第18話 女同士の戦い 第1R 💕

 ミーファ・ガタラのその無茶苦茶な挨拶に初めに食って掛かったのはなんと、うーピリだった。


 以下は、それをきっかけに始まった女同士の戦いの記録である。



「ちょ、ちょっと、いきなり結婚とか何言ってんの? あんた? 16歳でJK年代だからって調子に乗ってるわけ? マジむかつくんですけど!」


「隊長、なんですか? このお喋り魔剣は? 言ってることがまるでわからないんですが。呪いの言葉か何かでしょうか?」


「呪いの言葉っ? 何あんたこそわけのわかんないことを・・・・・・ってか、そもそも魔剣じゃないし! 聖剣だし! ・・・・・・ってかてか、あんたガキのくせに生意気っ!」


「この国では成人年齢は15歳で、16歳は立派な大人だ! 魔剣!」


「ちょっとっ! 大人かなんか知らないけど、うちの方が年上なんだから、ちゃんと敬語使いなさいよ! ・・・・・・ってか、魔剣じゃなくて聖剣だって言ったよね?」


「隊長、うちの家にもっといい剣がたくさんありますから、こんな人間に楯突たてつくような魔剣は早く捨てた方がいいですよ! うちに来てくれたらミーファが隊長にぴったりの剣を選んであげます!」


「はぁー? はぁー? はぁー? 何言っちゃってんの? あんた! うちとお兄さんは一蓮托生いちれんたくしょう! 一生一緒にいる運命なんですけど! 大体あんたの家なんかにのお兄さんに合う剣なんてあるはずないし! ・・・・・・ってか、あってたまるかっ!」


「隊長! 隊長は完全にこの魔剣に取りかれてますよ! いい除霊師じょれいしを知ってますから今からでも見てもらいにいきましょう! ね? 隊長!」


「何が、『ね? 隊長!』だ! 新入りのくせにボクの兄さんに馴れ馴れしくするな!」


「ユアール・プライツ第121番伍長! 私は仮にも第1番伍長だぞ! 言葉をつつしみたまえ!」


「同じ伍長なんだから別にいいだろ! それにボクの方が年上だ!」


「軍では階級が全て! 年は関係ないのだよ、ユアール・ブライツ第121番伍長君!」


「・・・・・・じゃあ、上官のわれから少しだけいいか?」


「これは、アレーシャ・シャーベ曹長そうちょう! 何でしょうか?」


「上官への求婚は軍の規律違反だ! ・・・・・・それから、ルーフェンス・マークス准尉じゅんいは我のこのおっぱいが好きなのだ! よく憶えておくように!」


「はい! 失礼しました! アレーシャ・シャーベ曹長! 求婚の件は申し訳ありません! つい日頃の思いがあふれ出てしまいました! このようなことは二度とないようにいたします! ・・・・・・それから隊長がおっぱい好きであるという有益な情報ありがとうございます! わたくしも胸には多少なりとも自信がありますので正々堂々勝負したいと思います!」


「いいだろう! 望むところだ!」


「さすがはアレーシャ・シャーベ曹長! 部下の挑戦を正面から受けて立たれるとは! 感服かんぷくいたします!」


「・・・・・・お嬢ちゃん、お姉さんからも一言いいかしら? 確かに軍は階級が全て・・・・・・だけどね、軍関係の仕事を10年近くやってきたお姉さんに対しての尊敬の念はあってもいいと思うんだけど!」


「これは、テス・ハミン特級司書官! もちろんあの広大な図書館の蔵書ぞうしょを全て読破したと言われているあなたに対する尊敬の心は常に持っていますよ! それに今回の任務が終われば、また軍曹級とされている特級司書官に戻られるのでしょうから、はなからあなたを下の階級などとは思ってはいませんよ!」


「そう! それを聞いて少し安心したわ。・・・・・・じゃあ、お姉さんからもひとつ有益な情報をあげる! ルーフェンス・マークス准尉じゅんいは実は甘えたがりで甘々プレイが大好物なのよ! ・・・・・・そしてお姉さんは甘々プレイが大得意なの!」


「これは有益な情報をありがとうございます! 甘々プレイはさすがに実践したことはありませんが、今後は積極的に研鑽けんさんを積みたいと思います!」


「うーん、努力するのは大事だけど、たぶんあなたじゃ無理なんじゃないかなぁ? ルーフェンス君はあたしのバブバフ甘々プレイにも反応しなかったんだから!」


「ふん! 余計なお世話だ! 元魔物 風情ふぜいが偉そうに! それにしても誘惑するしか能のないサキュバスが敗北宣言とは情けない! 元サキュバスとしての誇りはないのか?」


「あなた、マジで性格悪いね! あたしはもう魔物もサキュバスも卒業したの! だから二度と魔物呼ばわりしないで! それからルーフェンス君に恩義があるからこの隊に参加してるけど任務が終わったら超有名なアイドルになるつもりだから、その時ツーショット撮ってくれって言っても絶対撮ってあげないんだからね!」


「そんなことはちゃんと有名になってから言え、元魔物!」


「だから魔物って呼ばないでって言ってるでしょ!」


魔物と言ってやっているだろう?」


「それも嫌だからやめて!」


「我がままなやつだ! じゃあ、元サキュバスのミフユ・ノノミヤ一等兵! ・・・・・・これでいいか?」


「ルーフェンス君! この子どうにかしてよー! みふゆのことすごいいじめてくるー!」


「・・・・・・じゃあ、最後に私からも一言いいですか?」


「これは、ヘッケルト教授のお嬢様! 何ですか?」


「ルーフェンス・マークス准尉は私のお弁当を受け取ってくれたので、すでに私のものです!」


 ジュナ・ヘッケルトがそう言うと、その場は嘘のように静かになった。


 そして、その沈黙がお弁当の想像以上のすさまじい効力によるものだったのだと俺がちゃんと理解したのは随分後になってからであった。



※※※

第18話も最後までお読みくださりありがとうございます!


もし少しでもおもしろいと思っていただけたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!

 

【次回予告】

第19話 シュリンバー・シュトレイという男


俺(ルーフェンス・マークス准尉)はツーツンツ王国一の剣士ソーズマン、シュリンバー・シュトレイ大尉と初対面する!

果たしてツーツンツ王国最強の剣士とはどんな男なのか? それが明らかになる第19話っ!


どうぞ続けてお読みくださいませ

m(__)m



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