第6話 貴方が真の王


王太子との謁見が叶い私はただ一言。「貴方にお話したいことがあります」と告げた。彼は少し悩んだ表情を浮かべたあと「中へどうぞ」と告げて歩き始めた。私は立ち上がり慌てて彼について行くように歩いた。



ガチャリと少し重たい音を響かせながら部屋のドアが開いた。そこは丁寧な装飾が施された部屋だった。私は部屋を見渡したあと促されるまま椅子に腰掛けた。


「さて……私に話があるとの事ですがレディ?」


「リナ・ブロンシュと申します。話というのは……王太子様。私はこの戦争を終わらせる為にここに来ました」


「この戦争を……?君が?」


「この国は貴方の父上……国王様になってから随分変わりました。でもまだ希望はある」


「この国を変える希望なんてあるわけが無い。相手はあのブリーデン帝国だ。誰が希望になる?どこに希望がある!」彼……ユーリは声を荒らげた。周りの兵士や臣下たちも驚いた顔を浮かべている。それもそうだ彼の容姿を見れば普段は声を荒らげたりしない人物であろうことは予想がつく。


「希望ならあります。この国はまだ負けてない。負けさせない」


「な……にを言って……」


「まずは軍の再編から。そして救うは陥落寸前のハラルーニ。」


「ま……待ちなさい一体誰がそんな事をするんだ」


「私がやります。これは神の思し召しですから。そして私は貴方に誓いましょう。このフランシアに必ず勝利をもたらすと!」



「……分かった。ならその長い髪を今ここで切れるか?」 彼から言われたのはこの髪を切れるかどうかだった。私はにこりと笑みを浮かべ近くにいる兵士に「短剣を貸してもらっても?」と問いかけた。兵士は少し躊躇いながらも私に短剣を差し出した。私は少し息を吐いたあとセミロングの髪を思い切り切ってみせた。


「私の名前はリナ。リナ・ブロンシュ。神の声を聞き貴方様を真の王にしに来ました。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る