第27話 初戦の相手は熱いやつ!?
俺の初戦の相手は長い赤髪の二刀流剣士だった。
「なんだ? お前、武器を買う金もないのか? 5万カーネン俺が恵んでやるからさっさと帰りなよ、オッサン!」
いかにも性格の悪そうな引きつった笑みを浮かべて相手は言う。
まだ十代だろうか?
さっき冒険者登録用紙に20歳って適当に書いたから、俺より年下ってことになるのかもしれない。
年下にナメられて多少はムカついたが、それでも、5万カーネンやるから帰れという提案はすごくいいなあ、と思ったのだけども、確認のためにユニカの方を見たら首を大きく横にブルブルと振っていた。
なので、俺はその赤髪の二刀流剣士にこう言った。
「ああ、ごめん。なんか戦わなきゃ駄目みたいで。よろしく頼むよ」
よくよく考えてみると、この適当っぽい言い方が相手を怒らせてしまったのだと思う。
「遊びじゃねぇんだぞっ! 剣も槍も持たないで一体どうやって戦うんだ!」
ユニカのほうを見ると、指、指! とジェスチャーしている。
だから仕方なく俺はこう言った。
「この指で戦わせてもらう」
それで相手は完全にキレてしまったようだった。
「ぶち殺してやるっ!」
と叫ぶように言うと、その赤髪の剣士は二本の剣でバッテンを作ってから目を閉じた。
そして、「ハッ!」っと気合いを入れるような短い声を出したかと思うと、次の瞬間その二本の剣がボッと燃え出したのだ。
俺はそれを見てめちゃくちゃ驚いたのだが、赤髪の剣士は容赦なくその燃え上がった二本の剣で襲いかかってきたのである。
俺はとにかく逃げ出そうとしたのだが、あまりの恐ろしさに声も出ないし、体も動かない。
それで、「ああ、死んだな」と思ったのだけど、
その直後、「キンッ!」という指からは絶対に聞こえないような変な音が、でも確かに俺の指から聞こえてきたのである。
それで恐ろしさで閉じかけていた目を見開いてよく見てみると、なんと俺は右手の人差し指でその燃え上がる二本の剣を受けていたのである。
俺も驚いたが、相手はもっと驚いていた。
驚きすぎて、結構男前なのにそいつはかわいそうに鼻水なんか垂れ流していた。
「キンッ!」
「キンッ!」
「キンッ!」
「キンッ!」
「キンッ!」
と、5回連続で相手の攻撃を受けた後で、俺は試しに少しだけ人差し指に力を入れてみた。
すると、
「バキッ!」
とヤバめの音がしたので、ついに指が折れたかと思ったのだが、なんと相手の二本の剣の方が折れていたのである。
「ヒィッ! お前、一体何もんなんだよっ?」
その赤髪の二刀流剣士がひどく怯えた声で訊いてくるので、俺は正直にこう答えた。
「俺はヒーラーだよ」
すると、相手はなぜかこう言ったのだ。
「おっ、俺の前で、ヒーラーとか言うなあああああっ!」
それで、なぜか泣き出しそうな顔をしているその赤髪の二刀流剣士をその仲間らしい金髪ポニーテールの黒いゴスロリ服を着たちっちゃい女と、銀の鎧姿のめちゃくちゃ背のでかいケツ顎男が石造りの決闘場のようなところから無理やり引きずって連れ出していった。
すると、会場にこんなアナウンスが流れたのだ。
「アルバトン・ダッカー選手は途中棄権と見なし、ショウ選手の勝利といたします! みなさま、大きな拍手でわたしたちの勝者を讃えましょう!」
そういうわけで俺はその日、生まれてはじめて自分のために打たれる
※※※
第27話も最後までお読みくださりありがとうございます!
もし少しでもおもしろいと思っていただけたら 、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!
【次回予告】
第28話 年の差なんて!💕
愛に年の差なんて関係ないよね! って思っている方はぜひ読んでほしい第28話っ!
どうぞ続けてお読みくださいませ
m(__)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます