第5話 王太子への謁見


数日かけて私はようやく王国軍駐屯所へ辿り着いた。ここに居るとは思ってない。だからまずは王国軍で一番偉い人に会う。そう決めて私は小さく息を吐き駐屯所の門を叩いた。



門を叩いて数分後、数人の兵士達が出てきて「何の用だ」と問いかけてきた。私はにこりと笑みを浮かべ「ここにオーウェン大佐はいらっしゃいますか」と問いかけた。その名前を聞いた瞬間兵士達はキッと睨みつけ「大佐殿に何の用だ。一般人が気軽に会えるほど大佐殿は暇人では無い。分かったなら駐屯所から出ていってもらおう」と答えた。私はその言葉に悔しさから下を向きすぐに前を向き直した。


「……いいえ。帰りません。大佐に会うまでは帰りません。」


「このっ……帰れと言っているだろう!」


「帰りません!私には為すべき事がある!」


「為すべき事……?なんだそれは」


「……この国を救うこと。その為には大佐に会って王太子へ謁見させてもらいます!」


「なっ……小娘ごときが会えるわけないだろう!」兵士の1人がそう怒鳴ってきたと同時に「何をしているんですか」と低く、でも聞きやすい声が辺りに響いた。兵士の1人が「お……王太子様っ……!?」と驚いた声で告げたあと彼……王太子のユーリへと跪いた。私も合わせるように跪き「お会いできて光栄ですわ王太子様」と告げれば彼は「顔を上げて。」と短く告げてきた。私は小さく頷き立ち上がって目を逸らすことなく真っ直ぐと彼を見つめた。さぁ交渉の時間だ……!

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