第18話 山へ進め 4
「……えーと、デイコン、バグサイ、ホーレ草、チンゲ菜、シモネタネギに子爵芋。あと、薬草類も積んだな……よっこらしょっと」
緑の龍が住んでいるだけでその地の土が肥え、日照りも長雨も起こらなくなる。古龍の私ともなればその力も大きい。促成栽培などお手の物だ。その気になれば大抵の作物は1週間もあれば収穫でき、葉物の野菜などは一日で足りる。
「さて、今日も張り切って山を下りるぞ。……出発だ!」
でも野菜や穀物ばかりでは生きては行けない。肉を手に入れなくては。だが私は狩が苦手だ。いや、した事が無い。そういえば生き物の殺傷すら経験がない。本来の姿で山奥の寝床で昼寝している私を、龍の素材目当てに襲って来る人間は数多くいたけれど、龍の魔力を垂れ流しに出して偉そうな言葉を適当に並べて、脅すだけで誰もが逃げ出していったのだ。あの魔王を除いては。
「ポコちゃーん!……待ってたぞ!……今日は何を売ってくれるんだ!」
「あ!……抜け駆けは無しだぞダゴサク!」
「……鍋物に旨い
「「変態は帰れ!」」
そう遠くない距離にあるグラバスの街。山道もかなり整えられて広いので、毎朝収穫したものを人力の荷車に積んで売りに来ている。お得意様も出来てありがたい。
「みんな!……野菜は沢山あるから、喧嘩しないんだぞ!」
「お…‥薬草も揃えているのか」
「ポコちゃん!このデイコン2本とチンゲ菜を4束だ!」
今日も到着してから、板で棚を組んで並べる暇もなく大繁盛だ。……忙しいけど嬉しい!……今日は串焼きを山ほど買って帰るぞ!
「あ!……まおう!!」
え?……魔王?……何で私の居所が……そんな馬鹿な………………。
「ポコちゃん?……大変だ!ポコちゃんが倒れた!……しっかりしろポコちゃん!」
「私は医者だ!……どれ……気絶しているだけだな……心配ない。……しかし調合に足りなかった
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