第4話 神様の声……?


その日の夜、私たちは自分達の家には帰れず近くの避難所へと身を寄せ合いながら眠りについた。すると耳元で誰かが私を呼ぶ声が聞こえてきた。


「……きて……きなさい……」


(誰……?私を呼ぶのは誰なの……?)


「起きなさい人の子よ。」


「……誰……?貴方は一体……?」


「私はアシュハ。希望を司る者です。」


「……希望?貴方は神様なの……?」


「えぇ。人の子よ貴方は民衆を導く光となるのです」ただその一言だけ告げるとアシュハ……いや神様は姿を消した。私は神様から告げられた【民衆を導く光】という言葉に小さく笑みを浮かべた。 あぁそっか。神様もちゃんと見てくれているんだ……!「私がこの国を……光へ導いてみせる……!」そう決めた時に私は目を覚ました。辺りを見渡すとそこはまだシェルターの中だった。あれは夢だったのか……そう思える程あの出来事は私にとって衝撃的だった。


(あれは夢……?分からないけど……私が皆を導いてみせる……!)と再度決意し私は起き上がり天井を見つめた。神様……どうかお守りください。どうか私に力を……このフランシアにどうか光をお導きください。 そう祈りながら私は考えた。どうすれば王太子様に会えるか。どうすれば人々を照らす光になれるか。どうすればもう何も奪われないのか……そんな事を考えていれば私は気がついたらシェルターから出て外へと出ていた。


「……青空……久しぶりに見た気がする」陽の光を見つめ小さく息を吐き私は王国軍駐屯所へ歩みを進めた。



これが私が【フランシアの聖女】と呼ばれる数ヶ月前の出来事だった。

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