第28話 年の差なんて!💕

 俺と赤髪の二刀流剣士の試合を見て他の参加者は次々と棄権していき、結局俺はたった一度戦っただけでその大会を優勝してしまった。


 どうやらあの赤髪の二刀流剣士がガチガチの優勝候補だった、その優勝候補を泣かしてしまった(たぶん最後は完全に泣いてたと思う)俺に勝てるわけがないとみんな判断してしまったらしい。


「おめでとうございます! ショウ選手! これであなたはターナヤ王国の王都であるターナヤーナ公認の最強の冒険者となりました! 今後は存分にこの肩書きに相応ふさわしい活躍を期待しております! では、賞金の50万カーネンと私たちの王からの依頼状です! お受け取りくださいませ!」


 黒髪オールバックに赤い蝶ネクタイに紫のスーツという、ちょっと胡散臭い四十くらいの男がそう言っている間、俺はこちらに全力で手を振ってくれているユニカのことをずっと見ていた。


 一応、命懸けで戦った後に美少女にあんなに熱烈に祝福されるなんて、なんか俺っておもくそリア充星人みたいだな、とか思いながら。



「師匠! やりましたね! 信じてましたよ、ユニカはっ!」


「ユニカにもらったこの指輪のおかげだな。これがなかったら絶対死んでたよな」


 俺はそう言いながらも、そんなことありませんよ、を熱烈に期待していたのだが、


「そうですね、死んでましたね」


 と、ユニカはあっさり言い切る。


「・・・・・・やっぱり?」


「でも、こうやって旅の軍資金も手に入れられたんだから良かったじゃないですか!」


 俺が渡した賞金50万カーネンが入った額を胸に抱きながらユニカがうれしそうに言う。


 結婚資金じゃなかったのか? とはさすがにこわくて訊けなかった。

 

 代わりに俺は差し障りのないこんな質問をした。


「ところで50万カーネンってどのくらいの価値なんだ?」


「そうですねぇ。大体半年はユニカと二人で余裕で暮らせるくらいのお金ですね」


「へぇ! 結構すごい金額なんだな!」


「師匠! このお金でこの街で部屋を借りてユニカと二人で濃密な大人の時間を過ごしましょうか?」


「濃密な大人の時間? ガキが何言ってんだ?」


 俺が思わずそう言ってしまうと、ユニカはちょっとだけ言おうかどうか考えるような素振りをしてからこう言った。


「師匠! ユニカはガキじゃありません! ユニカは師匠よりもちょっとだけ年上なんですよ!」


「そうなのか? 俺は20歳だけど、ユニカはいくつなんだ?」


「ユニカは・・・・・・1万と15歳です」


「・・・・・・・・・」


「どうしたんですか? 師匠! 年なんて関係ないですよね?」


 潤んだ大きな瞳でユニカが俺のことを見つめてくる。


 うん。どう見ても15歳くらいの超絶美少女にしか見えないもんな。


 声もめちゃくちゃかわいいし、年寄り臭いことも言わないし、白髪も今じゃ最新のオシャレヘアにしか見えないし、まあ、別にいいよな?


「別に俺はどうとも思わないけど、ユニカの方が年上なんだから、これからは俺が敬語を使った方がいいのか?」


 ユニカはブルブルと首を左右に激しく振ってからこう言った。


「1万年のことは忘れてください、師匠! ユニカは15歳。師匠は20歳。師匠の方が年上だからユニカが敬語を使います!」


 うん。

 でも、それだとあっちじゃ世間がザワついちゃうんだよな。


 まあ、それでも1万年のことはユニカの言う通り忘れちゃった方が俺もこれまで通り自然な感じで接することができるかもしれない。


「オーケー! わかった! ・・・・・・じゃあ、ユニカのことは今まで通り年下だと思って接するからな! それでいいよな?」


「はい! 師匠! それでお願いします!」


 そう言うユニカのくそかわいい顔をまじまじ見ながら、これが1万15歳・・・・・・とか一瞬考えてしまったが、頭を左右に思いっきり振って、そんな考えを振り落とし、もうこれからはそういうことは一切考えないぞと密かに俺は心に誓った。



※※※

第28話も最後までお読みくださりありがとうございます!


もし少しでもおもしろいと思っていただけたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!


【次回予告】

第29話 ユニカ、ドラゴンになる!💕


 ついにユニカがドラゴンの姿に!

 ワクワクドキドキの第29話っ!


 どうぞ続けてお読みくださいませ

m(__)m

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