第3話 決意した日


暫くしてそっと目を開ければシェルターは人で溢れていた。震える人に泣く人。私はそんな人たちを見て小さく「……どうして私たちがこんな目に合わなきゃいけないの」と呟いた。その言葉は人々に届き「そうだ……」「どうして私たちが……」「悪いのはあの帝国なのに」「あの時に戻りたい……」と言い始めた。その言葉に私はそっと笑みを浮かべ「そうだよ……私たちがこんな目に合うのは間違ってる!皆もそう思うでしょう?」と立ち上がり周りに告げた。皆同じことを考えてたんだ……なら私が導いてみせる



「私がこの国を変えてみせます。神様はきっと私たちの味方になってくれるはず」と告げ私はぎゅっと拳を握り決意をした。国を変えるためにまずは今の王太子様に会わなきゃいけない。王太子様に会ってこの思いを伝えなきゃいけない。さぁどうすれば王太子様に会えるのか考えなきゃ……私はそっと「神様……どうか王太子様に会わせて下さい」と心の中で祈った。


「でもどうやって国を変えるんだ?」


「そうよ。貴方みたいな女の子が何も出来るわけ無いわ」


「……確かにそうかもしれない。私にはなんの力も無い。でもやらなきゃいけないの。もうこの国が壊れていくのを見ていられないわ」


「君……名前は?」 男の人が問いかければ私は笑みを浮かべ「私はリナ。リナ・ブロンシュ。」と名前を告げた。



砲撃の音が消え、私たちはそっと外へと出て軽く伸びをした。私はくるりと皆の方を向いて「私がこのフランシア王国を変えてみせます。たとえこの身が犠牲になってでも!」と告げて空を見た。決意したこの日の空はとても暗かった。

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