エスペランスバトル
1-10 ルーク
エレンが氷のシャンデリアを落とした年からおよそ5年がたった。
今日は街中がテレビや街頭モニターの画面に釘付けになるエスペランスバトルの日。
エスペランスバトルとは
この日を待ちわびて会場に足を運ぶ一人の男子がいた。
名前はルーク・フォルスといった。
すらっとした細身の高身長イケメンであり、さらさらとなびく栗色の髪に
色白で顔のパーツが整っておりモデルのようだが、瞳の奥には確固たる強い意志があり、目にかかった前髪から覗く若干つり目気味の目からはツンとした性格の冷たさが伺える。
5年ごとに開催されるエスペランスバトルに、前大会はルークは9歳だったため出られなかったが、今回は中学三年生だから出場出来る。
ルークは小さな頃から四聖星になるのが唯一の夢であり、目標だった。
一人っ子のルークを座学・実技どちらも一位にすべく父母は厳しく育て、ルーク自身も『一位』にこだわり努力してきた。
その甲斐あってか、小学生の頃から今まで小テストでは100点以外を取った事がなく、定期テストでは2位の人と大差をつけ毎回学年ダントツで一位を取っていた。
小学生の頃は親に褒められたいと励んでいた勉強の成績が、中学生に上がると自分の努力を注ぐものであると同時に100点を継続することがプライドの高さを上げ続ける原因となっていった。
それ故に徐々に周囲から孤立していき、孤高の存在となっていた。
また、ルークの両親は風術しか使えないが、ルークは生まれつき突然変異種である四聖星の卵でもあった。
四聖星の卵は一つのものしか操れない両親から一千万分の一の確率で産まれてくる。これは一つの惑星に一人いるかいないかの確率であり、ルークの両親はこの奇跡をとても喜んだ。
しかし、四聖星の卵でありながら頭も良いという天才は、噂が学年に広まると、百点を取る度にズルをしたか疑われ小学生の時は
四聖星の卵として生まれたことは変えられない体質であり、自分は努力でも一位に成れると証明するために勉強を頑張っていたのにそれが周囲には理解されなかった。
中学に進級すると目立つ委員会も係も避けるようになり、無口の影が薄いいわゆる”陰キャ”とカテゴライズされる地位に属した。
必要な時以外は喋らなくなり、友達と言える存在ももちろんいなかった。
そんなルークの唯一の友達は本であり、一日中読書と勉強に費やす日々を送った。
今日のエスペランスバトルにも分厚い本を御守り代わりに鞄に入れてきた。
「頑張ってね」
「頑張れよ」
と背中を押してくれた両親に
「行ってきます」
と言って晴れた空に足を踏み出し、ふーっと息を吐きながら不安を断ち切るようにルークは一歩一歩会場に向かって歩いていった。
【お知らせ】近況ノートの方に挿絵を載せたので良かったら見てみてください。
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