第24話 はじめての共同作業!?💕

 俺の手の中でユニカが何やらゴニョゴニョ言っているので、口を塞いでいた両手を離してみると、


「師匠! ちょっと待っててください! ほんとにちょっとですからっ!」


 と言って、ユニカは砂煙を派手に上げて一瞬でどこかへ消えていってしまった。


 走るのも早いのね・・・・・・。


 と俺が思っている(驚き疲れてテンション低め)と、本当にちょっとの時間でユニカは50本ほどの大木を運びながら、やはり超速で走って戻ってきた。


 俺はその姿を見て引くどころか、ほんとにマスタードラゴンの娘なんだ! と密かに感動すらしていた。


 どうやら俺はすでに異世界に順応し始めているらしい(しかし何か大切なことを忘れているような、はたまた失ってしまったような気がずっとしている。だからこのユニカという少女といてもなんとなく切ない)。


 ユニカは、ドンッとその50本の大木を地面にぶっ刺すと、


「師匠っ! ユニカのおててを握ってください!」


 と言ってきた。


 元来素直な俺は言われた通り、手を握った。


 冷たっ!


 ユニカの手はちょっと驚くくらい冷たかった。


「師匠のおててすっごいあったかいです!」


 ユニカはそう言った後で、また例の地面を激しく踏みつける動作を始めたので、俺は迷わずその口を塞いだ。


 すると、またユニカが俺の手の中でゴニョゴニョ何か言っているので、すぐに手を放してやると、


「師匠っ! すいません! 師匠のおててがあったかくてあったかくてついまた炎のブレスが出ちゃいそうになりました」


 ・・・・・・でしょうね。


「師匠! ユニカのおててを握りながら、師匠の理想のお家を頭の中で想像してみてください! 鮮明にですよ! そして、愛する者に愛の告白をするように熱烈にっ! ・・・・・・はい、どうぞっ!」


 俺は元来とても素直なので、特にツッコミを入れることもなく、目を瞑って頭の中で理想の家を想像した。鮮明に、そして熱烈に!


「師匠! 伝わってきてますよ! すごい伝わってきてますよ、師匠の愛がっ!」


 俺は元来そこそこ勘がいいので、パッと目を開けると、やはりユニカはまたしても地面を激しく踏みつけるあの動作をしていた。


 なので、俺は手を繋いだまま、もう一方の手でユニカの口を塞ぎ、さらに目を瞑って、理想の家を鮮明に、熱烈に想像した。


 たぶんあそこに警察官(きっとこの異世界にもいるんだろう)がやって来たら、とんでもなく大変なことになっていたんだろうなと思う。


 でも、警察官はやって来なかったので、俺はその体勢のまま目を瞑り、理想の家を思い続けた。


 すると、しばらくしてユニカがまた手の中でゴニョゴニョ何か言い始めたので、俺は塞いでいた手を放してやった。


「師匠の思いは十分すぎるほど伝わりましたよ!」


 ユニカはそう言うと、50本の大木に向かってキラキラと輝く光のブレスみたいなのを吐き出した。


 その光はすぐに50本の大木全体を包み込み、それからピカッと一際激しい光を放った。


 俺は思わずまた目を瞑った。


「師匠っ! 目を開けてください!」


 ユニカがそう言うので目を開けてみると、そこには俺がついさっき想像した通りの理想の家が建っていた。


「すごいっ! すごいっ! すごいよっ、ユニカッ!」


 と俺が思わず興奮して大きな声を上げてしまうと、ユニカはこう言った。


「師匠とユニカだけの愛の巣ですよ! 師匠っ! 初めての共同作業しちゃいましたね! 結婚式前に!」


 それを聞いて俺は初めてこう思ったのだ。


 ああ、このはヤンデレだ。



 それもこの異世界最恐の・・・・・・。



 その時、一瞬何かを思い出しそうになったのだが、本当にあともう少しのところで俺はその何かをのがしてしまった。




※※※

第24話も最後までお読みいただきありがとうございます!


もし少しでもおもしろいと思っていただけたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!


【次回予告】

第25話 昔からの夢


 あなたの夢はなんですか?

 きっと夢を追いかけたくなる第25話っ!


 どうぞ続けてお読みくださいませ

m(__)m

 


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