたのか自分でもすごく気になるのよ。さすがに服を脱がされたら普通気が付くし。」

 ん~、どう説明したもんか?


「今日の夜には完全に説明できるから、僕とヘレナを信じて待ってもらえる?超常のことではあるけど絶対に変なことでは無いから。今だと説明しきれない。」

「わかった。それじゃ今晩まで待つわ。


 それはそうと、この箱は何?」

「やっぱり気になるよね。うん。、、、これは個室型トイレ。可搬式だけど 水洗、ウォシュレット、温熱便座の定番最新型だよ!」

「トイレはわかるけど後の三つがわからないわ?」

「とりあえず、説明するから使ってみて、、、ヘレナ軍曹!任務を与える!」

了解サーイエッサ!コマンダー!ただいまより任務にかかるのです。

 いいかー!きさまらにこれから許される言葉はー、、、」

「そこからやると長くなるから、巻きで教えて」

「了解なのです。ではお姉ちゃん。カモン プリーズです」


 ◇


「ちょうど朝の時間だったから使ってみたけど、凄いわ!これ。もう他のところの使えなくなっちゃうじゃない!

 お風呂といいトイレといい野営幕といい、、、もう他の所じゃ生きていけない体に開発されちゃったわ!だから責任取って私をケイくん達のチームに入れて!」


「なんか人聞き悪い所もあるけど、、、んー、もとより、二日目くらいからは普通にチームのつもりだったよ? だからスティアが抜けたくなるまではチームだよ」

「ほんとに?絶対よ⁉今からダメって言ってもダメだからね!」


「故郷の最高神の名前に掛けて嘘は言わない。たぶん今晩も来るから絶対確実な保証付き!」

「?」




―――――――――――――

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