そんな理由で自殺騒ぎ？ レスキュー隊まで来ちゃったよ！？ タッカー(中学生編)

『本当にあったアホい話し』③

　これは、すさまじいまでに命の炎を燃やした漢（おとこ）たちの、後世に伝えられるべき物語である。

　むかーしむかし、世の中がとてもおおらかな時代だったとき、今では完全にアウトどころか、一発退場レベルのお話しですが、彼らが輝いているその瞬間を、大目に見て頂けたら幸いです。

『本当にあったアホい話し』③

そんな理由で自殺騒ぎ？　レスキュー隊まで来ちゃったよ！？　タッカー(中学生編)

　わたしが中学生の時の話しだ。

　それは掃除の時間だった。

　わたしは焼却炉にゴミを持っていくために廊下を歩いている時だった。

　※今ではありえない光景①

　今では酸性雨問題とか、焼却炉の中の石灰（せっかい）(灰)と水(流れ込んだ雨水など)の化学反応によるボヤ騒ぎなどの所為（せい）で、学校から焼却炉はすっかり消えたが、当時は学校単位でゴミを燃やす焼却炉があった。

　廊下の窓をふと見ると、隣りの校舎の屋上の緣（ヘリ）を一人の男子生徒が歩いている。

　※今ではありえない光景②

　この当時、屋上には誰でも簡単に出られたし、屋上に落下防止の柵やフェンスは設置されていなかった。

　ウチの学校の屋上の緣（ヘリ）は100センチ程の高さのコンクリートの立ち上がりが有るだけで、そこを越えれば地上まで真っ逆さまだ。

　そのコンクリートの緣は幅30センチ程あり、子供が歩くには十分な広さだ。

　だからそこに乗ろうと思えば、誰でも簡単に乗れる状態だったのだ。

　屋上の彼はフラフラと屋上の緣を歩いている。

　アイツ何やってるんだろう？

　わたしは疑問に思ってしばらく眺めていた。

　すると周りの生徒たちもその光景に気付き始め、ザワザワと学校中から声が聞こえ始めた。

　屋上の彼はタッカーだった。

　(実際には後日タッカーだったことが判ったのだが、ストーリーテラー（わたし）の都合で、この時点で判った事にする)

　学校の生徒たちがタッカーの異常行動に気付いたように、タッカーも生徒たちの反応に気付いた。

　タッカーはワザと片足を外して外に投げ出すような仕草を取った。

　すると女子生徒たちがそれに反応して、

「きゃーっっっっ」

　と言う黄色い声が響き渡った。

　タッカーは明らかに調子に乗った！

　ちょっと走ったり緣（ヘリ）に座ったりし始めたのだ。

　その度に湧き上がる叫声（きょうせい）。

　声が上がる度に増える観察者。

　更に大きくなる叫声。

　15分程経った。

　学校にけたたましいサイレンが鳴り響き、レスキュー隊が到着した。

　レスキュー隊は一斉に消防車を下り、タッカーが居る辺りにエアーマットを準備する。

　準備を終えた4名の隊員が頭上のタッカーを見上げる。

　当の本人は、今や学校中の注目を集めている事に酔っていて、両手を広げてヤジロベーの形でバランスを取りながら、ギリギリの際（きわ）を歩いて見せたり、ガクッと転ぶ様な素振（そぶ）りを見せたり、ヤツのパフォーマンスは徐々に激しくなっていく。

　その度に湧き上がる女子生徒たちの叫声は、3棟ある校舎から一斉に湧き上がり、今では学校がどよめいている様にも聞こえる。

　ハッキリ言ってヤツはノリに乗っていて、完全に舞い上がっている。

　30分近く経った頃、タッカーは興奮状態が少し覚め、両足を外側に投げ出して緣に座り、足をバタバタさせながら景色を眺めていた。

　その間もずっと学校中が彼を見守っている。

　掃除の時間はとっくに終わっている。

　わたしもゴミ箱を抱えたままだ。

　だがしかし、この一連のタッカー自殺騒ぎは不意に終止符を打った。

　パフォーマンスに夢中になっていた彼に、後ろからそっと近付いて行った先生が、タックル気味にタッカーを抱き抱え、屋上に引き摺り下ろしたからだ。

　今、わたしが思うに、たぶんタッカーは全校中の注目を集めてしまった為に、引くに引けない状況に追い込まれてしまっていたのだと思う。

　レスキュー隊まで来ちゃったし。

　屋上の緣に座って足をブラブラさせながら途方に暮れていたのかもしれない。

　先生が彼を捕まえた時、タッカーはきっとホッとしたのだろう。

　何故なら、彼がこの自殺騒ぎを起こした理由が、

『給食のおかわりを断られたから』

　だからだ！！！

　おあとがよろしいようで。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

〈あとがき〉

　はじめましての方、はじめまして。

　いつも読んでくださる心優しい神様。ありがとうございます。

　【じょえ】デござんス。

　中学生になったタッカー。

　やっぱりアホですねw

　中学校にレスキュー隊来た時はホントに衝撃でした。

　楽しんでいただけたら幸いです。

　ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。

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『本当にあったアホい話し』③

そんな理由で自殺騒ぎ？　レスキュー隊まで来ちゃったよ！？　タッカー(中学生編)

https://kakuyomu.jp/works/16817330650467284311

他にはこんなお話しを書いています。

良かったら覗いて見てください。

ちょっと留置場に入ってきた。

https://kakuyomu.jp/works/16817330650173907337

『本当にあったアホい話し』①

中2のカンジ、新幹線を数時間止める！　その激闘の記録

https://kakuyomu.jp/works/16817330650173907337

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紙飛行機でうっかり自宅全焼。タッカー(小学生編)

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本当にあったアホい話し④

全裸フリチンで小学生を追いかけるジジイ、イーボー！

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観察日記『妻と13人の別人格との共同生活』

https://kakuyomu.jp/works/16816700428966142110

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　誠にありがとうございます。

　感謝しております。

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